相棒愛猫!可愛いの過剰摂取!
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「ういーす。天才凄腕ムキムキイケメンのヒノキでーす。今日はトリカの宇宙船の中からクスネとともに配信スタートです」
「わん!」
>今回はトリカ様がしっかり告知してくれてたからありがたい
>初めてのチートデイだ!
>クスネきゅんもいるんだ!嬉しい!
>トリカ様の宇宙船、いい香りしそう
「お、正解!トリカの宇宙船は何故かおひさまの香りがするんだよね。リラックス効果がすごいわ」
強い香りではないのにもかかわらず、なんだかとてもホッとする。胸いっぱいに空気を吸い込むと、どこか体の中が暖かくなる気がする。
この宇宙船。見た目はやたら派手なのだが、中はとてもくつろげるのだ。
「で、だよ。告知であった通り、今日はこの惑星の初めてのチートデイです」
チートデイとは、俺がSCエネルギーを使ってしまう問題を解決するために考えた方法だ。
【SCエネルギーがあるから使ってしまうのだから、別のことに使い切ってしまおう!】という天才的な計画なのだ!
ん?その計画、脳筋すぎるって?別に良いんだよ。計画なんて、シンプルであればあるほど良いというのが俺の持論だ。
その計画にトリカも加わって少し大事になってはいるが、別に問題はない。俺が貯蔵したSCエネルギーを消費でき、なおかつ観光地にもなるというのだから、一石二鳥だ。
「スポンサー様も気を使ってくれて、今日のために新しく衣装を送ってくれました。今は宇宙服だけど、目的地についたら着替えましょうかね」
>衣装チェンジ来たあああ!
>わくわく
>でも、カフェ店員の姿はお別れか…あれ好きだったのに
「いや、この格好はチートデイするときだけの格好にする予定だよ。まだしばらくはカフェ店員の格好を続けるからな」
全てはスポンサー様の送ってくるタイミング次第だ。
>よかった~
>カフェ店員もとてもいい。でも、衣装チェンジした姿も見たいんだよ…
>私は素っ裸が見たい!服なんてこの世から無くなればいいのに!
>スポンサー様!透明な服をお願いします!
流石にそんな服は送ってこないだろう。
…送ってこないよな?
なんか心配になってきたので、あまりに過激な服は着ませんとスポンサー様に言っておこう。一応ね。
「よーし!トリカは操縦室に居るから、会いに行きますかね。ついでにその道中でトリカの宇宙船を見学しますか」
>トリカ様の宇宙船すごそう
>あの大きくて派手な見た目だからねえ…
>ワクワク
俺がトリカが居る操縦室に向かって歩いていこうとすると、俺の行動を察知して、AIが椅子を二個用意してくれた。この小さい方の椅子は…ああ、クスネの分ね。
どうやら俺が歩かなくとも、自動で乗せていってくれるようだ。ありがとうAIちゃん。助かるよ。
俺はクスネを椅子に乗せ、俺も椅子に腰掛ける。
それにしてもこの椅子、やたらと座り心地が良いな。なんの素材なのだろうか?
これだけ座りやすいのならば、きっと俺の知らないような高価な素材なのだろう。
ちなみに、このように自動で任意な場所に運んでくれる機能など、俺の宇宙船には搭載していない。
だって、歩けばいいだけだからね。俺の宇宙船は、トリカの宇宙船みたいに大きくないし。
これが、資金力の差か…
俺もセリに貢いでしまうという悪いクセを直せばこんなふうな大きな宇宙船を買えるのだろうが…まあ、いいか。今の俺の宇宙船も気に入っているし。
それにしても、椅子の上でのんびりしながら道すがら見学しているだけなのに、沢山の施設が目に入ってくる。
俺の宇宙船とまるっきり違いすぎて、見ているだけで楽しいな。
操縦室への道中だけでも、ゲームセンター、スポーツ施設、学習施設、温泉施設などがあった。どれも俺の宇宙船には無いものだ。
まだまだ行っていない場所も多いので、もっと様々な施設があるのだろう。いつかトリカの宇宙船内を本格的に探索したいな。
ざっと一分ほどで操縦室の前についた。
AIが俺が来たことをトリカに伝える。
「入りなさい」
「おう、お邪魔するぜ」
扉が開いたので、俺は椅子から降り、運んできてくれた椅子に感謝の言葉を伝える。俺を運んでくれた椅子はくるりと空中を一周回って、お辞儀をするように背もたれを傾けた。AIなのに律儀にそういう反応してくれて、なんだか嬉しい。
>ん?なんか居る?
>トリカ様のお膝に可愛いのがいますね…
>にゃんこ!にゃんこじゃないか!
