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周囲探索!行き当たりばったり!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



「よーし!宇宙船でしっかり寝たし、今日からスローライフ始めていこうか」


>おはよう!今日もエロい体してるね!

>まずなにするの?

>衣食住が基本だよね

>というかもう宇宙船で暮らせば?そっちのほうが絶対快適じゃん


「たしかに宇宙船内なら衣食住全て賄えるんだよね…だから、家ができたら宇宙船はなるべく使わないようにしますか」


>そんな縛りプレイしなくても…

>未開の惑星ってことはSCエネルギーを潤沢に使えないんだろ?それだけでしんどいのに…

>SCエネルギーのない生活なんて無理だって。いい加減正気にもどって


「大丈夫大丈夫!なんとかなるって!」


 脳内のチップのおかげでどんな知識でもいつでもアクセスできるし、生物や植物の解析だってチップさんにはお手の物なのだ。さらに俺の鍛えた身体もある。これだけ条件が揃っていれば、後は気合でなんとかなるはずだ。


「AIに全任せで、この惑星で一番スローライフしやすい場所に降ろしてもらうように設定したから、俺自身はここらへんがどういう土地なのか知らないんだよね。だから、まずは軽く周りを探索しますかね」


>いいね

>自然が豊かすぎて見てて面白い

>自然に男の肉体は映えるな。ムラムラしてきた

>管理されてない自然なんて初めて見た

>虫なんて初めて見たわwwwキッモwww

>古代では虫も食料だったらしいよ

>まじかよ。食事なんてタブレットで充分だろ

>SCエネルギーがないからな。食べ物にも困ってたんだろうな


「じゃあ軽くランニングでもしながら周辺の情報を集めますか」


 そう言うと、俺はものすごいスピードで走り出す。


>男の吐息タイム

>助かる

>捗る

>下着脱いだ

>録音しますね


 …うん、そういうお下品なコメントはスルーの方向で。


 俺は体を超効率的に鍛えたので、身体能力がものすごく高い。前世でいう車くらいのスピードで走ることができる。これでもかなり抑えてるほうだ。本気を出せばもっと早く走ることもできる。


「うん、ここで走るの、なんか気持ちいいわ。自然豊かだからか、吸う空気が新鮮で、肺が喜んでる気がする」


>肺は喜びません

>今どきどこの惑星も空気はキレイなんだよなぁ

>ま、まあこういうのは気持ちの問題だしね


 その通り、こういうのは気持ちの問題なのだ。正論を叩きつけないでほしい。


「これだけ早いスピードで走っても、配信には何の問題もないよね?」


>画角、音声、その他諸々なんの問題もないよ

>問題なし

>ほんとに脳内のチップ様優秀。これ全て自動でやってくれてるんだぜ…

>男の体を毛穴まではっきり見れる貴重な配信


「脳内のチップさんいつもありがとう。チップがなかったら、俺の筋肉もこんなに発達しなかっただろうなあ…」


 俺が体を本格的に鍛えようとした時、チップは俺のできる範囲で一番効率の良い体の鍛え方の計画を示してくれた。


 チップが提示した計画は、筋トレも理論的で効率的で、栄養も完璧。さらに俺の精神面まで考えて計画を練ってくれるので、とても実行しやすかったことを覚えている。


 さらに、チップが自由自在に体内のホルモンなどを調節し、筋肉の成長を加速させたり、脳にアクセスして筋トレ中の疲労感などもかなり軽減してくれた。まさに至れり尽くせりだ。


 それに加えて、技術の進歩によって肉体を一瞬で修復する寝具が一家に一台あるというのも大きい。


 肉体を一瞬で修復するベッドで数分寝て、さらにチップの言う通りに体を鍛えての繰り返しをしていれば、誰でもこういう身体能力が得られるだろう。

 

 俺は使用料が高くて使えなかったが、部屋の時間を歪めて「一秒が一時間の部屋」なんてものを使えれば、もっと成長できただろうな。


「走りながら目に入った生物や植物の情報を、片っ端から脳内のチップで解析していきますか」


 解析した内容について、コメントと雑談をしながら探索していく。


>近くに飲める川があっていいね

>地下には水源が潤沢で、土地も肥沃っと

>土地が平らなのも生活しやすそうだね

>食べられる植物や果実も豊富なのもグッド

>たくさんの動物が暮らしてるの、見てて楽しいな


 うん。なかなかの好条件。この土地なら、生きるだけなら簡単そうだ。


 食料も、とりあえず生で食べられる果実があるし、土地が平坦で、建物に適した丈夫な木も多いので、頑張れば住処もなんとかなりそうだ。


 衣類についても着るのに適した毛皮をした動物がたくさんいるので、これもがんばって処理さえできればなんとかなりそうだ。


「衣食住なんとかなりそうだし、余裕そうだな!うーん…まずなにから始めようか……じゃあ筋肉のために、まずはタンパク質である豆類を植えることと、タンパク源である動物を飼うところから始めようか!」


>なんで真っ先にそうするんだよwww

>タンパク質ファースト精神

>おい、余裕ぶるなwww 

>スローライフなんて絶対簡単じゃないんだよなあ…

>しばらくは我慢しなさい!お母さんはそんなワガママ許しません!


