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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
6章 前世

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秘密暴露!その2!トラウマ対処!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。




【地球へ行くために必要なものは五つの要素!】


 最初にテーマを大きく書き、その下に要素を一つずつ羅列していく。



 一つは「Eエネルギー」


 この宇宙船はEエネルギーが動力なので、それがないと話にならない。


 そして、Eエネルギー発電装置はどうもこの惑星の衛星もとい、月にあるようだ。現状ではスリープモードとなっており、最低限施設が動くだけの微弱な発電しか行われていないが。


 月にもこの惑星と同じように中心に空洞があり、そこには発電施設を制御する中枢、いわば心臓部が存在しているらしい。


「あ、ちなみにだけど、コックピット内でも小規模のEエネルギー発電装置があって、ワープジャンプの機能とか、このパソコンの動力とかはそこからエネルギーを得て作動してるらしいよ」



 一つは「偽装工作」 


 もう俺たちの惑星は配信などによって存在が知れ渡っているので、いきなりこのフルールが動き出すことがバレると大変な混乱が巻き起こると予想される。いざ本当に地球へ行くとなると、その対策は必須だろう。



 一つは「操縦士」


 この宇宙船は、なぜか二人で操縦しなければ動かない仕組みになっている。一人は船長である俺。そしてもう一人は、船長をサポートする専門の操縦士が必要だ。


 どうやら専門の操縦士には、相当高度な操縦技術と、船長との絶妙なコンビネーションが必要らしい。そのために、長い訓練期間を取る必要がある。


 …正直、ここまで技術が進歩している時代に、なんでそんな面倒な仕様にしたのかは謎だ。普通ならボタンひとつで動いてもいいはずなのに。


 

――その理由を、後になってルリさんから教わった。


「この船ね、たぶん私の夫の趣味が全部詰まってるのよ♡」


 というのも、Eエネルギーは感情に反応し、持ち主の願いを具現化する力を持っている。そんな奇跡の力によって作られたこの惑星なら、そうであってもおかしくないとのこと。

 

 …てか、それ初耳なんだけど……俺は『EエネルギーはSCエネルギーより格段に効率がよく、制御が難しい』としか聞いてないぞ?奇跡の力ってなに?


 そう問い詰めると、ルリさんは「てへっ♡」と誤魔化していた。可愛いから許しました。


 まあつまり、この惑星型宇宙船は、ルリさんとその夫さんとの“願い”の集合体でもあるらしい。


 肝心な願いだが、それについてルリさんはこう語った。


「ルリの願いは単純。夫との愛の証、娘が欲しかった。そして、産まれてくる娘には最高に幸せになってほしかった。ルリのように最高の恋をして、花咲くように育ってほしいと思っていたわ。あとは、娘が最高に笑顔になれる場所で、いい出会いをしてほしいと願ったくらいね」


 この惑星が自然が豊かなのは、ヨヒラが自然が好きだからで、ここでヨヒラが俺に買われたのは、俺との出会いのため。


 …うん。この惑星が俺とヨヒラの出会いの場と考えると、確かに辻褄は合う気がする。


 そして、ルリさんの夫は、


「宇宙船の操縦なんて、難しければ難しいほどロマンがあるだろ?俺はさあ……いつか惑星ほどでかい宇宙船で、自分の好みにカスタマイズされたコックピットで、宇宙を駆け回るのが夢なんだ!」


 このようによく豪語していて、自分の宇宙船はほぼオートで操縦できるのにも関わらず、わざわざマニュアルで動かしていたそうだ。


 この異常なまでの操縦難易度も、この惑星が宇宙船なのも、夫の影響と考えるのが妥当とのこと。


 二人で操縦する仕様になっているのも、


「パートナーと心を合わせて操縦する方がロマンがある!」


 という、まさに夫さんのロマンの結果だとか。


 要するに――この宇宙船のコックピットに関しては、ルリさんの夫のロマンとこだわりが詰まりまくっているってわけだ。


 …おっと、少し脱線したな。話を戻そう。



 一つは月の発電施設の「厳重なロックとバリアを強引に解除する力」


 月には最低限のEエネルギーで、幾重にもセキュリティが張り巡らされている。ごく普通の衛星であるとしか認識できないようにする、「認識誘導」をはじめ、Eエネルギーによって作られた数々の「防衛機能」とかだ。


 そもそも、月に着陸するのでさえ難しい。物理的攻撃や、SCエネルギーを吸収する強靭なバリアが月の全体を覆っているのだ。


 このバリアは、あらゆる侵入を拒む無敵のバリアだ。それほどSCエネルギーを吸収してしまうというのは厄介なのだ。SCエネルギーで作った武器や、SCエネルギーで稼働する武器などはいとも容易く吸収してしまうのだから。


 もしそのバリアを何らかの方法ですり抜け、月に着陸できたとて、まだ問題はある。月の内部には濃縮された高エネルギーが充満しており、生物がそこに行くと全身が一瞬でチリとなってしまうのだ。


