一大事
今日も私はシェフィーネ王女に勉強を教えるために学園へと通って行く。
「おはようございます、エドウィン先生」
「あ、おはようございます」
私に話し掛けて来た女性はこのバハムス王国の学園で仕事をしている教師の一人である。
最近私がシェフィーネ王女に勉強を教えるために毎日通っているからか教師達も私と出会うとこうして挨拶をしてくるようになった。
「あの、私は別に先生ではないのですが」
「何をおっしゃいますか、シェフィーネ王女にこうして毎日勉強を教えに来ているではないですか、シェフィーネ王女の成績も伸びていますし、もう立派に先生ですよ」
「はあ」
「最初は他の先生方も数日持てば良い方だと思ってたんですよ、その、シェフィーネ王女のあの不思議な行動がありましたから」
「ああ、アレの事ですね」
不思議な行動と言うのはシェフィーネ王女のいきなり絵を描くと言うあの行動の事だろう。
実際はかつて存在していたものが今は失われたものの作り方の絵だった事が判明されたがそれを知っているのは限られた者達だけだ。
「私達が教えられるのならそうしたいのですが、あの不思議な行動のせいで時間を費やすわけにもいかないので、どうしたものかと思いましたが、エドウィン先生のおかげでその心配もなくなって私や他の先生方も感謝しているんですよ」
「そうですか」
「本当にエドウィン先生に来てもらって良かったです、それじゃ、授業があるのでこれで失礼しますね」
「あ、はい」
そう言って彼女は自分のクラスの授業に向かって行った。
「来てもらって良かった、か」
私は役に立っているようで良かった。
そして私はシェフィーネ王女のいる部屋へと入る。
「シェフィーネ王女、おはよう」
「ん、おはよう」
「ん?」
気のせいか、いつもより元気がないような気がするが。
私はいつものように勉強を始めるのだが。
「シェフィーネ王女、この問題だが」
「・・・・・・」
「シェフィーネ王女?」
「ん? 何?」
「いや、この問題なんだが」
「あ、うん」
何だ?
いつもと同じであまり変化しない表情をしているが、明らかに様子がおかしい。
声を掛けても反応が遅れているし、どこか元気がないような気が。
それによく見ると、何だか顔が赤いような気も。
(・・・・・・はっ、まさか)
私はシェフィーネ王女の前に立つ。
「シェフィーネ王女、失礼」
私はシェフィーネ王女の額に手を当てる。
「あつ!!」
シェフィーネ王女の額に手を当てると物凄く熱かった。
これでハッキリとした。
「シェフィーネ王女、とにかくベッドに横になるんだ」
「? でも勉強」
「そんな事言ってる場合か」
私はシェフィーネ王女を無理やりにでもベッドに寝かせてすぐに手の空いている教師に事情を説明してケイネスの家に連絡してもらうのだった。
しかし驚いたものだ、学園にはある魔道具があってその魔道具は他の同じ魔道具と連絡を取り話す事ができる。
しかもどんなに遠くに離れていてもまるでその場にいるかのように話す事ができるんだからやはりこの国には便利な魔道具がたくさんあるものだ。
今は王族や貴族の家にしかないが、いずれは平民の家にもこの魔道具を置こうと考えているそうだ。
それから少ししてケイネス達が到着するのだった。
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