野菜について
野菜を食べない子が多いと言う話が出て俺達は厨房へと行き野菜を見る事にした。
「で、野菜を一通り用意してみたが」
俺達は並べられた野菜を見る。
「こうして改めて見たが、何て言うか、美味しそうに見えるかと言われれば、普通って感じだな」
俺は素直な感想を言う。
「確かに、美味しそうに見えるかと言われれば、普通としか言えませんね」
フレイアがどこか気まずそうに答える。
うん、俺もそんな気になるよ。
「逆に果物の方はこんなにも美味しそうに見えるのにね」
ミスチーが果物を指差して言う。
確かに果物の方は美味しそうだな。
「でも、果物と同じくらい野菜もいろんな色があるよな、なのに果物は美味しそうに見えるのに野菜はそう見えないのが不思議だよな」
リックの言う通り確かに野菜も果物もいろんな色があるのに何故こうも違って見えてしまうのか。
「考えられるとしたら味よね、果物は甘いってわかってるから美味しそうに見えるけど、野菜は特に甘いってわけじゃないから」
確かにユーリの言う通り、味が問題なのかもな。
汗水流して作ってくれている農家の人達には本当に申し訳ないけど。
うーん。
「やっぱ、聞いてみるしかないか」
そう、本人に聞いた方が早いな。
「兄上様、私に用事ってなんですの?」
「ああ、ちょっと聞きたい事があってさ」
俺が呼んだのは妹のアニスだ。
フレイアの話ではアニスくらいの子が野菜を食べないと言っていた。
だからこそアニス本人に聞けば何か野菜が嫌いな理由がわかるのではないかと考えたのだ。
「アニス、お前、野菜は食べられるか?」
「野菜ですか? 頑張って食べてるのです」
「そうか、偉いぞ」
「えへへ」
アニスの頭を撫でるとアニスは喜ぶ。
妹の頑張りを褒めてやるのが兄ってものさ。
「なら、野菜は好きか?」
「え? ええと」
俺の問いにアニスは言葉に詰まる。
よく見るとジョルジュ達の方を見ていて困った顔をしていた。
「アニス様、もし料理を作っている我々に気を遣っているのなら大丈夫です、我々はリカード家の皆様に美味しく召し上がっていただくために意見が聞きたいのです、どうか正直におっしゃってください」
「そもそもサラダなんてただ切って盛っているだけだし、不味いと言われたら旨いと言われるように俺達が頑張れば良いだけだし」
「好き嫌いなく食べてくれるのは嬉しいけど、美味しくないのに我慢して無理に食べてほしいとは思わないよ、後々になってそんなに好きじゃないって言われるなら今言ってほしいね、言ってくれないと何も気づかずにあたし達は同じように作っちゃうからさ」
ジョルジュ、シオン、ラキムの三人がアニスに言う。
なるほど、アニスはジョルジュ達を気遣っていたって事か。
アニスは優しいからな。
本当の事を言って毎日料理を作ってくれるジョルジュ達に嫌な思いをしてほしくなかったんだろう。
「アニス、ジョルジュ達もこう言ってるんだ、正直に答えてくれ」
「兄上様」
俺が言うとアニスは目を閉じて少し考える。
「わかりました、正直に言うのです」
アニスはそう言って答えるのだった。
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本日二話目の投稿です。
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