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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
5章 幻の惑星、ジ・アース!

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恋人同棲!その5!逃げ切り成功!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



――今日は最後までいけそう。そんな予感がする。


 無音無光、高重力下で俺は考え続ける。思考リソースを一割しか使っていないとはいえ、考え続けるというのは俺にとって大変なことだと思っていたのだが……どうもこのやり方は俺に合っていたようで、慣れてくるとまったく苦にならない。


 しかも、一割しか思考にリソースを使っていないはずなのに、いつもより考え事が進む気さえする。


 どうやら俺、変に深く物事を考えすぎていたようだ。それがいい人もいるのだろうが、俺にそのやり方は合わなかったのだろう。修行の片手間に考え事をする程度なのに、こんなに効率がいいとは自分でもびっくりだ。


 とはいえ、俺が考え事が苦手なことには変わりない。これも全ての悩みが解決するような、とんでもない方法でもないからな。


 あくまで、一歩ずつだ。少しずつ自分と向き合い、焦らずゆっくり自己理解を深めていく。



――そうして、丁寧に丁寧にアンドロイド流修行を進めていった結果。


「あなたはケツを蹴ってあげるとなんだかんだやりとげると知ってはいましたけれど……まさか、今日中にクリアするとは思わなかったわ」


 俺は三回目のチャレンジで、一時間しっかりやり切ることができたのだ!


「まあ、ゴリ押しみたいなものなんだけどな」


 修行というのは、本来苦しみに耐え抜き、壁を乗り越えることこそ重要なはずだ。ただ、そういう方向では俺は何も成し遂げられてはいない。弱さを受け入れたり、負の感情を受け止め、自身の糧とし、楽しむことなどもほぼできていない。


 それでも俺は、強引に一時間をただただ耐えきった。


 トリカの「あなたならできるわ」という力強い言葉を励みにしたり、どうしても辛くなった時に、セリやトリカなど、俺の大好きな人の顔を思い出し、辛さを誤魔化したり…


 達成したというより、ただただ逃げ切ったという方が正しいかもしれない。



「無理やりでもこの修行をやり遂げたら、突然どーんと強くなれたりするかもとか思ってたけど……そういうのはなさそうだな」


 流石にそこまで甘くないか。


「ま、アンドロイド流武術ってそういうのじゃないしね。わたくしが思うに、この武術はあくまで強者がもっと成長するきっかけを掴むだけのものよ」


 俺より先にアンドロイド流武術を達成したトリカがそう言うのなら、本当にそうなのだろう。


 それに、ヨヒラも「何度も繰り返しやっていくうちに、何か分かってくる類の修行」と言っていた。一度クリアしたくらいじゃ、まだまだ道半ばってことか。


「それでもおそらく、あなたの身体は修行前から明確に変わっているはずよ。数値にでない分、分かりにくいけどね」


 そうだな。チップで毎日自身の身体をスキャンしているから分かるが、数値上だと各種身体能力が微増しているだけだ。感覚的には以前と大違いなんだがなあ…


 まあ、俺は非合理性の追求をしているので、数値という合理的なものに一喜一憂する必要はないんだけどな。


 

「で、どうして強くなりたいか、結論は出た?」


 もちろん、それについてもたくさん考えた。


「…まあ、あくまで輪郭だけだが、ちょっと見えてきたくらいかな。色々分かってきたけど、言語化するほど固まってもいないって感じ」


「上出来よ。そうやってずっと続けていれば、もっと明確に答えが出るはずよ。……まあ、たとえ一つの問題に対して答えが出たとしても、また新たな課題が出てくるのが、この武術の厄介な所なんだけどね」


「え?そうなの?」


「そうよ。わたくしの分析によると、アンドロイドはどうかまでは知らないけれど、少なくとも貪欲な人間にとって、この武術はそういうものよ。あなたも一度クリアしたくらいじゃ、満足してないでしょ?」


 確かにそうだ。俺は現状にまったく満足していない。特に『弱さを受け入れる』という特大の課題が、まるっきり進んでいないからな。それが達成できたときこそ、俺は爆発的に成長できると確信しているのだが…


「その感覚が無限に続くことになるわ。色々未完成で未熟な武術だけど、その点だけでいえば優秀なんですわよね。ま、これからもがんばんなさい」


 どうもトリカはアンドロイド流武術にかなりの理解度があるな。アンドロイドであるヨヒラよりも詳しい気がする。


 これは、トリカがアレンジしたとはいえ、アンドロイド流武術をクリアしたからかな?それとも、トリカの類稀なる分析力によるものなのかな?


