意識朦朧!一線を越えかける!
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――意識が、闇に沈んでいく……
そして、次に目を開いたとき、時間はあまり進んでいないということがすぐに分かった。目の前には変わらずウツギの姿、足元にはクスネの姿があったしね。
ただし、どこかウツギは困ったような、困惑したような表情を浮かべていた。何をそんな困ることがあるのだろうか?
(ウツギー。このきのこって結局……あれ?)
口に出そうとした言葉は、一切表には出なかった。
なぜか、口が開かないのだ。
何かがおかしい。視界はそのまま、場所もそのまま……なのに、俺の体は俺の意思で動かない。
困惑していると、指先が勝手に動いた。足が一歩、また一歩と、俺の意思とは無関係にウツギに向かう。
頭の中でどれだけ「止まれ」と叫んでも、一向に体は止まらない。自分の手足が、自分のものではないような感覚。自分の命令が体に届かない。
いつの間にか、俺の体は俺のものじゃなくなっていた――
(ちょ、止まれ俺!ウツギに何をしようとしてるんだ!何がしたいのかは知らんが、流石にダメだぞ!)
冷静な俺が何をしようと、何を思おうと、俺の体は言うことを聞かない。
(え?おい。俺は何をしようとしてるんだ?やって良いことと悪いことがあるぞ?)
体の中で、理性が暴れ回っているのを感じる。今の俺は獣のような衝動に身を任せ、体が動いていた。おそらく、目は血走り、呼吸は荒い。
血走った視界の中、ウツギが僅かに後ずさる。そんな様子を、俺の中の無力で冷静な俺が見下ろしている。けれど、手も足も出せない。
(おい、俺!何してるんだ!やめろ!)
心の中でどれだけ叫んでも、肉体は言うことを聞かない。冷静な俺の意思を無視して、本能のまま目の前のメスに手を伸ばす。
(ちょ、ここから先がR-18になっちゃう!せめて配信を……というか、はやく止まれ!!!)
強引にウツギに触れようとしたその時…
「テレキネシス」
ウツギのサイキックによって、俺の体は縛られた。
俺の体はテレキネシスから逃れようと勝手にもがく。だが、一歩たりとも動けそうにない。今の俺では普段の力をうまく引き出せないのかもしれないな。
――ふぅ……
俺はほっと胸を撫で下ろした。ウツギが止めてくれて、ほんとに助かった。これ以上動けそうにないし、これならもう安心だ。
ええっと、この様子だと……どうも俺は、何か特殊な状態異常のようなものになっているのかな?ウツギがきのこを嗅ぐのを止めていたことから、原因はあれだろう。
…すまん、ウツギ!俺にはどうもできない!なんとかしてくれ!
「ここでヒノキの体内の胞子をパイロキネシスで燃やして、対処するのは簡単よ」
ウツギが視聴者に向けてそう説明していることが聞こえてきた。
あ、対処は簡単なんだ。じゃ、よろしく!
「でも…」
…ん?どうしたんだウツギ?何をためらってるんだ?
「ねえ?視聴者共、ここでテレキネシスを解いたら、たとえヒノキの意識はないとはいえ、うちの浮気相手になるって目標は達成できるのだけど……どうしよう」
……おい。
「交わったら、うちもあのきのこに寄生されちゃうことになるけれど……多少命の危険があるとはいえ、交われるのならやすいものかしら?」
…あのー。もっと命を大事にしてください!それに、あなたヒーローになりたいとか言ってませんでした?それがヒーローのやることかよ!困った人がいれば助けるのがヒーローってもんだろ!な!?
「これ、千載一遇のチャンスよね?そうよね!?」
…ちょっと!?コメント欄もウツギを止めろよ!背中を押すな!ストーップ!!
「じゃ、じゃあ、テレキネシスを解くわよ。どうせヒノキも意識はないだろうし、起きたときには何も覚えていないはず……ふふっ、解析もせずにあのきのこを嗅いだヒノキが悪いのよ!」
いや、なんか意識はあるんだよ!冷静な俺が頭の中にいるんだって!体が動かせないだけでさあ!
それに、今もテレキネシスによって体が動かないだけで、力いっぱい抵抗しているのは分かるんだよ。そんな状態で拘束を解かれたら、どんなことをされるか分からないんだぞ?
だから、な?正気に戻ろう。優しいウツギに戻ってくれ!
