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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
5章 幻の惑星、ジ・アース!

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機械武術!その2!目指せ大木!

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 ぐぎぎぎぎぎっ…!


(これは、あれだ。この修行の攻略法とかの前に、とにかくこの環境に慣れないと、話にならない!)


 俺は寒さでガタガタ震えながら、とにかく必死に呼吸する。


 その状態で目をつむったまま、攻略法を考える。


 前世の滝行の感覚なら、こういうのはとにかく無心になるのが良しとされがちだ。ただ、これはもはや前世の滝行とは別物。無心になることが良いことなのか悪いことなのか、それすら分からない。


 まあでも、一旦思いついたし……無心とやら、やるだけやってみるか。前世でも心頭滅却すればなんちゃらかんちゃらって言ってたしな。


 いざ!無念無想の境地へ!



 ……クスネってうんちした時、「うんちした!えらいでしょ!褒めて!」って顔で見てくることあるんだけど、あの時笑っちゃいそうになるんだよな。



 ……二体の優秀なナスの門番――双璧おナス。



 ……そういや、閣下の頭の光に、虫って寄ってこないのかな?



 だめだ!さっきからよく分からんことばっかり考えてしまう!もしこれが坐禅中だったら、俺はあの木の棒みたいなやつで、タコ殴りにされていただろう。


 修行すればいずれ無心になれるのかもしれないが、とりあえず今の俺にはこの方法は向いていない。



 耐え続けていると、少しづつ寒さに慣れてきたし、呼吸するのにもわずかに慣れてきた。自然とこの環境に適応しつつあるようだ。


 …あ、そうだ。そういえば、ヨヒラはこんなことを言っていたな。


『目標は完全なる静止状態に至ることです。最初は難しいと思いますが、とにかく目標に向かって頑張ってみてください』


 完全なる静止状態……か。それがどういうものかはなんとなくしか分からないが、とにかく動かなければいいってことだよな?


 よし!その方向性で頑張ってみよう!


 俺は全身の筋肉にぎゅっと力を込め、震える身体を無理やり抑え込んだ。呼吸も浅くならないように意識し、鼻からゆっくり吸って、また鼻から静かに吐き出す。ついでに背筋も伸ばして――



 …うん。


 これ、結構キツイ。


 常に身体を緊張させながら、水の流れに逆らい続けるのは、なかなかの根性が要る。降ってくる小石に無反応でいることがしんどい。寒いことを表に出さないのが辛い。


 でも、俺はこの攻略法が気に入った。ただただ根性で耐えるというシンプルさ、小細工なしの真っ向勝負感が、俺のやる気を上げてくれる。


 よし!俺はこの方法でこの滝行をクリアすることにする!もう決めた!


 一度決めたなら、後はただやるだけだ。俺は根性では誰にも負けたくない。滝行にも、自分自身にも負けない!この方法で、俺は完全なる静止状態とやらを目指すぞ!

 


――その後、どんどんレベルが上がる滝行に、俺は振り回されることになった。


 水に鋭さが増し、全身が痛む事もあった。水の流れがランダムになり、大量の水に身体が上下左右、どこへでも持ってかれそうなこともあった。大岩が俺の身体をかすめ、命の危機を感じる場面すらあった。水の温度すらめちゃくちゃで、とにかく大変だった。


 それでも、俺は耐え続けた。とにかく全身の筋肉にぎゅっと力を入れ、耐えに耐え続けたのだ。


 そうやって滝行すること一時間。


――ふぁああああん。


 終了のブザーがトレーニングルームに鳴り響くと共に、俺の背中からふっと圧力が消えた。


「ふぅ……これで終わりか」


 なかなかのしんどさだった。普段やっている筋トレと大差ないほど疲れたな。


 俺が壁に背をもたれて休んでいると、ヨヒラが歩いてやってきた。



「お疲れ様です御主人様。では、身体を温める……必要はなさそうですね」


「うん、不思議と身体がぽかぽかして、今は熱いくらいだ。なんなら、クールダウンしたいくらいだな」


 身体は熱いが、心は凪のように穏やかだ。これが、滝行の成果なのかな?


>一時間もあんな拷問に耐えるなんて……おまえ、いつ人間やめたんだよ…

>正直、ドン引きです

>アンドロイドの修行はおかしい。それについていけるヒノキもおかしい!

>人間は一時間もあんな滝に打たれていたら、普通死んでしまいます!


 なんだか、視聴者たちから距離を感じる。どうやら、かなりショッキングな映像だったらしい。


 でも、これってウォーミングアップだろ?たしかにかなりしんどかったが、俺が普段やっている筋トレのほうが、どちらかといえばちょっとだけしんどいぞ?


