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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
5章 幻の惑星、ジ・アース!

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親友襲来!面倒な女!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



「おはよう、クスネ。さて、今日はカマクラホテルで撮影だ。気合い入れていこう!」


「わん!」


 今日はトリカとのシェアハウスの六日目。残り二日となった。この日を頑張れば明日は丸一日休みらしい。思い残すことがないように、精一杯一日を過ごすぞ!


 ということで、朝食を食べ、俺はトリカの宇宙船に乗り、カマクラホテルへ。


「なあ~ご」


「わん!」


 宇宙船に乗ると、クスネがロイヤルのいるところへ一直線に駆けていった。


 クスネはこの生活で、ロイヤルとかなり仲良くなったようだ。今も仲良くじゃれ合っている。


 俺はこの生活がかなり忙しく、あまりクスネと遊べなかったのだが、ロイヤルがクスネとたくさん遊んでくれた。仲良くなるのも必然だろう。


 大型猫と小型犬が仲睦まじい姿は、とても微笑ましい。



 あっという間にカマクラホテルに到着。ここは惑星の真裏なので、夜。辺りは真っ暗だ。


 一応今ここの季節は春らしいが、まだまだ地面にはたくさんの雪が残っているし、気温も寒い。


 基本的にこの辺りは寒く、夏でも完全には雪が溶けないので、実質ずっと冬みたいなものなんだよね。


 とか考えながら、テキパキと俺たちはホテルの一室に入った。


「さて、早速撮影を始めるわよ!」


「それはいいんだが、台本を一切渡されてないから、何をすればいいのか分からないんだが…」


 トリカの親友と共演するということは聞いているが、それ以外は教えてもらっていない。


「別に何もしなくていいわよ。それに、あなたは役者じゃないから、演技しろって言っても難しいでしょ?今まで通り自然体を勝手に撮影して、こっちで上手いことやるわ。さて、そろそろアイツも来るはずなんだけど――噂をすれば、来たみたいね」


――シュン。


 この部屋に、トリカが招待した人物が現れた。アバターの見た目は中性的な男性のような感じ。女性と聞いていたが、かなりのイケメンだ。あれかな?アバターの見た目を設定で変更したのかな?


 

 そんな彼女は、なぜか来て早々「よいしょ」と机の上に登り、トリカを見下ろして指を突きつけた。


 えっと……何してるんだ?あんまり机の上に立つなんてお行儀が良くないぞ?


「さあ!シベが来たわ!トリカ!今日こそあなたを跪かせてあげるからね!あははははは!っととと、あっ、ちょっ、待っ――わあああああ!」


 ドンガラガッシャーン!


 シベと名乗る女性は、胸を張ったせいでバランスを崩し、机から落下したのだった…


 ええ…


 わざわざ机に登ったのも意味が分からないし、開口一番挨拶もないし、妙に喧嘩腰だし……何この人?


 というか、親友と聞いていたのだが……ほんとか?



「いてて……わ、わざとよ!トリカを油断させるために、わざとコケたのよ!」


 彼女は地面から涙目で明らかな虚勢を張った。


「はいはい、分かった分かった。じゃ、早速撮影を始めるわよ。といっても、あなたに演技なんて期待していないから、適当に喋ってるだけでいいわよ」


「ちょっと!シベは未来の“宇宙一の名俳優”よ!現状ではあなたの方がちょーっと有名だからって、シベを舐めてると痛い目見るからね!」


 

――その後もシベさん?は、やたらとトリカに歯向かっていった。


 やれ「シベの方が絶対優秀なのに!」だとか、やれ「その変化した姿より、前の姿の方がまだ良かった」だとか。


 …なんだろう。この、そこはかとなく漂ってくるポンコツ臭は。少し失礼かもしれないが、小型犬がキャンキャン吠えているようにしか感じない。


 というか、彼女は視界が極端に狭いのか、さっきから俺の存在にまったく気がついていない。トリカのことしか見えていないみたいだ。


 えっと……俺、この人と共演するの?不安しか感じないのだが…



「ヒノキ。紹介するわね。コイツはシベ子。ま、見ての通り、(つら)だけは良い残念な女よ。こんなのでも一応わたくしの親友だから、できればでいいけど仲良くしてほしいわ」


「ちょっと!シベ子って呼ぶな!シベには“シベリアン・ブルー・コーナーRCF871615…(この後も長いから省略)”っていう立派な名前があるんだからね!ちゃんと正式名称で呼びなさい!」


「まあ、大体シベ子か、アイツって呼ばれてるわね。ちなみに、素の見た目はこのアバターのまんまよ」


 ええっ!素でそのイケメンさなの!?男の俺よりかっこいい気が…


 いやいや、流石にそれはない……よな?


