未知解明!その2!ヨヒラはほぼ人間?
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俺が次々出てくる新事実に囚われているうちにも、どんどん話は進んでいく。
「おそらくこの惑星は、Eエネルギーの力によってできてしまったものっぽいの。Eエネルギーっていうのは、SCエネルギーから派生したエネルギーで、SCエネルギーよりもエネルギー効率が格段にいい代わりに、制御がうまくできないらしいわ♡」
SCエネルギーより格段に効率がいい??ガチ?
…というか、制御できないって言った?それ、危険じゃないの?
「で、多分この惑星だけど、ルリと夫の合作でできてしまったものって考えると辻褄が合うの。だって、私の願い――あ、もうそろそろ時間っぽいね。だから、詳しい説明は今度にしましょうか♡」
ええ……
ポンポン話が進む割に、俺はほとんど理解できていないのだが…
コックピットの操縦席辺りを念入りに調べていた母が、俺の困った様子をチラリと見る。
「仕方ない!私が息子に早口で結論だけ伝えよう!この惑星(宇宙船)は突如としてこの宇宙に現れた。それをルリが第一発見者となって所有した。いろいろあった結果売ることになった。それをヒノキが買った。以上だ!質問あるか?」
質問しかない!
なんだか、数学の答えだけ教えられて途中式が意味不明、みたいな気分だ。何を質問すればいいのやら…
てか、ホントにもう時間がギリギリだ。偽装工作が解けるまで、残りもう数十秒くらいしかない。
「じゃあ、今後は週初めに大体この時間に呼び出してくれ!あ、このことは秘密裏に進めたいことだから、誰にも言うなよ!じゃ、そういうことで!ほら?私たちを元の場所へもどして!早く早く!偽装工作の時間が切れちゃう!あ、あと、会話が聞かれている可能性があるから――」
ちょ、ちょっと、まくしたてられすぎてあまり頭に入ってこない!
えっと、とりあえず戻ればいいんだよな?こういうときの合言葉は…
「指名を果たせし魂よ。帰還せよ!始まりの地へ!」
【合言葉を承認しました。逆次元跳躍を開始します】
――そうして、俺は自室のベッドの上に帰ってきた。きっと母とルリさんも元の場所へ戻ったことだろう。
……うん。色々疑問点はあるが…
とりあえずもう寝る!今日のことは明日起きてから考えよう!お休み!
――ちょっと時を飛ばして、その次の週の深夜。
「さあ、今週も秘密裏に惑星の中心に集まったところで、今日は何の説明からしようか?」
「ヒノキくん。相変わらず眠そうだね♡可愛い~」
ルリさんも相変わらず甘ったるい喋り方ですね。あざとい女性、俺は結構好きですよ。
「あ、特に伝えたいことがないんだったら、俺の疑問点をちょっとずつ解消してもらっていいかな?」
「うん、いいわね。じゃあ今日は息子の疑問点の解消にしようか。といっても、相変わらず五分という短い時間しかないから、全ては説明できないでしょうけどね」
ということで、さっさと話を進めることに。昨日と同じで母はこの場所を調べ、ルリさんが俺に説明をする。
「じゃあまずは、ヨヒラが特殊な子ってことから説明してくれない?」
たくさん疑問点はあるが、一番気になるといえばヨヒラのことだ。
先週はこれが気になって夜しか眠れなかったよ…
「わかった~。でもその説明の前に、前提知識として必須な“アンドロイドについて”を詳しく説明するね♡ええっとぉ……何から語れば分かりやすいかなあ?」
「なら、“そもそもどうやってアンドロイドが作られるか”から教えてくれませんか?」
「そっかあ〜。そんなこと普通の人は知らないもんね。りょうかーい♡」
ルリさんはきゅるんとウインクを挟んだのち、続けて俺に分かりやすいように説明を始めた。
「アンドロイドを増やすのは今や標準化されているから、本当に簡単なの。“アンドロイド生成ユニット”に“母性遺伝子”を組み込むだけで、すぐに作れちゃう。もちろん、人口バランスを取る仕組みがあるから、無制限に量産されるみたいなことは起こらないわ。そこは安心してね♡」
「母性遺伝子っていうのは?」
「言葉の通り、母親役アンドロイドの遺伝子のことだよ。だから、一体の母親役アンドロイドのみの遺伝子から、一体の子どもアンドロイドが生まれるってわけね♡」
なるほどなあ……つまりあれか、人間のように、二人の遺伝子から一人の人間が作れるという仕組みではないのね。
「それ以外にも、アンドロイドを増やすのには色々ルールがある。例えば、『原則としてアンドロイド一体につき、一人しか子どもを産めない』とか、『アンドロイドが子どもを望む場合、百五十歳以上でないといけない』とかな」
