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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
4章 夏休み!

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閑話休題 アンドロイドの胸の内

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



ヨヒラ視点



 夏の熱気が少しずつ和らぎ、秋の気配を風が運んでくる今日このごろ。


 こちらの惑星では、夜空に秋の虫の声が響きはじめました。


 皆様、御機嫌よう。アンドロイドのヨヒラです。


 最近のひそかな楽しみは、この惑星に住む皆様を思いながら、夜風を浴び、高くなった空を見上げることです。


 今日もそうやって夏の終わりの風を感じながら、ウッドデッキに腰掛け、ハーブティーを飲んでいます。


 この穏やかな時間に、最近よく「あの時の母の言葉」が頭に浮かんできます。論理が通っていない、めちゃくちゃな言い分だったのに、妙に頭に残って離れない。



――それは、エイリアンの親との激しい戦闘を終えた後の、後処理中のこと。


「ヨヒラ。お前、やたら強くなったな。おかげであのエイリアンの親、あっさり倒せたじゃねえか」


 それは、お祖母様の言葉。後処理中に、雑談のようにそう告げられました。


「どうやら、自分でも知らないうちに、なぜか強くなっているようです。特に変わったことはしていないのですが…」


 本当に不思議です。


 私は数値上のデータや、仕事の成果などから、他のアンドロイドから優秀と評価されることがよくあります。ですが、あくまでそれらは他人の評価にすぎません。自分ではまだまだ未熟だと思っています。


 よって、日々の修行は欠かしたことがありません。


 ですが、それは言い換えると「いつも通りの量」の修行しかしていないということ。急激に強くなるようなことは、一切していないのです。

 

「ふふ~愛よ♡ヨヒラ。あなたには私の遺伝子が組み込まれているのだから、私と同じ様に、男の子に愛されれば愛されるほど強くなるのよ♡きっと、ヒノキ君があなたのこと愛してくれているのね」


 この時の言葉です。この言葉が、なぜか頭に残って離れない。


「はいはい。お母様。いつも言っていますが、アンドロイドは恋をしませんし、愛なんかでアンドロイドは強くなりませんよ」


「もう!ヨヒラちゃんたら、流さないでよ!ほんと、イケズなんだから~」


 あの当時は、このように真面目に取り合いませんでした。


 お母様は、アンドロイドの割に「愛」だの「恋」だのが大好きです。よく私に、「ヨヒラちゃんにもいつか、素敵な王子様が見つかるはずよ。だって、そういう運命なのですもの」と、少女が考える夢物語のようなことを、生まれてから何度も言ってきます。


 ですので、「愛」で強くなるというのは、お母様の性格由来の戯言としか考えていなかったのですが…


 

――もしかしたらお母様の言うことは、正しかったのかもしれません。


 温かいハーブティーをゆっくり楽しみながら、ほんの少し、本当にほんの少しだけ、そう思ってしまうのです。


 あの時戦いながら私の脳裏にあったのは、御主人様の姿でした。


 私を心配する御主人様や、「早く帰ってきて」と見送った時の御主人様。私に頼られて嬉しそうにする御主人様や……思わず笑った私に、赤くなってぼーっと見惚れる御主人様。


 それらが自然と頭に浮かび、戦闘中も頭から離れませんでした。


 だからこそ、「早く帰って御主人様を安心させなければ」と強く思い、モチベーションが高かったのは事実です。


 …ですが、いくらモチベーションが高かろうと、心持ち一つで急に強くなるなんてことは絶対にない。


 だからこそ、あの時は母の言葉をさらっと流したのですが…


「母の行動原理は“愛”。それが分かった今、そんな母が、愛に関して嘘を付くとは、どうしても思えない」


 母が嘘を付いているとは思いません。ですが、愛で強くなるなんて荒唐無稽な話は、もっと信じられません。ですが、やっぱり母が嘘を付いているとは思わない。なら、私に愛で強くなる遺伝子とやらが、本当に組み込まれている?……このように、ここで思考がループしているのが、最近の私というわけです。


 …これ以上考えても、結論はでなさそうですね。


 というより、そもそも私は結論を出す気があるのでしょうか?


 …どちらにせよ、このことは一度保留しておきましょう。



 さて、過去のことを思い出したついでに、もう少し今月あったことについて反省しましょうか。


 どうも、ここ最近はコミュニケーションに関しての反省することが多かった気がします。


 まず、反省一つめ。


「御主人様に心配をかけすぎました」


 心配をかけまいと、なにも伝えずにこの惑星でエイリアンの卵を処理していましたが、それが原因で余計に御主人様に心配をかけてしまいました。


 …御主人様はセリ様ほどではないにしろ、意外と直感が働くんですよね。少し御主人様を侮っていたようです。



 次に、反省二つめ。


「私はもっと、御主人様たちなど周りの人に、頼っていくべきでした」


 自分が割となんでもできるからと言って、全く人に頼らないというのは、少し傲慢でした。


 他人に何も頼らないというのは、他人を全く信用していないと見られても仕方がない。そんな生き方では、いつか孤立してしまいます。これからは、ちょっとしたことでも頼っていきましょう。 


 

