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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
5章 幻の惑星、ジ・アース!

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鍛冶鋳造!当たり前のように一日中鍛冶!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



「おはよう、クスネ。昨日は大変だったよ」


「わん!」


 目覚めてまず、真っ先にクスネを撫でながら、朝の挨拶を交わす。


 結局、昨日も朝から晩まで修行漬けだ。それに、体力的なこと以外もまあ大変だったのがなあ…


 というのも、これは完全に俺が悪いんだけど……ほぼ密着してずっと一緒にいたので、隣から常に女の香りが漂ってきて、集中力が削られまくったのだ。


 そんな時、ウツギに良いところを見せたくなって、無駄にカッコつけてしまう。俺の場合、カッコつけても上手くいった試しがないのにな。


 …ウツギのココナッツのような甘い体臭、あれは生き物たちより厄介だ。何度もくらっときたし、理性をガリガリ削られまくった。ウツギ本人からも「もっと集中しろ」って何度も叱られたしね。



「まあでも、収穫はあった。なんとなく強さの色の方向性は見えてきたぞ」


 ウツギの過去を知り、ウツギの戦い方を近くで見て、肌で感じ、戦い方の理解度が深まった。ウツギの隣という特等席で、ウツギの「強さの色」というものを、しみじみ理解させられたのが大きい。


 そして、俺も負けじと色々工夫をして戦ったからか、一つのひらめきを得た。後はそのひらめきをブラッシュアップしていけば、俺にも強さの色とやらが出てくると思う。



「おはよう、ヒノキ!今日は鍛冶を教えるわよ!」


「おう、おはようウツギ。今日も可愛いな」


 ドンと扉が開けられた。最近では、モーニングコールがある生活にも慣れてきた。やっぱり朝からこうやって起こされるのってなんかいい。


「じゃ、朝食を食べたら、地下の鍛冶場で教えていくわね」


「押忍!今日はよろしくな!あ、そうだ。ウツギが料理作るところ見ていていいか?」


「別にいいけど、今までも見てたじゃない」


「いや、もっと本格的に観察しようと思ってな」


 鍛冶とか、料理とか、一見強さに関係のないこういうことも、きっと俺が成長するためには必須なのだ。ウツギのように、すべての人生経験を糧に強くなりたい。



 ということで、今日もウツギの家庭的な朝食をもりもり食べ、配信開始だ。


「ういーす。名工創造神ムキムキイケメンのヒノキでーす。今日は鍛冶場から配信してまーす」


>告知をしてから配信しろ

>今日も楽しみ

>今日は鍛冶配信か

>あぁん♡私も鉄みたいに男に叩かれたいナ♡


「今日はちょっと退屈な配信になるかもしれないが、我慢してくれよな。チップに頼んでカット編集したものを動画としてアップすると思うから、そっちを見てくれてもいいぞ」


 せめてクスネがいれば癒やし配信ぐらいにはなったかもしれないが、クスネは今日モグちゃんと一緒にどこかへ探検に行ったみたいなんだよね。


 たった数日でクスネはモグちゃんと、とっても仲良しになった。俺はまだモグちゃんに触れたこともないのに、クスネはすごいな。


>年中暇なワイはずっと見てますねwww

>目が二つもあるのは、配信も動画も両方見るためだから

>適当に流し見しておくか→その後大遅刻って流れ、私は何度も繰り返してるwww


「ということで、親方!今日はよろしくおねがいします!」


 やっぱ鍛冶屋といえば親方呼びだよな。


「お、親方?まあいいわ。じゃあ見習いくんに、手取り足取り教えてあげるわね」


>おお、なんかえっちだ…

>ウツギがちょっと嬉しそうなのムカつくwww

>手取り足取り!?

>変なことまで教えられそうwww


「さて、あなたは現代の鍛冶じゃなくて、原始的な鍛冶をしたいのよね?それなら、こっちへきて。昨日の間に原始的な炉を作っておいたから、この炉でやっていくわよ」


「おお!助かる!この炉って俺にも作れる?」


「簡単な作りだからあなたにも作れるはずよ。設計図を送っておくわね」

 

 俺のチップにこの炉の仕組み、作り方のデータが届いた。確かにシンプルで素材も知っているものしかないので、これなら頑張れば作れそうだ。


「じゃあ、まずはこれを渡しておくわ」


 ウツギからトランクケースのようなものを渡された。


「これは?」


「鍛冶・鋳造初心者セットよ。これと炉さえあれば、基本の鍛冶は何でもできるわ」


 中を開けると、ハンマー、鉄床(かなとこ)鉗子(かんし)(鉄を掴むトングのようなもの)、練習用の素材(金属棒・鉄片のセット)、ヤスリ・研磨用具、保護具、簡易クーリング用容器(金属を急冷する水や油を入れる容器)、ふいご、鋳型、バーナーなどが入っていた。


>おへー。原始的ぃ!

