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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
6章 前世

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秘密暴露!情報を入手せよ!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



「俺には前世の記憶があるんだけどさあ――」


 今は惑星の中心、コックピットでヨヒラ、ウツギ、セリ、トリカに俺の前世の事を話している最中だ。セリとトリカは俺に前世があることを知っているので、主にヨヒラとウツギに向けての説明だな。


 なぜこんなことになったのかというと、昨日、一昨日でこんなことがあったからだ――



 まず一昨日、俺と母とルリさんがこの惑星のコックピットで集まっていることがバレたときのこと。


 みんなから種明かしされたのち、話し合いの末、全員で最終的にルリさんの目的に協力することに決まった。


「協力するのはいいけれど、具体的に何をすればいいのかしら?」


 トリカが言う。


「まあ、とにかく今は情報共有ね。この未知だらけのコックピットを調べ終えるの、すごく長丁場になりそうなの。どうも、SCエネルギーを弾く性質の部屋のせいで、詳細解析ができないのよね……さて、ここを調べ尽くすのに何年かかることやら…」


 母は苦悩をにじませた声でそう言った。ただのデザインである操縦席のレバーなどを一つずつ動かしたりして、地道に作業しているようだ。見ている限りかなり大変な作業っぽい。


 …てか、ここってSCエネルギーを弾く性質があるんだ。知らなかったな。


「…でも、こんな高度な機械を調査するのに、SCエネルギーも使わない原始的な調査で進むものなの?」


 トリカが当たり前にみんなが思うであろう疑問を母にぶつけた。


 人類はSCエネルギーにすごく頼った生活をしている。普通の人はあれなしじゃ何をするのも難しい。


 …まあ、俺はスローライファーなので、SCエネルギーがなくても生きていけるがな!みんな、SCエネルギーに頼りすぎだ。


 ってことで、みんなでやろう!スローライフ!


「そうね。絶望してもおかしくないくらい無茶で無謀なことよ。けれど、時間さえ貰えれば、いずれ全てを調べてみせるわ!研究者として、絶対にこの謎を解き明かしてみせるわ!」


 母の覚悟ある一言で、この場のどんよりした気配は少し晴れた。みんなの表情にも、わずかに光が戻ったように思う。



 …ただし、このとき俺だけは、みんなとはちょっと違う受け取り方をしていた。


――ああ、そうか。地球関連の話に夢中ですっかり忘れていたけど、母は操縦方法を調べてたんだったな。


 だからあんなにモニターや機械のパネルを熱心に見てたのね。なるほど、そういうことか。


 …でもさ。


 その辺、ただのデザイン……要はハリボテだから、いくら調べても何も出てこないと思うぞ?



――ん?そういえばこれ、ちゃんと伝えてたっけか?


 まあいい、一応今のうちに言っとこう。


「操縦席はそこじゃなくて、その機械(パソコン)から動かすんだよ?」


「…え?」


 しばらくの間、この場になんとも言えない沈黙が訪れた。


「…調べてもない息子になんでそんなこと分かるのよ?」


「いや、一応俺船長だし、そういう最低限の知識はインプットされてるんだよ。それに、俺の前世の記憶と照らし合わせても、そうだとしか考えられないしね」


「「……」」


 ん?なんだこの空気?なにかすごいことをやらかしたかのような雰囲気だが……?



――母と目があった瞬間、これはまずいと直感した。


 あの研ぎたての包丁のような目、あれは、極稀に見ることがある、マジギレしてる時の目だ。


 気まずくてなんとなしに隣に目を向けると、ルリさんからもただならぬオーラが漂っていた。


 えっと……もしやこれさあ…


 俺、何かやっちゃいました?


「「そういう大事なことは早く言いなさいよ!」」


 この後、母親とルリさんから「時間を返せ!」とめっちゃ怒られたのだった。



 いや、だって……ごめんなさい。流石に察しが悪すぎました。


 言い訳をさせてもらうなら、チップのアップデートによって得た知識なんて、二人は当たり前に知っていると思い込んでしまってたんだよ。人間誰しもミスはある。そういうこともあるってことで許してくれ。



 この日は俺の知っている事を洗いざらい吐き、念入りに情報共有をした。パソコンで色々情報収集できそうと分かったのもこの時だ。


 その後、「じゃあ、そのパソコン?とやらで情報共有しておいて」と母が俺に頼み、母とルリさんは帰っていった。また一週間後、色々分かってから俺が二人を呼び出す予定だ。


 というのも、どうもこのパソコン、船長しか操作することができないようなのだ。他の人はパソコン自体は見えても、パソコンに表示される画面が認識できない仕組みらしい。


 と、これが一昨日のことだ。



 そして昨日。


 俺は朝から一人、コックピットに来ていた。一人で来る分には、Eエネルギーはそう使わない。正確には、この惑星に住む人がここにワープジャンプする分にはほぼEエネルギーを使わない。


