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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
5章 幻の惑星、ジ・アース!

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平凡日常!朝の一幕!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。


 さて、一日寝て、朝。


 セリの家での初めての朝は、こんな感じの流れだった――



「おはよう、ヒノキ」


「おう、おはようさん」


 俺はセリの部屋のベッドで目覚めた。


 見渡してみると、近くで寝ていたクスネの姿がない。おそらくこの家か、この森の周辺を探索しに行ったのだろう。


 

 ヨヒラとのシェアハウスでは、俺は客室で一人で寝ていたが、セリとのシェアハウスでは、俺の部屋というものは用意されていない。


 よって、これからずっと一緒の部屋で暮らし、一緒の机で食事をし、一緒のベッドで寝るという生活を送ることになるだろう。


 というか、セリのこの家、広い割にまともに使える部屋がここくらいしかないんだよね。お化け屋敷というロマンを詰め込んだので、色々無駄が多いのだ。


「ヒノキは朝ご飯食べるよね?じゃあ、僕の分も朝ご飯作ってー。その後、僕は寝るね」


 セリがこたつで寝返りを打ちながら俺にそう伝えた。セリの方にチラリと視線を移すと、空中にたくさんのモニターを表示させ、ポチポチと指示のコマンドをいじっていた。あれは多分ストラテジーゲームかな?


「ういーす、了解。適当になんか作ってくるわ」


「わーい!ヒノキの作るご飯好きー!」


 こう素直に喜んでくれると、こっちも嬉しくなっちゃうな。

 

 セリは昨夜俺が寝た後ゲームを始め、今までぶっ続けでやっていたのだろう。そんな生活だから、リズムは狂いまくりで俺と合わないことも多い。まあ、そういうのを含めてセリらしいんだけどな。



 その後俺は身だしなみのチェックや、軽い運動をしたりなどの朝のルーティーンをぱぱっと済ませ、キッチンへ向かう。


「さて、今日のセリのキッチンには、どんな食材があるかなー」

 

 今から作る食事は、最小限の手間で作れるものにする予定だ。朝くらいは、なるべく手間のかからないことに越したことはないからな。


 普段の俺の朝食だって、夕食に作っておいたものをまた食べることが多いくらいだしね。


「ほい、キッチン到着ー」


 配信外でも何度か使っているので、大体の勝手は分かっている。


 この屋敷はお化け屋敷をイメージして作られているせいか、キッチンもどこか不気味な雰囲気を漂わせている。しかし、機能そのものはしっかりしていて、料理をするには十分だ。


 ここに来たばかりの頃は、勝手にカタカタ動き出す欠けたティーカップや、不気味に響く水音、床に点々と残る拭き取られたような血の跡などに、毎回ビビっていた。だが、最近ではすっかり慣れてしまった。


「おっ、閣下はここにいたのか。おはよう」


「かっか!」

 

 俺はいつものごとく閣下と優しくハイタッチをして挨拶する。


 どうも閣下はこの家でとても自由に暮らしているようで、ほぼ使っていないこの屋敷の部屋などを回って、気分によって寝る場所や暮らす場所を変えているらしい。


 今日はキッチンの”冷蔵庫型食料保存庫”の横の、少しの隙間に座布団を敷いてのんびりしていたようだ。


 …なんでそこ?とは思わなくはないが、まあ未知の生物だし、俺の常識で図れる存在じゃないからな。



 食料保存庫の扉を開き、中の食材を物色する。


 セリは気まぐれなので、食べるものもその時の気分次第で大きく変化する。中に何が入っているかは、日によってぜんぜん違うのだ。


「とはいえ、いつものごとく甘いものばっか入ってるなあ……俺はもうちょい腹に貯まるものが食べたいんだが……おっ、コーヒー発見!これは飲もう。あとは……よし。この材料なら、ホットケーキが作れそうだな」


 俺はホットケーキにはベーコンやフライドポテトなど、しょっぱいものを組み合わせるのが個人的に好きだ。でも、今日の食料保存庫にはそういうのがない。


 うーん……俺、ホットケーキだけだとほんのり物足りないんだよね。


「仕方ない。妥協案として、あり物のアイスや生クリーム、クッキーなどを足して、少し豪勢な朝食にするか」


 俺は自動調理器に、ホットケーキの素材を入れ、完成したものにトッピングをしていく。こんなのでも、料理をしないセリからすれば立派な料理らしい。何を作るか考えたのと、できたものにほんの一手間加えただけなんだがなあ…