「あなたも来たことですし、そろそろ出発しますか」
「おう!と言おうと思ったんだけど、その前にそこにいる可愛いのを紹介してくれ」
トリカの膝の上で、見慣れない生き物がくつろいでいる。
少し大きめの猫?かな。
丸まっていてお顔が見えないが、おそらくそうだろう。
「あら?可愛いの、とはわたくしのことですか?ふふっ。わたくしは宇宙一の歌姫、トリカ。あなたの恋人ですよ」
優雅に椅子に座りながら、俺にわざとらしくウインクするトリカ。
途端にドキドキと激しく動き出す俺の心臓。
あー!可愛いすぎる!!!
ホント、そういうお茶目な行動やめて欲しい。俺はウインクとか、投げキッスとか、そういうのにとても弱いんだ。どうにかなってしまいそうになる。
しかも、トリカは今ぴっちりとした宇宙服を着ている。いつもの花のドレスではないので、体のラインがはっきりと見えてしまい、いつもよりセクシーなのだ。
その格好を俺に見せつけるかのように、存分にアピールしてくるトリカ。
うん。トリカは、俺という男のことをよーく分かっている。俺は普段着とは違う姿の女性の姿に弱いのだ。
男って、女がいつもと雰囲気が違う姿を見せてくれると、心を許されたと錯覚して嬉しくなってしまうの、あるあるだよな?
まあ、この世界の男には理解されないだろうが…きっと前世の男なら分かってくれるだろう。
「し、知ってるよ!じゃなくて、その膝に居る生き物のことだよ!分かってて言ってるだろ!」
しどろもどろになりながらなんとか返事をする俺。沸騰したように顔が赤くなっている俺を、トリカはニヤニヤした様子で見てくる。完全にからかわれているな…
「ふふふ、では紹介しますね。このコは最近飼い始めたペット。名前はロイヤルと名付けました。ロイヤル、この男と小さなわんちゃんに挨拶してあげなさい」
「なあーご」
ぴょんとトリカの膝の上から降りて、まずは俺の足に頬をスリスリして挨拶し、次にクスネにも同様のことをした。
か、か、か…可愛いんだけど!
なにこのコ!?しっかり挨拶できるくらい賢いし、上目使いでスリスリする様子がとってもあざと可愛い!このコ、自分が可愛いことを分かっているタイプだ!
ロイヤルの見た目は白とグレーの毛並みにサファイヤのようなキラキラした目。大きさは一般的な人の肩幅くらいかな?そこそこ大きい。
ロイヤルには、普通の猫と違う変わった特徴が二つある。
まず一つ目は、首元に首輪のようなお花のアクセサリーが付いていることだ。
これはアクセサリーではなく、この猫の自前のものらしい。
二つ目は、ロイヤルの周りに薄い氷の粒が舞っているところだ。さっきからロイヤルの周りがやたらキラキラしている気がしていたが、そのせいだったのか…
「ふふ、可愛いでしょう?」
「うん、すっげえ可愛い。この猫どうしたの?」
「このロイヤルは、わたくしの家に舞う花びらと、キラキラとした宝石に誘われて遠くから家にやってきたのです。どうやらそういうキラキラしたものに誘われる性質がある品種らしいですわ」
へえ…そんな性質のにゃんこが居るのか。それならトリカの家に誘われることもわかるなぁ。あの家、常に人工の花びらが舞っているし、宝石などもふんだんに使われているし…
「それにしても、トリカはペットとか飼うタイプだとは思ってなかったわ」
勝手に住んでしまった家畜などにも、一切世話をしていない。たまに顔を出してやるくらいらしい。
「まあ、わたくしは忙しいので、あまり動物などに世話を焼く時間がありませんからね。でも、このロイヤルはとても賢く、あまり手間がかからないのが素晴らしいですわ」
確かに、とても賢そうだ。知性的な目をしている。今もにゃんこに挨拶されて大はしゃぎのクスネのテンションにつられることなく、落ち着いて遊んでくれている。
「ロイヤルはとても強く、世話焼きでもあります。わたくしの家の周りに住んでしまった家畜たちのボスとして君臨し、面倒を見てくれていますのよ」
「なーご」
ロイヤルが返事をするように鳴く。
一見強そうに見えないロイヤル。だが、解析によると、氷や植物を自在に扱う特殊な能力があり、なかなかの戦闘力があるらしい。
美しくて可愛くて世話焼きで強いなんて、凄すぎない?
「ではそろそろ行きますわよ。目的地はこの惑星の裏。出発しますわね」
―――まもなく、宇宙船が動き出します。
おっと、もうそんな時間か。時間が経つのはあっという間だ。
では、出発!
惑星裏娯楽まみれ計画のスタートだ!
次回予告:怖いくらい夜