ここで、母が補足を入れてくれた。
…きっとアンドロイドのことだし、もっと厳格なルールが色々あるんだろうな。
「…ん?そういや、ヨヒラは夫との間に生まれたって言ってたよな?」
「そう。だから、特別な子なの。ある一人の男性に恋をしてしまったルリは、アンドロイド研究者のヒイラさんの力も借りて、アンドロイド生成ユニットを二人の遺伝子からアンドロイドを作れるように改良したの♡その生成ユニットで、ヨヒラちゃんを作ったってわけ」
そう言ったルリさんは、人差し指を唇に当てて「しーっ♡ これ、もしバレたらすっごく怒られると思うから、絶対内緒だよ?」と笑った。
…うん。絶対に黙っておこう。ルリさんと母が怒られるのはいいけど、ヨヒラが巻き込まれたら嫌だし。
「えっと、なんでルリさんはアンドロイドなのに恋をしたの?それに、なんで二人の遺伝子からヨヒラを作ったんだ?」
「ふふ、慌てないの。一つずつ説明していくからね。といっても、なんでルリが恋に落ちてしまったのか、ルリ自身でも分からないんだけどね♡」
ルリさんはテヘッと舌を出して首を傾けた。
思わずずっこけそうになった俺は、母へ助けを求めるような視線を向けた。母は優秀なアンドロイド研究者らしいので、きっと研究者視点でのしっかりとした回答をしてくれるだろう。
「ふむ、そうだな。色々な仮説はあるが、現状では正確な答えは出ていない。分かっていることといえば、“アンドロイドは恋をする機能は確実に備わっていない”というのと、“ルリさんの遺伝子は恋をしてから、アンドロイドではありえない形に変容した”という事実だけだ」
ほうほう。それはなんだか面白い。けど、現状では恋をする理由は不明なのね。了解。
「さあて、説明を続けるね♡どうしてルリが二人の遺伝子からヨヒラちゃんを作ったかだけど……これは、すっごく単純な理由なの。もうあまり時間がないから詳しい経緯は省くけれど、ただ『この人の子どもを産みたい!』と強烈に思ったから。が答えかな♡」
「だから……ね」とルリさんは続ける。
「ヨヒラちゃんには、誰よりも幸せになってほしいの。仕事したり、趣味を楽しんだり、ルリのように、恋をしたりね♡」
そう言ったルリさんの表情は、母親そのもの。
…なんか、いいな。ヨヒラがしっかり愛されていると、俺まで嬉しくなってしまう。
「あとさ、ヨヒラは通常とは違う作られ方をしている訳だけど、なにか異常があったりとかはないよね?」
今日はこれを一番聞きたかった。というか、これさえ聞ければあとはもうどうでもいいとすら思っている。
「安心してくれ。私が責任を持って念入りに検査したが、何の異常もない!現状、ヨヒラちゃんは普通のアンドロイドと変わらない存在だと断言できる!少し違う所と言えば、他のアンドロイドより優秀な所と、成長したいという欲が大きいことくらいだ。それくらいなら、個性の範疇といって差し支えないだろう」
…ほっ。それなら安心だ。
さて、他にもまだ色々な疑問点はあるが、もう時間だ。
「あ、最後にこれはヨヒラちゃんの母としての個人的な願いなんだけど、ヨヒラちゃんにも“愛”を教えてあげて?なんとなくだけど、ヨヒラちゃんには愛という感情は大事な気がするの!お願いね!」
「私の仮説では、“アンドロイド流武術”には、アンドロイドが恋をするための何かが絶対にあるはずだ!アンドロイドの言い伝えにも、そんな話があるらしいしな。だから、何か発見すれば、私に随時報告するのよ!いいわね!」
帰り際に、二人からこのようにまくしたてられた。一方は娘の幸せを願い、一方は研究者としての好奇心から。どちらもかなり熱のある言い方だったから、相当強い気持ちで思っているというのが分かる。
「了解。つっても、俺は俺のやりたいようにやるから、頭の片隅に入れておくぐらいにしておくけどね。じゃあ、俺は眠いから寝る。おやすみー」
そういうのって、指示されてやるようなものでもない気がするしね。
…でも、あれだな、こっちでの話し合いは、俺にとってちょっと難しいな。
ま、ゆっくり理解していけばいいか。どうせこれから、毎週こうやって集まるだろうし。
…よし、決めた。ある程度聞き流しておいて、色々話が繋がってから、最後に自分なりにまとめていけばいいや。今全て理解できなくても、あまり考えすぎないでいこう。あくまでこの話し合いは、俺にとって「二人のお手伝い」という認識だしね。
自分のことを優先する方が、俺にとって重要だ。
そう決めたところで、俺はセリの家の寝室に戻り、就寝したのだった。
次回予告:告白をスルーするーな!なんつって!ガハハ!