「ほい、あっという間に完成っと。面倒だから久しぶりに自動調理器を使ったが、やっぱ便利だな。ただ、いかにも甘そうだ」


 別に甘いものは俺も嫌いではないし、コーヒーと甘いものは合うので、これで良いっちゃあ良いんだけど……こういうのはたまに食べるならいいが、毎回これだと少し億劫だ。


 やっぱり保存庫の食材に偏りがあると、作れる料理の範囲が狭いな。


 …まあ、セリは偏食というだけで、食にこだわっているというわけではないからな。仕方のないことだ。


「さて、あとはセリの部屋で、ゆっくりコーヒーを入れながら食べるか」


 自動調理器にコーヒー豆を入れれば、コーヒーすらも入れてくれる。一瞬で出てくるし、味も普通に美味しい。


 ただ、せっかくなら俺はコーヒーメーカーで入れたものを飲みたい。


 …セリが持っているコーヒーメーカー、サイフォン式でなんかおしゃれなんだよね。要は雰囲気も楽しみたいのだ。


「…そういや、何気にこの惑星に来て、コーヒーを飲むのは初めてだなあ……というかこのコーヒー豆、この森にあったやつっぽいな。毒抜きもしっかりされているけど、セリがこういうことをやるとは思えないんだが…」


「かっか!」


「ああ、閣下が取ってきて毒抜きしたのか。なるほどね」


 閣下が頭の触手の先をこげ茶色に光らせた。たしかこの色は自慢げな時だったかな?


 閣下もなかなかどうしてこの生活をエンジョイしているようだ。



 さて、そんなところで、朝食一式を部屋に持っていく。この時、閣下もコップを運ぶのを手伝ってくれた。気が利くし可愛い。一家に一匹閣下欲しい。


 部屋に入り、こたつの上に朝食を並べていく。サイフォンもセット完了だ。


 俺がこの様に準備している間に、セリが俺の隣にピッタリと陣取った。ま、いつものことだな。


「さ、食べようぜ」


「おおー。豪華な朝食だ!嬉しいなあ!」


 セリの声が弾んでいる。こんな手間のかかっていない料理でも、喜んでくれるのは嬉しいものだ。



「「いただきまーす!」」「かっか!」


 俺たちの挨拶に合わせ、閣下も楽しそうに声を上げる。


「あ、そうだ。ヒイラさんからヒノキが昔ハマっていたゲームを届けてもらったよ。ほら?あのアイス猫のやつ」


 セリはホットケーキを小さく切り分けながら、ふと思い出したように話を切り出す。


「ああ、あれか。クソゲーだけど、あの時は妙にハマったんだよな……久しぶりにまたプレイしようかな」


 俺は口いっぱいに入れたホットケーキを飲み込むと、懐かしみながら返事をした。


 そのゲームの内容は、小さく貧弱な“アイス猫”という架空の生き物を操作して、大冒険していくというものだ。


 アイス猫は動くだけで溶けていってしまうので、ちょくちょく冷凍庫に入らないと死んでしまうという特性がある。


 全てがパステルカラーで描かれた柔らかい世界を冒険するのだが、雰囲気の割に操作難易度が高く、生死がシビアで、ギミックも理不尽。


 世間的には決していい評価のゲームではないのだが、やればやるほどハマっていくスルメゲーだと個人的には思っている。


「うん。そうしてよ。僕もヒノキが悪戦苦闘してるところ、また見たいし。あ、今日の配信はそのゲームにしたら?いわゆるゲーム配信ってやつだよ」


「うーん、そうするかなあ……あ、でも、ホントは今日、食材集めにしようかなあと思ってたんだ」


「なら、僕が適当にヒノキの好きそうな食材を買っておくよ。あ、そうだ、話は変わるけど――」


 穏やかな日常会話で、セリとの会話は途切れることはなかった。



――こんな感じで、朝の一幕は終わりだ。


 セリとの暮らしは、なんと言えばいいのだろうか?


 すっごく、普通だ。


 今朝も、朝起きて、朝食を作って、何気ない会話をしながら、食事を共にしただけ。


 でも、とても自然というか、生活をしていて全く違和感がないというか――なんだか、息がしやすいのだ。



 そして俺はこの後、一人でゲーム配信して、セリが起きてきたら昼頃に昼食を一緒に食べる。昼食後は一緒にゲームをし続け、少し疲れたら散歩して、またゲーム。このあたりで配信は終了。その後俺は筋トレと、アンドロイド流武術に取り組み、帰ってきたクスネと遊び、夕食を作り、またゲームして、セリと一緒に寝る。


 この日はこんな一日となった。


 …そういえばセリはシェアハウスをするとなった時、『ゲームで学んだ技術とか、素材の毒抜きの方法とか教える』みたいなことを言っていた気がするのだが、そういったことが一切起こる気配がない。


 それについて夜に直球で聞いてみると、「なんか、気が変わったんだー」と返答された。うーん、気まぐれだなあ…


 とまあ、このように、今日はとくに何か努力した一日というわけではない。


 しかし、なぜか俺はいつもより調子が良く、視聴者からは「なんかいつもより話すことが面白い」と褒められ、アンドロイド流武術の修行すら捗った日となったのだった。


次回予告:モテ女へのヘイトが高すぎる

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