「ん?ああ、もう一人いたのね。……って、ヒノキじゃない!」


 ようやく、シベ子さんが俺に気づいた。



 目があったところで、俺は手を差し出し、握手を申し込む。


「シベ子さん。今日はよろしくお願いします」


 パン!


 俺の出した手は勢いよく払われた。


 …は?


 思わぬことに、俺の表情は固まる。

 

「シベは認めない……認めないわ!!!」


 えええ……何が何を認めないんだ?思考回路も意味不明だし、あんまり主観だけで話さないでくれ。


 てかさあ……初対面の俺にもそんな態度って流石に…


 そんなシベ子は俺の事を無視し、トリカに向き直った。


「ははは!結局トリカもただのメスだったってわけね!こんなエロいだけの男に溺れるような女に、シベは負けるわけないもの!」


 これ、めちゃくちゃ喧嘩売られてるよな?面倒だからシベ子って呼んだのが悪かったのか?いや、それにしても初対面からめちゃくちゃ嫌われている気が…


 もう埒が明かないので、俺はトリカに目線で助けを求めることにした。


「シベ子。せめて挨拶くらいしなさい」


「シベ子って呼ぶな!まあ良いわ。シベは大人だから、しっかり挨拶してあげる。ヒノキ、よく聞きなさい!シベの名はシベリアン…(省略)トリカの最大のライバルよ!全宇宙人が涙し、土下座して祈りを捧げ、後の世に表現の女神と呼ばれるであろうこの名を、しっかり脳に刻み込んでおくことね!」


「シベ子はそうほざいてるけど、ただのまったく芽のでない俳優の卵でしかないわ。もちろん、こんなやつにまともな演技なんてできるわけないから、ほぼ稼げていないわね。でも、その(つら)の良さのせいでいろんな女に貢がれてるから、金には困ってないわ」


「シベ子って呼ぶな!」


 ……ふぅん。なるほど、なるほど。そうなのね、女に貢がれて生活なんていう、男の俺でもできないことを平然とやってるってわけね。へえ…



 なんかさあ、これ、あくまで聞いた話なんだけど~……


 この宇宙に存在するイケメンってさ、全員例外なく性格悪いらしいよ?


 いや、あくまで聞いた話だよ?なんか有名な教授もそう言ってたって――いやいや~、別に陰口じゃないって~。あくまで、聞いた話だから、ね?


「やっぱイケメンって糞だわ」


「は?それ、シベに言ってる?」


 おっとっと、思考が漏れてしまった。でも――


「おやおやあ?イケメンって言っただけで、すぐに自分のことって思うなんて……ふっ、自意識過剰ですねえ???」


 イケメンへの醜い嫉妬心のせいか、口から勝手に言葉が出てきて止まらない。


「へぇ……やっぱりあれね。男って総じてゴミね。それも、体つきだけエロい男って、礼儀もわきまえないし、中身がすっからかんってのは本当みたいね!」


「ふぅん……礼儀をわきまえないのは、そちらじゃありませんか?というかさあ、あなたってほんとにトリカの親友なの?勝手に名乗ってるだけじゃなくて?」


「あんたこそ、そんなんでほんとにトリカの恋人なわけ?まったく!微塵も!一ミリたりとも!釣り合ってないわよ?こんな男に付きまとわれてるなんて、トリカが可哀想だわ!」


 かっちーん。


「そっちこそ、俳優(笑)のくせに!ばーかばーか!ばーーーーか!」


「バカはそっちよ!バカバカバカバカ!」


 どうも俺、この人との相性が良くないみたいだ。俺を恋敵を見るような目で見てくるからか、喧嘩を買わずにはいられない。


 やっぱあれだ。イケメン死ぞ。



 そんな俺たちを見て、トリカが満足そうに頷く。


「うんうん。仲良さそうで何よりね」


「「良くない!」」



――結局この日、俺たちは撮影なんて忘れ、一日中喧嘩ばかりしていた。


 ただ、その映像をトリカがいい感じに加工。最後には、なぜか俺とシベ子がトリカを取り合う構図として、めちゃくちゃいい感じの映像となっていたのだった。


「ふふ、シベ子の相手をヒノキが勝手にしてくれて助かったわ。あの子、会わない日が続くと加速度的にうるさくなるから、たまに息抜きしないと面倒なのよね。それに、MVとして良い映像も撮れたし、一石二鳥ね」


 最後には、トリカだけが満足そうに笑っていた。



次回予告:親の顔よりなんとやら

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