 反省三つ目。


「私は、娘としてもっと母に踏み込むべきでした」


 五年間という短い時間でしたが、私は確かに母に育ててもらいました。娘としてもっとできることが――

 

 …おっと、少し説明不足でしたね。

  

 そもそもアンドロイドというのは、親のアンドロイドの遺伝子を元に作られた存在です。


 そんな私たちは、完成された状態で生まれてきます。よって、本当は誰に育てられなくとも、すぐにでも独り立ちできるのです。


 ですが、生まれてからの五年間は、母のアンドロイドが子どもにあらゆることを教え、育てる。そのようなことが慣習として定められています。


 これは、アンドロイドたちが人間社会を理解しようとする中で、「人間らしさ」を身につけるには、ただの知識のインプットだけでは不十分だと気づいた結果、生まれた習わしです。


 そこで私たちは、人間の親子関係を模倣し、家庭内でのやり取りを通して、感情や価値観、思考の柔軟さを学ぶための時間――その一例として、「五年間の育成期間」を取り入れるようになったのです。


 ただの慣習にも関わらず、母は本当に惜しみなく愛情を注いでくれました。当時は気が付きませんでしたが、私は相当深く愛されていたようです。


 それなのに私は、「子ども扱いされるのが恥ずかしい」「あんな変で型破りな母だから」「アンドロイド界隈で母の評判は良くないし、あまり深く関わり合うのは…」と、そんな言い訳を盾に、母との距離を取ってしまいました。


 このことを、最近とても後悔しています。


「そろそろ、反抗期は終わりです」


 完成された状態で生まれてくるアンドロイドだって、成長しないわけではありません。


 失敗したと思ったら、反省して学べば良い。それこそ、御主人様のように…



 さて、ハーブティーも飲み終えましたし、反省はこれくらいにしておきましょう。


 …就寝にはまだ早いので、いつものをやりますか。


 私はアンドロイドの能力を悪用し、御主人様の様子を覗き見ることにした。


 …あら?御主人様は今日はもうお休みするようですね。普段より、少し早い就寝です。家族を招いたことで、疲れていたのでしょうか?


 これなら、あまり見ていても面白いものは見られそうにありませんね。残念。


「私のお母様に誘惑されなかった時は、ようやくかと思いましたが………御主人様はまだまだ御主人様ですね。これは、鍛えがいがありそうです」


 見ていても面白くないはずなのに、顔を見ているだけでも楽しい。ほんと、不思議な人です。


「それにしても、本当に御主人様はどうしようもない人ですね。それに、私に再度『結婚してくれ』と言うなんて…」



――思い出すのは、私がこの惑星に住む許可を得たあの時。


 御主人様の女性にちょろい性質を利用して、強引に「あなたは何もしなくてもいい。いてくれるだけでありがたい」と言わせたあの時のことです。


 あの時も同じことを言われましたが、その当時の私は、「もし本当に私のことを好きになったのなら、一生片思いをし続けていてください」と、平然と言い返しました。


 ですので、私はもう一度そう言おうとしたのです。


(一生私に片思いをし続けてください)


 その言葉は、声にならなかった。なぜか、喉の奥で言葉がつかえたのです。


 あの時御主人様の言葉を受けた私は、一瞬思考にノイズが走り、身体に原因不明の熱蓄積反応を確認し、体温が約一度ほど上がりました。


 …きっと、脳の処理に軽い混乱が生じていたのでしょう。そうでもなければ、あの時のことに説明が付きませんからね。


 それにしても、誤作動なんて今まで一度もおこしたことがないのに……不思議なこともあるものですね。



 …さて、これ以上覗いても仕方がないので、流石にそろそろ映像を切りますか。


 そう思い、映像を切ろうとした瞬間、ご主人様からある独り言が聞こえてきました。


「なんで、この宇宙では存在しないはずの“『かっか!』”に関しての問題を、ルリさんが出せたんだろう?」


 ん?


 今、なにが起こりました?


 なぜか、御主人様のつぶやきの一部が、かき消されて聞き取れませんでした。

 

 それに、あの鳴き声…

 

 これは…


「閣下に、邪魔をされたのでしょうか?」

 

 ということは…


「閣下は、私にこの宇宙では存在しないはずの何かを、認識させたくない?」


 ふふ、ふふふふふ。


 ああ――面白い。


 聞き取れた範囲から察するに、御主人様と母は、未知の何かについて知っている。


 それに、邪魔をしたということは、閣下もそれについて何か知っているということなのでしょう。

 

 これは最近気がついたのですが、どうも私は「未知」というものが大好きなようです。


 …なんだか、これからの生活がより楽しくなりそうで、居ても立っても居られない。


「ふふ、御主人様。お母様。閣下。私も絶対、仲間にいれてもらいますからね」


 さて、そうと決まれば、今までの御主人様、お母様と暮らした言葉、行動などから、未知の何かについて、大量の仮説でもたてましょうか。


 私は今まであったこと、全て覚えていますからね。ふふふ。隠しても無駄です。アンドロイドからは、いかなる存在も逃げることはできないのですよ?

 

 では、皆様。御機嫌よう。

次回予告:セリの思惑

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