土地開拓!やはり筋肉!
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「ういーす。超絶ビックバンムキムキイケメンのヒノキです。今日も配信していきます」
>告知してから配信しろ
>おう、挨拶ちょっと変わったな?
>今日も楽しみ
>さては適当に挨拶してるな?
ちっ。どんな細かいことでも気づくやつは居るな。ずっと同じ挨拶だと飽きるから、何も考えずに適当に言っているということがバレた…目ざとい奴らめ。
「さて、そろそろ農業をやろうと思ってるんだけど、そのためには広い土地が必要。だから、今日は土地を作っていきます」
採取して狩りして過ごすその日暮らし生活もいいけど、そろそろ畜産と農業で自給自足をやったみたい!
それに、気温的にもうすぐ夏になりそうだ。まだまだ涼しいくらいだが、少し体感温度が上がってきている。冬になったらなかなか農業なんて出来ないだろうし、早いうちから始めなければ。
>農業から始めるのね
>土地を作るとは?具体的に何するの?
>土で農業するのを見るのは初めてだ。昨今では大体宇宙空間で作物を育てるからなぁ…
この宇宙では超広大な土地である宇宙で、主に機械が超大規模農業をする。
栄養、日光、水分など植物が育つ条件の全てが管理されているので、安定した品質になるのだ。ここでつくった食材を元に、栄養満点のタブレット食が作られている。
宇宙で農業…スケールが凄いよなぁ…
もちろんここではそんな事はできないので、ちまちま地面でやっていこう。
「具体的になにするのかと言うと、まあ、木をぶっこ抜いて場所を作るだけだ。筋トレだと思ってさっさと終らせよう。取り敢えず筋トレ百セットやります」
>相変わらず脳筋
>筋トレ扱いwww
>なんかあなたの母のいたずらグッズを買って楽しないか?
「いや、土を耕すときに良さそうな商品を見つけたから、そっちを使おうと思ってさ。母親の店の商品は結構なお値段がするから、買ったとしても一日一個にしようかなって」
>まあいいんじゃね
>あんまり便利な道具使いすぎてもね
>私は男の筋肉を見て気持ちよくなりたいから、楽出来る道具とか使わないで
…うん、まあいい。性的に見てくる女共も居るが、筋肉への褒め言葉だと受け取っておこう。
じゃあ、始めようか。
何事もまずは小規模から。小さくつくって、のちのちどんどん広げて行けば良いのだ。そうすれば、いつかは大農園になるはずだ。
バキバキバキッ!
ふう…木を地面から引っこ抜くのは全身の筋肉に結構な負荷がかかるな。
でも、負荷なんてかかればかかるほど筋肉は喜ぶのだ。どんどん引っこ抜いていこう!
俺はどんどん木を引っこ抜いていく。
うむ、筋トレ楽しい!
引っこ抜いた木は一旦地面に置いておく。
あとで纏めて邪魔にならない所に運ぼう。俺の筋肉なら十本くらい持てるはずだ。
方針も決まったので、無心で筋トレを始めていこう!
―――約一時間後。
よし!一旦百本の木を引っこ抜いたぞ。あとは、この木を邪魔にならない場所に持っていくだけだ。
とりあえずログハウスの隣にまとめておこう。ログハウスの隣は一旦木材置き場とする!
十本くらいまとめて運ぼうとした俺は、見落としていたあることに気がついた。
「なあ、これまとめて運ぼうとしたんだけどさ…物理的にそんなに持てなかった…どうしよう」
当たり前のことだが、俺の腕は二本しか無いのだ。腕二本だけじゃ、どうしたって沢山は持てない!
>ええ…
>そりゃそうだろう
>一本ずつ持っていくしかないだろ
>木を何本もまとめて持っていくなんて非常識だぞ
ヨヒラ>皆さん、そもそも人間が地面に生えている木を引っこ抜くなんて、あまりに非常識ですよ…
>そうだった。麻痺してたな
>ヨヒラ様に呆れられてしまった…おまえの非常識な筋肉のせいだぞ!
コメント欄にヨヒラが来ているようだ。
ヨヒラは俺の配信をかかさず見てるらしい。人間とは脳の出来が違うので、マルチタスクなんて赤子の手をひねるくらい簡単らしい。
その能力、いいなぁ…その能力があれば、木を引っこ抜いている最中とかでも、問題点に気が付きそうだ。きっと、こんな失敗をするのは人間特有なんだろうな。
まあ、今はそんなことを考えていても仕方がない。一本ずつちまちま運ぶしかないか。
でもなあ…流石に面倒だ。うーん…
よし!良いことを思いついた!
「まず、この木を持ち上げ、頭の上に持っていきます。で、次にするのは…投げる!ふぅー。どうこれ!ナイスアイデアじゃない?」
引っこ抜いた木が投げられ、土煙と大きな音があたりに広がる。
うん。この方法なら筋肉にも負荷がかかるし、面倒でもない!