 この惑星自体が全て船なので、他の惑星からワープするのと、船から船にワープするのではわけが違うってことだ。

 

 そして、今は偽装工作すら必要ないので、今までのような時間制限もない。ゆっくり調査しますかね。


 俺はパソコンを起動し、情報収集することに。


「おお!言語のデフォルトが日本語だ!日本語懐かしいなあ……というか、日本語がこんな未来の時代にもしぶとく生き残っていたんだ!なんか嬉しいな!」


 大体の場合、時代やテクノロジーが進むに連れ、言語は自然と集約されていく。それはこの宇宙の長い歴史が証明している。やっぱり、複数の言語のせいでコミュニケーションが取れないのは不便だからな。


 ただ、地球は時代が進んでも特有の言語を大事にしていたようだ。言語設定の欄には、英語や日本語、中国語から、今まで全く聞いたことのないような国の言語まで、大量の種類の言語が羅列してある。


「えっと……この宇宙船には色々な機能があるのな。ステルスモード、次元跳躍モード、買い物モード、逃亡モード、迎撃モード、攻撃モード……おっ、今必要なのはこれじゃないかな?情報収集モード、オン!」


 情報収集モードでは、パソコンから地球の特別なデータベースにアクセスできるようだ。といっても、これは相当大昔の地球のデータベースで、とっくの昔に放棄されているようなのだがな。


 

――そこから俺は、半日かけて情報を入手していった。


 なぜそこまで時間がかかったのかというと、とにかくアクセスできる情報は膨大かつ、一介の船長では大した情報にアクセス権限がないからだ。


 重要な情報を集めるには、強引な手段を取るしかない。


「無理やり権限を得るしかないかあ…」


 チップの力を借りれば、権限を上書きすることは多分できる。もう使われなくなって長いデータベースなので、セキュリティ自体は大したものではないからね。


 そして、それをやったとしてもいかなる犯罪にも抵触しないってことも確認できた。でも、なんかハッキングしているみたいで気が引けるなあ……まあ、やるけどね。



 俺は、権限を上書きして情報にアクセスした。


「うげっ、このデータ、暗号化処理されてるじゃん……面倒だな」


 暗号化処理とは、情報を捨てる前の最低限の簡易処理だ。イメージで説明すると、情報に軽いシュレッダーをかける感じかな。


 これをされた情報を復元するのに必要な唯一のものは、根気だけ。逆に言えば、高度な技術でもどうにもならず、人力でちまちまと暗号を解きほぐすしかない。



 仕方がないので、今回は集める情報を極端に絞り、「この宇宙船に関する情報」だけに集中して情報を集めた。暗号解読にはかなり時間がかかったが、俺は一度やらかしているので、それくらいは頑張らなきゃな。


 根気よく情報を集めるうちに、「どうすれば地球へ行くことができるのか」も大体分かってきた。これは大きな収穫だ。



 そして今日。


 コックピット内にこの惑星のみんなに集まってもらい、集めた情報と共に、洗いざらい秘密を明かしている場面に戻る。


「――で、俺は二人の事を手伝うことになった、そういうわけ」


 とりあえずこれで一通り話し終えたかな?


 ふぅ……ヨヒラとウツギに俺の前世のこと話せてよかった。肩の荷が下りた気分だ。俺はどうも隠し事があると気持ちよくない、というか、仲のいい人には全てのことをぶっちゃけたいタイプみたいだ。気分爽快だわ!


「ねえ?何を喉に刺さってた骨が取れたようなスッキリ顔してるのよ。まだまだ説明が足りないわ。まだ前世があるって話しただけじゃない。もっとあなたの前世の人生がどんなのだったのかとか、詳しく教えなさい」


「そうですね。私の出生などについてなどを重点的に話していましたが、今はそれは重要ではありません。正直どうでもいいです。それに、まだそのパソコンとやらで得た情報なども聞けていません。調べたことは一言一句しっかり伝えてください。優先度が高いのはそっちです」


 …説明が下手くそですまん。俺は話せて気持ちよかったが、ウツギとヨヒラは流石にまだ困惑中……ってわけでもなさそうだな。意外と冷静だ。


「まあ、前世の俺については何を話せばいいのかわからないから、随時聞いてくれ。俺も話したい話題を話すだろうし、そんな感じで頼むわ。で、パソコンで得た情報については――分かりやすいように一旦まとめてみるな」


 俺は船長のスキルを使い、ここにホワイトボートをワープさせた。


 そして、なるべく伝わりやすいようにと、【どうやったら地球へ行くことができるか】というテーマに沿って、ホワイトボードにまとめてみることにした。


次回予告:くっせえ!蓋しとこ!

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