 そのバリアはパスワードによって解除できるらしいが、今の俺たちにはそのパスワードは知る由もない。よって、強引に突破するしかない。


 そのバリアを完全に破壊さえすれば、連動して月の内部の濃縮された高エネルギーも消える設定となっている。だから、どうにかして俺たちはそのバリアを破壊しなければならない。そしてその後、心臓部でスリープモードを解除し、この発電装置を作動する必要がある。


 …正直無理ゲーにしか思えないが、地球へ行くにはやるしかない。


 

 一つは「Eエネルギー発電の原料」


 Eエネルギーの発電に必要な原料の一部に、「新鮮で膨大な人間の感情の力」というものがある。これについては正直よく分かっていない。暗号が複雑で、専門用語も多く、理解力がそこまであるわけではない俺が解読するのにはもっと時間が必要だ。



「と、こんな感じかな?」


 俺はこんな感じで途中途中に話を挟みながら、書きなぐってみた。途中多少脱線してしまったが、これで多少分かりやすくなっただろうか?


「なるほどね。大体分かったわ。こういうことね」


 トリカがホワイトボードをひっくり返し、俺の書いたことを要約し、もっと分かりやすくまとめた。


「おお!いきなりものすごく見やすくなったな!ありがとう、トリカ!」


 これを見れば一週間後にやってくる母たちもすぐに要点を理解できるだろう。


 流石トリカ、助かりまーす。



「では、私は月の実地調査をしましょうか。バリアの外から色々調べるだけになりそうですが……調査のプロであるアンドロイドの名にかけて、最低限の情報は持って帰ってきます」


「なら僕は操縦の練習!ヒノキと一緒に操縦するの楽しそう!」


「わたくしは、偽装工作を完成させるための研究の協力かしらね。とりあえずヒノキのお母様に金を援助して、さらに絶対に口を割らない都合のいい研究者たちを派遣させましょう」


「うちは……何をしようかしら?」


「ウツギ様、では、私のお祖母様の元で修行をしてみませんか?どうもお祖母様はウツギ様を鍛えたくて仕方がないみたいなのです。『ポテンシャルがすごいのに力を引き出せていない!』と、相当もどかしがっていました。それに、御主人様の話を聞く限り、現状でこの月のバリアを破壊できる可能性が最も高いのは、ウツギ様のサイキックでしょう」


「あら?そうなの。ならそうしてみましょうか」


 トントン拍子で話が進んでいく。


 …あれ?俺は何をすればいいんだ?もしや、俺だけ役立たず?


「何をボケーとしてるのよ。あなたにはあなたにしかできない仕事があるんだからね」


「え?」


「あなたのすべきことは主に二つね」


「二つ?」


「一つは引き続きパソコンでの情報収集。二つ目は船の操縦技術を覚えることよ」


「ああ、確かに」


 言われて納得した。特に情報収集なんて、現状俺にしかできないことだもんな。


「あ、僕はもう一個、いや、もう二個ヒノキがすべきことがあると思う!」


「ん?何だセリ?これ以上やることなくね?」


「たぶんだけど、Eエネルギーの発電の原料の『新鮮で膨大な人間の感情の力』を集めるために、配信でたくさんの人に見てもらうことは大事だと思うんだ。あくまでこれは僕の直感だけどね」


「なるほどね」


 俺はセリの直感をとても信頼している。セリがそう言うのなら、配信は必須なのだろう。


「そしてもう一つ。ちょっと難しいけど、これが一番重要だよ」


「よし!なんでもやりとげてやろう!」


「ふふっ、その意気だよ!じゃあヒノキ――そろそろトラウマを克服しよっか?」


「…うげっ」


 …そう来たかあ。


「今のヒノキなら、多分できるはずだよ。それに、ジ・アースを目一杯楽しむには、それが必須な気もするしね」


 …やっぱそうだよなあ。トラウマがある状態で地球になんて行っても、楽しめないよなあ…


 今まで逃げ続けてきたが、そろそろ向き合う時が来たか。


「ヒノキ、頑張りなさい。あなたならできるわ!」

「そうだよ!いつもみたいにのんびり暮らしていれば、余裕なはずだよ!」

「あなたももっと強くなりなさい!うちはまだあなたの強さの色の完成形を見せてもらってないわ!」

「トラウマと向き合い、心の淀みが消えた時、その時初めて御主人様は開花するでしょう。頑張って下さい」


 俺の辛そうな表情を見て、みんなが応援してくれている。みんなが背中を押してくれている。


――うん、決めた。みんなから勇気をもらって、ようやく踏ん切りがついた。


 地球へ行くまでに、トラウマを克服しよう。


 今までは臭いものに蓋をするように、前世のことはあまり見ないようにしていた。でも、それじゃあダメなんだ。男には、戦わなければ行けないときもある。今がその時だ。


「よっしゃあ!そろそろトラウマ退治に、行っちゃいますか!」


次回予告:ヤムチャ視点

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