それはさすがにマズいと思う
「あの、殿下大丈夫ですか?」
俺は呆然と立ち尽くしている殿下に問い掛ける。
すると殿下は気づいたのか俺を見ると怒り出した。
「貴様!! 何て事をしてくれたんだ!!」
「何て事って、どれについてですか? ウィスト嬢との婚約破棄について言った事ですか? それともカルロス様について言った事ですか? もしくはファルス様について言った事ですか? もしかしてアリンス嬢について言った事ですか?」
俺は思いつく限りの事を口にする。
正直殿下の怒りを買うとしたら今起こっている出来事くらいしかないしな。
「全部だ!! 貴様が余計な事を言わなければこんな事にならずに済んだものを!!」
「いやいや、それも全部殿下がそうしたんですよね? だから言ったじゃないですか、本当に思った事を言っても良いのかと、それで良いとおっしゃったのは殿下自身じゃないですか、それでこうなったんじゃないですか」
そう、全て殿下が良いと言ったから俺は遠慮なく言ってそれで流れに乗って様々な方向に行ってしまったってだけで、それを決めたのは殿下で間違いないと思うんだが。
まあ、殿下からしたらまさかこんな事になるなんて思わなかったんだろうけど。
「黙れ!! 貴様のせいでこうなったんだ!! たかが男爵の令息風情が調子に乗りおって!! おい!! この無礼者を連行しろ!! 王族に歯向かった罪人だ!!」
えー、それはマズいだろ。
するとカリーナが俺の前に出て殿下に問う。
「ガルドム国の第一王子よ、今の発言、この方が誰なのかわかっての発言ですか?」
「たかが男爵の令息だろうが、リカードなんて男爵家は知らないが、まあこの国の田舎の方にある家だろ」
殿下がそう答えるとカリーナは目を見開いて俺を見る。
「ケイネス様、あの方は本当にこの国の次期国王となるお方なのですか?」
「言いたい事はわかるけど、そうなんだよな」
さすがに今の発言はマズいと思うよ。
だってカリーナだけじゃなくて周りの人達や殿下の婚約者のウィスト嬢ですら目を見開いて言葉も出ない状態だからな。
「で、殿下、本気でおっしゃっているのですか? リカード様がどのようなお方なのか、本当にわからないのですか?」
ウィスト嬢は恐る恐ると殿下に問う。
彼女もさすがに殿下の今の発言は嘘であってほしいと思っているんだろう。
「知らないと言っているだろ!! 私が知らないのだから辺境の田舎の男爵家の令息だろ、生意気にも王家に無礼を働いたんだ、貴様の両親も覚悟しておくんだな!!」
おいおい、これ本当にわかってないな。
もしかして俺の事伝えていないのかと思い俺はウィスト嬢を見ると視線に気づいたのかウィスト嬢は俺に向かって首を振る。
周りを見ると顔を青褪めたりしている人もいるので俺の事はちゃんと伝えていると考えられるが、もしかして殿下が忘れているのか。
「おい!! 騎士達何をしている!! 早くこの罪人を連れて行け!!」
殿下は苛立っているが騎士達は困惑している。
そりゃそうだよな、俺の事を知っているなら殿下の命令でも動けないよな。
「何をしている!! 私の命令が聞けないのか!! 王家に無礼を働いた罪人だぞ!!」
「ほう、罪人とはどう言う事なのか詳しく説明してもらおうか? ガルドム国の第一王子よ」
「あ」
殿下に声を掛ける女性。
彼女の姿を見て、俺はとんでもない事態になったなと思うのだった。
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