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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
最終章

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博士の過去!その6!人生を語る!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



 私はこの惑星の中心から去った。


 大まかな計画は頭にあるが、まずは何をするにも準備が必要だ。色々なことを同時並行でやっていかなければならない。


「さあ、できることからやっていきましょう」


 自身のふわっとした計画を、拠点に帰って形にしていく。


「これ、どうしたって気の長い計画になりそうね。でも大丈夫。私の一番の才能は『生きる力が強い』ところ。クチナシも言ってたじゃない」


 クチナシは私をたくさん褒めてくれたが、この言葉は特に私の中で大きなものだ。一番納得感があり、一番嬉しかった言葉。


「きっと、私にしかできないことはある。生きている限り、私は負けない」


 長い間この惑星の色んな痕跡に触れ、様々な天才たちの痕跡にも触れてきたからこそ分かる。

 

 私は悲しくなるくらい凡人だ。クチナシに力をもらった上でも、凡庸で平凡なありふれた人間でしかない。問題解決能力に関しては、並以下だろう。


 だから、とにかく生きて生きて、継続的に小さな影響を与え続ける。強力な運命のうねりに対して私にできる最適のアプローチはそれくらいだろう。


「とにかく、長生きできなきゃ何にもなすことができない。まずはその準備から入りましょうか」


 私は孤独が人を少しずつ蝕むことを知っている。一人では長生きなんて不可能。


 それで思いついたのが、かつてこの惑星に存在していたアンドロイドと呼ばれる存在だ。


「せっかくなら、生涯のパートナーを作ってみましょうか。クチナシも『愛はこの世の何よりも素晴らしいもの』って認識だったし、そうしましょう。この惑星の知識と技術をふんだんに使えば、最高のパートナーが作れるはず!」



 それから。


 これまで頭に叩き込んできた技術と情報のすべてを総動員し、この惑星では禁忌とされていた技術にまで手を出し、とにかくリソース度外視で設計図を作った。


 その設計図をもとに、さらにロマンとこだわりを詰め込みまくる。


 ただ、アンドロイドの基本設計だけは大きく変えず、多少のアレンジ程度にしておいた。


 これだけやりたい放題したって、クチナシのように私を止める人はいない。


「パートナーを作るんだから、私の性癖をたっぷり詰め込まなきゃね。ふふふ、楽しくなってきたわ!」


 性別は女性にしましょう。ゴツゴツした体より、女性的な柔らかい方が好みだしね。


 見た目もこだわり抜いた。肌が白くて、一見不幸そうな薄幸の美女。顔立ちが美しく整っているのに、どこか影があり、不幸そうな雰囲気や儚げな印象を与える感じがいいわ。ナイスバディなのもいいわね。