 …そんなことを言うと、もっと視聴者たちに引かれそうなので、口には出さないがな。


「おめでとうございます。人間用に多少難易度を調整したとはいえ、このレベルを一度で突破できるアンドロイドは、滅多にいないと思います。やはり御主人様は、トレーニングにおいては他の追随を許しませんね」


 ほえー。


 どうやらこれ、何回もチャレンジしたうえでクリアするものだったらしい。


「うーん、でも、まだ心は満足してないんだよなあ……だって、本当にただ耐え続けただけだし…」


 攻略法もへったくれもないし、完全なる静止とやらも全然できなかった気がするし。


「御主人様。別にどんなやり方でもいいのです。完遂できたということは、御主人様にはそのやり方が一番身体に合っていたということ。この修行では、それが分かっただけで十分なのですよ」


 …うーん。でも、なんか俺の攻略法、スマートさがないんだよな。


「あ、そういや、ヨヒラは滝行にどんな感じで取り組んでるの?」


「私の場合、“完全脱力”という境地に至り、全ての力を受け流すという方法を取りました。この方法にたどり着くのがアンドロイドとしては一般的と言われています」


 え、いいなあ。俺とは違って、なんかスマートでかっこいい。


 そんな俺の反応を見て、ヨヒラはこんなことを伝えてきた。


「どうも御主人様は自分のやり方に満足していないようですが、“完全脱力”以外の方法に至る方がすごいのですよ?私たちの間では、そういう人を“例外”と呼び、敬意を払います」


 どうも、アンドロイドが想定した合理的な突破方法は、その完全脱力とやららしい。なので、非合理性を追求するこの武術においては、例外の存在は一目置くらしい。


 なんだか、ヨヒラから尊敬の眼差しで見られて、とても気分がいい。


「例外の中でも、まさか筋肉を硬くして、ただただ耐えるなんて……突破した中でも、その方法は前代未聞です」


 その後も、


「私が柔なら御主人様が剛といったところでしょうか。完全脱力と真逆な方法で突破できるとは思ってもみませんでした。素晴らしいです」


 淡々と、


「滝行中の御主人様は、キラキラとした生命力に溢れていました。おそらく、人より生命力、精神力が圧倒的に強いのでしょう。それは、伸ばしていくべき個性です」


 ただ事実を述べるかのように伝えられる褒め言葉に、もう俺はタジタジだ。


>ヒノキ、デレッデレで草

>人外かと思ってびっくりしていたが、この反応を見てヒノキだなあ……と安心したわ

>お か え り

>宇宙一ちょろい男


「えーっと……俺のことが好きだから、そんなに褒めてくれてるんだよね。ヨヒラ!好きだ!結婚してくれ!」

「そんなわけないでしょう。調子に乗らないでください」


「…はい」


>いつものwww

>相変わらず秒で振られる男

>わかる。片思いは辛いよな…

>ヨヒラ様かっけえ…


「よし!ヨヒラに褒められたおかげか、やる気が漲ってきた!それに、俺の目指すべき方向性が見えてきた気がするぞ!ということで、ヨヒラ。もう一回滝行やってもいい?」


「ええ。良いですよ。満足するまで、何度でもやりましょう」


>ヒエッ

>ええ…(ドン引き)

>おかしいと思ってたんだ!こんな男がこの世に居るわけないもん!やっぱりヒノキは人外だったんだ!


 あ、そうだ。コイツらにとっては、この修行はかなりショッキングな映像に見えるんだった。


「じゃあ、一旦配信は終了するな。ということで、おつー」


 仕方ないので、俺は配信を終了させた。


 よし!これで心置きなく修行できるぞ!なんというか、この修行は俺に合っている気がするのだ!


 これはただのウォーミングアップらしいが、これを極めてみたい!


「ふふっ、ヨヒラが『柔と剛』って言った時、思いついたことがあるんだよね」


「ほう……いったい何を思いついたのですか?」


「この修行においての、俺の目指す方向性!ま、見ててくれ!」


 さっきまでは、ただ筋肉を緊張させて、身体をガッチガチに硬くしていただけだった。


 でも今度は、少しだけ力を抜いて、ちょうどいい加減を探ってみたいと思いついたのだ。


 ほら?金属って、硬すぎると逆に衝撃に弱く、パキッと折れてしまうことがあるだろ。俺は、そんな簡単に折れる男にはなりたくない。


 大事なのはバランスだ。基本は剛でありながら、そこに柔を少しだけ混ぜる。きっとどこかに、俺にとって「最高の状態」があるはずだ。


 それを見つけられた時、俺はさらに成長して、もっと強くなれる気がする!

 

 目指すは、何事にも動じず、大きく、安心感を与える「大木」のような存在だ。よーし、頑張るぞ!



――そして、その日は一日中、俺は滝行にのめり込んでいたのだった。



次回予告:ちゅきちゅきビーム!

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