 …まあ、どっちもだろうな。



「じゃ、休憩もそこそこできたようだし、もう一周やるわよ!準備しなさい!」


「ええ!?取り繕ってはいたけど、もう俺かなり限界に近いよ?まだやるの?」


「たった一度クリアしたくらいじゃ終わらないわ!夕食の時間までぶっ続けでやるわよ!大丈夫、わたくしの歌は、たとえ燃えカスになった気力だろうが、蘇らせるからね!」


「ひえー!」


 結局この日はあと二回やることになったのだった。辛すぎワロタ。



 その日は修行終わりの夕食後、大自然でダンスする映像を撮るため遠征しに行き、トリカの宇宙船の高性能な風呂で疲れをとろけさせ、トリカと今日思ったこと、考えていたことを会議して、その後トリカと激しく愛を深めあった。


 肉体的にも精神的にも、ハチャメチャに疲れた。ほんとなら、今すぐに寝たい。


 だが、就寝前に母とルリさんを呼び出して、話し合いをしないといけない。それに、トリカもこのあと仕事があるらしく、今も働いているらしい。そんなふうにされたら、俺だけ弱音を吐く気にもならない。


 たった五分だけだし、もうひと頑張りしますかね…


「我に選ばれし(クルー)よ。会合せよ。零地点(ゼロサンクチュアリ)へ!」


【合言葉を承認しました。次元跳躍(ワープジャンプ)を開始します】


 ってことで、約一週間ぶりにこの惑星の中心、操縦席に三人が集結した。もちろん、偽装工作はバッチリだ。


「ヒノキくん、久しぶり~♡」


「…今日はちょっと時間的に早いわね。もうちょっと遅いほうが都合が良いのだけど…」


「仕方ないんだよ。これ以上遅くすると、俺は寝ちゃうと思う。この生活が思ったよりハードだったんだよ」


「ま、仕方ないわね。こっちでなんとか調整するわ」


 挨拶もそこそこに、俺たちは話し合いを始める。いつも通り母がこの場所を調べ、ルリさんが俺に説明をするという流れだ。


「そうだ。俺から聞きたいことがあったんだよ。今日はその話でもいい?」


「ええ。もちろんいいわよ~♡ヒノキくんには付き合ってもらっている立場だしね~♡」


「じゃ、遠慮なく……閣下のことなんだが――」


 俺は覚えている限り正確に、閣下に脳内に直接映像を見せられた時のことを話した。



「で、閣下は何者なんだ?地球関係者ってことは分かったんだが…」


 どうもそれ以外はよく分からなかったんだよね。


「そうね~。ルリが分かっている範囲で閣下について話しましょうか。閣下は地球製の“縁結びの神様”みたいなものよ~。閣下みたいなのが、地球には五万と生息しているわ~。流石は愛の惑星といったところね」


「あ、その愛の惑星っていうワードも閣下から流れてきた気がする!その時はよく分からなさすぎて聞き流したけど、愛の惑星ってなんだよ」


「そう、地球って“愛”に関してはすごいのよ~。愛さえあれば、なんだって許されるの♡それが幻の惑星ジ・アースよ!」


 いや、そんなドヤ顔で宣言されましても…


「まあ、今は閣下の話よね~。閣下は地球ではすごくありがたがれている存在よ。何しろ縁結びの神様だからね。でも、それがセリちゃんの元へ現れたのよね。それも、運命を捻じ曲げて。セリちゃん。恐ろしい娘だわ~」


「…ああ、その運命の相手みたいなのも、閣下が映像で流していた気がする。たしか、ヨヒラと俺が運命の相手みたいなやつ。それってどういう意味?」


 俺は少しだけ顔をしかめながらルリさんにそう尋ねた。


 俺には運命とかそういう類の言葉にアレルギーがある。何をしても未来は変わらないとか、そういうの、すっごく苦手。なんか、努力しても無駄と言われているような気分になってしまう。


 多分母もそこに関しては同じだと思う。何しろ、常識なんて守るなって心持ちで、日々常識を打破しようとしている人だからな。


「それに関しては推測になるけれど……あら?もう説明している時間はなさそうね。じゃ、とりあえずこういう風に認識しておいて。ジ・アースには、こんな名言があるの。『大体Eエネルギーのせい』」


 なるほど。分からんけど分かった。Eエネルギーが悪さをしている感じなのね。了解。


「じゃ、今日はここまでだな。もうこっちは事前に週初めの予定を開けていたから、六日後が一番都合がいいんだが……エネルギーの噛み合いがあるんでしょ?六日後でもいける?」


 母がそう尋ねる。

 

「あ、それは大丈夫。一日遅れた分のエネルギーがあるから。じゃ、またねー」


「あ、ちょっと待った。ヒノキ、最後にちょっとこっちへ来て?」


「ん?どうしたんだ?」


 疑問に思いつつも、俺は手招きする母に近寄った。


 すると、母は俺の頭を力強く「偉い偉い!」と撫でてきた。


「あなた今日、何か一つ壁を乗り越えたでしょ?母には分かる。明らかに内包する存在感が違ってるもの。その調子で、どんどん常識を打破していきなさい!」


 きっと、俺が今日アンドロイド流武術を最後までやり遂げたことを、母にはなんとなく分かったのだろう。


「…」


 …こうもまっすぐ褒められると、むず痒い。嬉しいのが恥ずかしく、俺は下を向いてしまった。


 でも、確認しなくても分かる。絶対に母は俺を優しい目で見ているはずだ。手つきから、そういう親心のようなものが、ありありと伝わってくるのだ。


 これだけ成長しようが、母にとっての俺は変わらず子どもなんだなあ…


 そうしてその日の時間ギリギリまで、何も抵抗せず黙って撫でられ続けたのだった。


次回予告:ヒノキ……死んだな

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