>まじかよ。常識って知ってる?
>相変わらず考え方が脳筋だ
>うん、本人が楽しそうだからそっとしておこう
視聴者の反応は微妙だが、俺的には機転の効いた素晴らしいアイデアだ。どんどんやっていこう。
手前の木からどんどん投げる!コントロールはチップに任せて、俺はとにかく無心で投げる!
この斬新かつ素敵なアイデアによって、投げ始めてから一時間もかからず、木百本分の開けた土地が出来た。
よし!今日からここが俺の農地だ!
この拠点周辺はそこまで木が密集せず生えているので、百本抜いただけでもかなり広い土地となっている。
「じゃあ、この土地を耕していきます!では、ついに!ここで土を耕すのに使えそうないたずらグッズの登場です!」
>きたきた
>初いたずらグッズ!
>さて、あの売れない店の商品がホントにつかえるものになるのか…
「今日のいたずらグッズは…これ!地雷百セット~」
俺は裏声で地雷の一つを視聴者に見せる。さながら気分はドラ◯もんだ。
>地雷?というか百セット?
>兵器じゃん。それが農業に使えるの?
>いたずらグッズだから、兵器では無いんだろうけど…物騒だな
いやあね…これ、百セットのまとめ売りでしか売ってなかったんだよね…
「この商品のキャッチフレーズを読みます!【嫌いな人にコレを踏ませてストレス発散しよう!※殺傷力はほとんどありませんが、大きな音と水が出るので注意】だそうです!」
>それが土を耕すのに使えるの?
>キャッチフレーズだとまだどんな商品かよくわからないな…
>殺傷力はほとんどありませんの、ほとんどが気になるな
「まあ、俺は商品詳細を読んでるから踏むとどうなるか知ってるけど、口で説明するより実際試したのを見た方が分かりやすいだろうから、試してみます!」
俺は木を抜いて出来た広い土地の中心に、地雷を一つ埋める。
「じゃあ、これを俺が踏んでみます!いきまーす」
ドカーーン!!!
「おわああああ!」
俺が地雷を踏むと爆発したかのような音が発生し、俺は地面からかなり高く空中に放り出される。不思議と体には痛みはない。例えるなら”空中へ落ちる”とでも言えば良いのだろうか?重力が反転したかのように、空へ放り出された。
この時、地雷の範囲内にあった周りの土や雑草なども巻き込んで一緒に空中に舞う。
程々の高さまでくると、空へ落ちていた勢いが止まる。そして、謎の力によって体が空中に固定された。巻き上げられた土や草も空中に固定されている。
その後、地雷から水と風が噴水のように広範囲に吹き出した。ついでに空中に固定されている俺の体を、空中に舞っている土や草を巻き込みながらびしょびしょに濡らす。
一分ほど経つと、謎の力が消え、体が重力に従い地面に落ちていく。
俺は空中でどうにか体をうまく制御し、無事着地した。
その後、神経を逆なでするように、気の抜けた音楽が鳴り響く。まるで冗談冗談!とでも言っているような音楽だ。
「はあ…はあ…どう、これ?見てて何があったのか分かった?」
>泥と雑草まみれになってて草
>いくら嫌いな人相手でもやりすぎだろwww
>こんなの町中で使ったら周辺が大惨事になりそう
>最後のなんとも言えない音楽がムカつきを加速させてる
俺の母親はなんでこんなものを作ったのだろうか?ものすごく嫌いな人でもいたのか?まあ、不思議と体に痛みなどは無いのだが、散々な目にあった。
「まあこんな感じで、地雷を踏んだ相手を謎の力で宙に浮かせて、体をビチョビチョにさせるグッズだね。これ、本来の役目では使えそうにないけど、俺の思った通り広範囲を耕すのには使えそうじゃない?」
>ほんとだ、周りの土がフカフカになってる
>雑草も抜けたし土も耕せはしたけどね…
>水の噴射で土も濡れてはいるのか…
>でも、なんでこの地雷、無駄に超広範囲を巻き込むんだよ…
いやね、母親は加減がわからないタイプだから、仕方がないんだよ。
「うん、見た感じ、コレ一個で十分百本分の広い土地を十分耕せそうだな。…でも、あと九十九個も余っちゃったな…どうしよう?視聴者、余りいる?」
>いらない。絶対にいらない
>永久に保存しておけ
>コレをあと九十九回繰り返せば大農園が出来るぞ!
コレをあと九十九回ねぇ…途方もないな…しかも結構地雷を踏むと体にストレスがかかる。
やっぱり、百個もいらないよこれ!バラ売りしてくれ!
「まあ、この商品は値段が結構高かったので、この方法でできる限り耕していきます。じゃ、俺は配信外でこの泥まみれの体を綺麗にしてから、また木を抜いていく作業をしていきます。ということで、今日の配信終了!おつー」
>おつ
>おつかれー
>カツカレー
>今日も面白かった
次回予告:男の手料理を食べると体がスパークする