>原始的すぎてくらくらしてきた

>もはやおままごとじゃんwww

>こんなので鍛冶ができるんだ…


「今日の目標は、鍛冶でナイフを作ること。鋳造でペンダントを作ることよ。人のために作るほうが気合が入るから、ナイフはうちのために作りなさい。あと、たしかあなたって“縁結びの実”を肌身離さず持ってるのよね?それを入れるシンプルなペンダントなんていいんじゃない?」


「おっけー!というか、今日だけでそこまでできるようになるのか!鍛冶の習得にはもっと長い年月がかかると思ってた!……ん?あれ?ウツギに俺が縁結びの実を持ってるって話したっけ?」


「……セリから聞いたのよ」


>なんか反応に違和感があるな

>なんかウツギ誤魔化してない?

>目が泳いでたし、なんかありそう


 …確かに、ちょっと反応が変だった。なにかやましいことがあるような、そんな反応だった。


「えっと――」

「さ、始めるわよ!」


 俺が追求しようとすると、遮るように強引にウツギが口を開いた。あまりに露骨に追求から逃れてきたな。


 …何を隠したいのかはわからないが、まあいいか。そこまで悪意は感じなかったので、俺に害のある秘密じゃなさそうだしな。



「じゃ、まずは鋳造からね!今回は比較的初心者でも扱いやすいスズを使うわ!」


 ここから、実際にやってみながらウツギはお手本を見せてくれた。


「やることは簡単よ!まずはスズを溶かす。次に鋳型にゆっくり流す。極論たったそれだけで鋳造はできるからね」


 なんだか、ウツギの手際がとても良く、美しさすら感じる。それに、炎に照らされる横顔や、時々髪をかきあげる仕草に、思わずぐっときてしまった。


「…」


「ちょっと!聞いてるの!」


「お、おう!」


「ふぅーん……なるほどね。こういうときくらいは視聴者って便利ね。うちはあなたのこと見てなかったけど、どういう状況か一発で分かるんだもの」


 ウツギが自分の配信のコメント欄を見て、それから俺に向かってニヤニヤと笑う。


「べ、別にウツギに見とれてなんかいないからな!」

「あら?うちは何も言ってないけど?」


「…ぎゃふん」

 

 ぐうの音も出ない。


「(あ、確かヒノキ攻略法に、こんなことが載ってたような……うん。あなたのお母様が教えてくれた攻略法、かなり信憑性がありそうね)」


 ウツギがボソボソと小声で何かを呟く。


 半分以上何を言っているのか分からなかったが、ヒノキ攻略法と断片的に聞こえた。その攻略法とやら、怖いからあんまり試さないでほしい。


「ふふ、ま、今回はこれくらいで勘弁してあげるわ。もう一回やってあげるから、今度はしっかり理解してね。今は大まかに理解しているだけでいいわ」


 もう一度同じことをやってもらって、俺はなんとか理解した。



「さて、次は鍛冶を教えるわよ。ナイフの作り方を説明するわね。まず鋼を加熱して柔らかくする。次にハンマーで叩いて成形する。その後加熱して急冷。そこから研ぎに入り、最後に仕上げをして完成よ」


 これも実際にやりながらゆっくり手順を教えてもらった。


「オッケー。なんとなく理解したわ。とりあえずやってみるな」


「ちょっと待った。ずぶの素人が今日中にナイフやペンダントを作れるまでに成長するなんて無理だから、最初はちょっとした秘策を使うわ」


「ん?秘策?」


「そう。体の力を抜いて?」


 指示通りに俺は脱力した。

 

「はーい。そのままでいてね。じゃ、いくわよ。テレキネシス」


 …え?


 俺の体がテレキネシスによって、圧がかかった。

 

「ちょっと、抵抗しないの!最初はうちがサイキックであなたの体を操って、鍛冶や鋳造をやるわ。そのほうが覚えがいいのよ!」


 ああ、なるほど。なら最初からそう説明してくれ。いきなり攻撃されたからと思ってびっくりしたじゃん。


 でも、サイキックってそういうのにも応用できるのか。便利だなあ…


 

 この作戦のおかげで、俺は短時間で最低限の鍛冶と鋳造のスキルを得た。正解の動きが体で分かっているから、後は自分の力で真似していくだけだ。


 そして、俺は以前より圧倒的に体の使い方がうまい。これはアンドロイド流武術のおかげだ。だからか、俺は割と早い段階でウツギからの課題はクリアできた。



「このナイフ、結構いいわね。厳しい目で見ればところどころちょっと歪みがあるけれど、初心者にしては相当上出来よ。それに、鍛冶みたいな作品作りには作者の性格が自然と滲み出るの。荒々しい向上心と気骨さが感じられて、うちはこの無骨なナイフ、かなり好きよ」


「……」


 ウツギからお褒めの言葉を背中で聞きながらも、まだまだ初心者の俺は数をこなすべく、とにかくガンガン鉄を叩く。


>ヒノキの耳が赤いwww

>恥ずかしがってて草

>褒められて嬉しいのバレバレなのに、照れんなよwww


「あーもう!視聴者うるさい!」

「そこ、ハンマーの振りに邪念が混じったわ。鉄を叩くときは鉄のこと以外考えちゃダメよ」


「……はい」


>やーい、怒られてやんの~

>ほら?もっと集中しろよ?

>ほんとヒノキくんはダメダメでちゅね~www


「くっそ……覚えてろよ」

「集中!」


「はい!」


 このようにして、この日は一日中鍛冶に取り組んだのだった。


次回予告:我は卑怯な戦いは好まぬ。さあ、癒やしてやろう

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二百話おめでとうございます
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