 そんなこんなでこのように視聴者とやり取りしつつ、軽く周辺を一周し終えた。


 さて…ほんとになにから始めようか…


 そういえばふと思ったが、せっかく無人惑星に来ているのに、今現在、配信中以外は宇宙船で生活している。


 宇宙船にいれば、一切生活に困ることはないからだ。


 でも、これってスローライフっぽくないよな?


 …よし!決めた!


「よーし!まずはここらへんに拠点となる家を建てるぞ!ログハウスの作り方は、なんとなく知識にあるからな」


>ログハウスってなに?

>あれか、木でできた建物か

>ほえー古代の人はこういう家を建ててたのか

>SCエネルギーなしで家なんて建てるの、不可能じゃない?

>確かに土地は平坦で丈夫な木も周りに多かったけど…ほんとに家なんて建てられるの?


 コメント欄では心配の声が多数上がっているが、大丈夫大丈夫!


 こういうときのために筋肉があるのだ。筋肉は全てを解決する!


「うおおおおおおお!」


 俺はまず初めに、力任せに近くの建材に適した木をメキメキと引き抜いていく。


 鍛え上げられた肉体なら、こんなこともできるのだ。


>すげえええええ!

>パワーありすぎだろwww

>筋肉!筋肉!筋肉!

>頼むから脇だけほんのり舐めさせて欲しい

>すごいけど、SCエネルギー使えば一瞬なのに…

>確かにすごいけど非効率すぎるな


 いやまあそうなんだけどさ。


 でも、SCエネルギーなんて使ったら、ほんとに一瞬で作業終わっちゃうじゃん。


>こいつなんでこんなに鍛えられたんだよ…

 

 ふと、そんなコメントが目に入った。



──俺がこれだけ鍛えられた理由か。


 前世では貧弱であることにコンプレックスを持っていた。ただの本好きのガリ勉で、腕立てなんて一回もできなかったくらいだ。


 そんな俺が生まれ変わったと認識した時、ふと思ったんだ。


「せっかくなら真逆な生き方をしてみたい」と。


 最初はその程度の軽い動機がきっかけだった。


 ただ、始めてみたら驚いた。


 圧倒的技術力と、超効率的筋トレ計画によって、面白いくらい筋肉がつき、日に日に体型が変わっていったのだ。


 成果が見えるのって、こんなに楽しんだな。


 そうして、俺は筋トレにドハマリしたのだ。


 それに、だ。この時代は技術の進歩によって、寿命がとにかく長い。


 手段を選ばなければ無限に生きていられて、特になんの努力をしない場合でも、五百年くらいなら生身のままで平気で生きていける。


 それを知った時、俺はこう考えた。


「もしそれだけ長い期間、ずっと体を鍛え続けたとしたら、いったいどうなるんだ?」


 ただ、俺は知りたいのだ。筋肉に限界はあるのか。俺に限界はあるのか、ということを。


 だから、五百年間ずっと鍛え続けることが、今の俺の目標だ。


 そんなことを考えながら、ありあまるパワーでどんどん木を抜いていった。


>上着を脱いだほうが良いと思います

>そうだそうだ!

>なんなら下も脱いだほうがいいと思う

>もっと筋肉見せろ


 なんかコメント欄がまたピンクになってきた。こういう流れは無視に限る。


 配信してると、スルースキルが磨かれるな。



──俺は半日ほどかけて、山ほど木を引っこ抜いた。


 ふう…いったんこれくらいにしよう。流石にめちゃくちゃ疲れたな。


>男の汗…ごちそうさまです!

>舐めたい

>ふぅ…脱いでくれなかったのは残念だったけど、それでも捗ったな

>私の✗✗しているところを想像して?


 ほんとに、そういう事はあんまり言わないで欲しい。


 …俺もムラムラしてくるんだよ!俺は性欲が強いんだ!知ってるだろ!


 俺は一旦深呼吸し、一息つく。


「さて、木を引っこ抜いたはいいものの…これからどうするんだっけか」


>おい、無計画だったのかよwww

>やはり、こいつは馬鹿だった

>えぇ…


 いやいや、どうせ丸太は必要になってくるんだから、良いんだよこれで。


 …たしかに無計画だったのは否定しないがな。


 困ったときにはチップの出番だ。俺はチップに働きかけて、知識を引っ張り出す。


 なるほどなるほど…


 うん。ログハウスって一人で作ろうと思うと途方もなく時間がかかるんだな。まだまだたくさんの作業をしなければいけないらしい。


「ログハウスって、丸太を交互に乗っけるだけだと思ってたわ」


>ワイルドすぎだろ

>そんなわけないんだよなぁ

>丸太を乗っけただけのものは、ただの資材置き場です

>せめてチップで予習くらいしてこい


「まあ…いったん疲れたので今日は寝ます。また明日からゆっくりがんばろう。ということで、おつ~」


>乙

>おつかれー

>カツカレー

>今日も面白かったよ

>私の✗✗行為、動画で送っときますね。使ってもいいですよ♡

>あ、じゃあ私も送りますね

>私も!


 おいやめろ!そんな動画俺は決して見ないぞ!というか、そんなところをわざわざ動画で撮るな!


 とりあえず、今日はもう寝よう。



 俺はちょっとした作業をした後、悩んだ末にある日課を終わらせ、非常食を食べて、宇宙船で就寝。


 え?ある日課ってなんだって?


 いいんだよ、いい子はそんなこと気にしなくて。ちょっとだけ大人なことをしただけからさ。


 ふぅ…じゃあ満足したし寝るか。お休み~

次回予告:何故か加工された木材

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