 能力面もこだわり抜いた。これから長い間、二人で過ごし、問題を解決していく。やらなきゃいけないことは山ほどある。スペックが高ければ高いほど良い。



 それからそれから――


「起動プログラム、正常に完了。自己診断異常なし。動作プログラム異常なし。全プログラム、異常なし。ご主人様、おはようございます」


「……できた……ついにできたわ!おはよう!今日から長い間よろしくね!」


「よろしくおねがいします。ご主人様」


 目の前のアンドロイドはとても美しくお辞儀をしたあと、機械的に続ける。


「自己呼称が設定されていません。名前を下さい、ご主人様」


「そうだな……君の名は、HIRARIだ!」


「ありがとうございます。ご主人様」


「そのご主人様というの、どうもむず痒いな」


「では、どうお呼びすればよいでしょうか?」


「おっと、それは考えていなかった。そうだな……では、私のことは博士とでも呼んでくれ。実は私、博士と呼ばれてみたかったんだ」


 博士。この言葉がぱっと口についた。もしかしたら、まだ私は研究者としての未練が残っているのかもしれない。


「了解しました。博士。これから私と共に歩んでいきましょう」


「ふふ、ありがとう、HIRARI。でもその前に、一緒にやりたいことがあるんだ」


「それはどういうお仕事でしょうか?」


「私とたくさん遊ぼう!」


「…はい?」


 困惑するHIRARIの手を強引に掴み、外へ駆け出そうとしたまさにその時。


 今まで滅びの運命しか感じられなかった私に、突然、運命を見通す力が働いた。


 私は将来、宇宙が滅ぶその時まで、ずっとHIRARIと共にある。そんな強力なビジョンだ。


 これは後に分かったことなのだが、私の運命を見通す力は、人やアンドロイドのような生物に触れても発動する。


 そして、その人の運命の中でも、最も強いものだけが見えるようなのだ。


 もちろんこの時はそんなことは知らなかったが……私とHIRARIは運命からも祝福されている気がして、込み上げるものがあったのは確かだ。


「突然表情が緩みましたが……どうかしましたか?」


「ふふ、なんでもないよ!さあ、行こう!」



 HIRARIの手を引いて、私は飛び出した――


 それから、たくさん話をして、たくさん出かけて、色んな場所を巡った。


 HIRARIは優秀だが、まだ生まれたばかり。基本の人格はできているとはいえ、人格は積み重ねで形成されていくものだと私は考えている。色んな出来事を経験させ、HIRARIという個性を育てていった。


 …というのはただの言い訳で、私がHIRARIともっと仲を深めたかっただけかもしれない。


 そして、できることならHIRARIに私のことを好きになってほしかった。


 ただ、そうしているうちに、私の方が先にHIRARIに惚れ込んでしまった。


 なるべく私から愛されるように作ったのは頭では分かっていた。分かっていても、抗いようのないくらいHIRARIは魅力的だった。


 HIRARIのことが可愛くて可愛くて、どうしようもなかったのだ。



 何度も何度もアタックしているうちに、自然とHIRARIからも好意を感じるようになってきた。HIRARIから「大好き」と言われた時は、飛び上がって抱きついてしまうほどはしゃいでしまった。


 ただ、一つ欠点があるとすれば……


「ねえ博士。私とクチナシさん。どっちのほうが好きですか?」


「いや、それはだな…」


「博士のバカ」


「ごめんごめん。私にとってどちらも同じくらいかけがえのない存在なんだ!」


 こんな風に少しヤキモチ焼きに育ってしまったのだけが玉に瑕だ。心もなるべく柔軟に育つように作ったはずなのになあ…



 なんにせよ、これで私が長生きするための下地は整った。


 それからはHIRARIと愛を深めつつも、運命のうねりに抗うため、同時並行でいろんなことを進めていった。


 HIRARIは平凡な私が作ったとは思えないほど優秀だ。情報収集、労働力、思考能力、演算能力、その他諸々……全てが私を圧倒的に超えていた。そんなHIRARIが私のやりたいことを率先してやり遂げてくれる。これだけ力になることはない。


 ここから、今のジ・アースとなるまで、あれよあれよと進んでいった――



「さて、これで大体のことは話しただろうか。この先は、私とHIRARIが運命に抗うための奮闘記となる。キリもいいし、ここで一度休憩を取ろうか」


 ここで話は一区切り。始祖さんからお茶のおかわりが注がれた。


 みんなの反応はそれぞれ。真剣に話を聞く人もいれば、考察が捗る人もいる。号泣しながらご飯をバク食いしている人もいれば、話半分に俺の膝の上に乗ってクンカクンカしている人もいる。


 俺の場合は、空いた口が塞がらないって感じだ。なんというか「果てしねえ…」って感想だな。ちょっとスケールが大きすぎてな。



 それぞれが、それぞれのやり方で休憩している。俺はクスネを撫でながら、今聞いた話を頭の中で整理することに。


 そうしていると休憩はあっという間に終わり、また博士の話が始まった。


「長々話したが、肝心なのはここからなんだ。今までの話は、これからの話を分かりやすく聞いてもらうための前提だと思っておいてくれ」


 あら、そう。それなら助かるな。さっき話を俺なりに整理したが、ところどころ分からないところがあったからな。


 博士の話は続く。


「そして、話の後、君たちに頼みたいことがある」


 博士はゆっくり俺たちを見渡した後、少し間を開けてこのように口を開いた。


「君たちには、魔王を壊してもらいたい」


次回予告:宇宙のコア

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