シルフィスタ、料理する
「私がそのおかゆと言う料理を作ろう」
「なるほど、その手があったな」
シルが作ってくれるんなら問題ないな。
「ケイネス、今シルフィスタ殿が料理を作ると聞こえたんだが」
「ああ、そう言えば言ってなかったが、シルは料理ができるぞ」
「え!?」
俺がそう言うとエドウィンは驚いて声を上げる。
そんなに驚く事ないだろ。
「お前の言いたい事は何となくわかる、だがシルは料理ができるんだ、それが真実なんだ」
そう、シルは料理ができるんだ。
料理だけでなく裁縫とか刺繍とかもできるし。
おしゃれとかそう言うのにも気を遣うし。
シルって女子力結構高いんだぞ。
令嬢達からはカッコいいとか言われるが、そう言うかわいいとこもあるんだぞ。
つまり、俺の婚約者は最高だって事だな。
「それで、そのおかゆと言う料理はどんな見た目なんだ? 図鑑に載っているのか?」
「そうだな、図鑑を見ようか」
そして失われたもの図鑑を開くと当然の事だがおかゆは載っていた。
「おかゆ、風邪をひいた時とかに食べる消化の良い料理、雑炊、おじやと似ているが作り方が違うので間違えないように」
「雑炊とおじやとは何だ?」
「ああ、雑炊とおじやは見た目はおかゆと似ているが作り方が違うんじゃよ」
カホさんがそう言うのでついでに雑炊とおじやもあるかどうか見たら二つともあった。
「雑炊は炊いた米を水で洗ってから食材や出汁で煮込んで作る料理で、おじやは炊いた米を水で洗わずにそのまま使って食材や出汁で煮込んで作る料理らしいな、確かにどちらも見た目だけならおかゆと似てるな」
「出汁とは何だ?」
「出汁とは食材を水で煮込んで食材の旨味を染み込ませたスープのようなものじゃな、和食を作るのに欠かせない調味料の一つじゃよ、色々な食材の出汁があって美味しいのじゃ」
「東国の調味料か、ならこの雑炊とおじやを作るのは難しいか、シェフィーネにはおかゆを作るとしよう」
「卵がゆならこの国の材料でも作れるから大丈夫じゃよ」
こうして俺達は厨房へと行き事情を伝えて厨房を貸してもらうのだった。
「さてと、早速作ろうか」
そう言ってシルはエプロンを着ける。
エプロン姿のシル、良いな。
「カホさんの説明した通りの作り方なら、まずは米を水で洗ってから鍋に入れるんだな」
カホさんからおかゆの作り方を聞いたシルは米を水で洗う。
「鍋に入れて普通に米を作る時よりも多めに水を入れてから蓋をして中火でしばらく待つ」
中火にしてしばらく待つと鍋の中の水が沸騰していく。
「沸騰したら弱火にして鍋の底から掬うようにして混ぜるんだったな」
弱火にしてからヘラで鍋の底から掬うようにして米を混ぜていく。
「こんなものか、後は弱火のまま蓋を少しずらして置いてそのまま何もせずにしておくんだったな、途中で水がなくなったら追加で足しても問題ない、蓋をずらしてあるから中が見えて良いな」
シルは蓋を少しずらして何もせずにそのまま待ち、途中で水が少なくなったので水を足したりする。
「さて、卵の用意だな、これをかき混ぜれば良いんだったな」
シルは卵を割りかき混ぜそれを鍋に少しずつ回して全体に掛かるように入れる。
それから火を止めて蓋をする。
「これで一分待って塩を入れて混ぜる」
それから蓋を開けて塩を入れてかき混ぜる。
「よし、これで完成だ」
「これが卵がゆか」
出来上がった卵がゆは米がドロッとして柔らかそうな感じの見た目だった。
「卵を使ったからか黄色い見た目が美味しそうに見えるな」
「シェフィーネに食べさせる前に味見してみるか、ほらケイネス、あーん」
シルが差し出したのを俺は口にするがあまりにも熱かったので冷ましてから食べるのだった。
「おお、卵と塩の味があって悪くないな、しかも柔らかいからそんなに噛まなくても良いし、食べやすくて良いな」
「そうか、それは良かった、ならシェフィーネにも食べさせよう」
卵がゆができたのでシェフィーネ王女のいる部屋に向かうのだった。
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