「テレキネシス、解除」
俺の体は本能のまま、ウツギに向かって動き出した。
あーあ。
…拝啓お母様。お元気でお過ごしでしょうか?こちら息子、現在、人生最大のピンチを迎えております。
どうやら今の私は、理性を家に忘れてきたらしく、本能だけで行動しているようです。つまり、文明人として完全にアウト。
お母様、どうか覚えておいてください。 あなたの息子は、本来もう少しまともだったと…
自分は男の風上にも置けないクズ野郎です。生まれてきてごめんなさい。女性の皆様、ごめんなさい。
…あれ?冷静に考えれば、これは合意の上でのことなのか?それとも…
いやいや!今はそんなこと言ってる場合じゃない!ウツギ!今からでも遅くない!俺を止めてくれ!!!
復讐と愛のないS◯Xは誰も幸せにならないぞ!だから……な?な!?
…そんな俺の願いは虚しく、ウツギは目をつぶって、抵抗する様子はない。
(俺の意識よ!きのこになんて負けるな!うおおおおおお!!)
最後の力を振り絞った抵抗も虚しく、どれだけ叫ぼうが、気合を入れようが、一ミリたりとも俺の意思は反映されない。
俺の体は、ウツギの両肩に両手を置き、ウツギを地面に強引に押し倒した。
ああ……終わった。
どうしようもないと悟ると、俺は走馬灯を見るかのように、こんな後悔が脳内で駆け巡っていた。
――こんなことなら、もっといい感じの雰囲気になった時に、ウツギに手を出したほうがまだ良かったなあ……このウツギとのシェアハウスで、そんなタイミングはいくらでもあったのに…
それに、普段の俺ならもっと優しく女性に触れるのに、こんなふうに強引に触れられるの、ウツギ自身も嫌だろう。ヤるならヤるで、せめてもっと気持ちよくなってほし……って、それもだめだぞ!俺!何考えてるんだ!ギリッギリの最後まで、絶対諦めるな!
それに、何度も誘惑に耐えた俺を誇りこそすれど、後悔なんてしなくてもいいはずだ。
ああああああ!だから!そんなこと考えてる場合じゃないんだって!ヤバイヤバイヤバイ!
今まさにウツギの服に手をかけ、強引に脱がそうとしたその時、
「…やっぱり、だめ!パイロキネシス!」
本当にギリギリの寸前で、ウツギによって俺の体内にある胞子が燃やされたのだった――
俺の体内の温度がカッと上がる。プスプスとした黒い煙が、穴という穴から漏れ出る。
だが、不思議とあまり熱くない。炎の扱いがうまいのか、気を使ってくれたのか……ツボにお灸を据えられたみたいで、気持ちいいくらいだ。
ふぅ……やっとのことで、自分の意志で体が動くようになった。やっぱ、自分の意思で体が動くのって最高だわ。
とりあえずまずは、助けてもらった感謝と、あとは文句の一つくらいは言わせてもらおう。俺が迂闊だったとはいえ、それくらいはいいよな?
と、俺が口を開こうとすると…
「仕上げにもういっちょパイロキネシス!」
え?ちょ――!もう正気に戻ってる――
って、熱っっっつ!熱い!なんか今度は火力強くない!?
今現在、俺の体内だけでなく、体の全てが大きな炎に包まれている。
俺を焼いて食う気か!?そこまで来たら治療じゃなくて、ただの攻撃だから!!!
熱い!痛い!とにかく熱い!さっきの優しい炎はどこ行ったんだよ!
――炎の熱に包まれるうちに、少しずつ意識が遠のいていく。やがて俺の意識はゆるやかに闇へと落ちていくだろう。
でも、今回は安心して気を失える。すまんが後のことは頼んだ。適当にベッドで寝かせておいてくれればいいからね。
「…せっかく意識を失った男がいるんだし、ちょっとくらいなら、いたずらしたっていいわよね?」
…おい。ギリギリ聞こえてた……ぞ。
そこで本当に俺の意識は途絶えた。
そうして、なんとかこの事故は未然に防がれた。
そして、これまでの一部始終を見ていたクスネは、こてんと首をかしげ、鼻でつんつんと倒れた俺をつついていたらしい。いや、あなたが拾ってきたきのこのせいなんだから、そんな不思議そうな顔しないでくれよ…
次回予告:凌辱触手系エロ漫画




