チョコレートフォンデュ
「これがお菓子?」
シェフィーネ王女が首を傾げる。
小さい鍋にあるチョコレートソースに一口サイズのパンケーキとフルーツ、確かにこれだけだと何のお菓子かわからないだろうな。
「シェフィーネ王女、これはチョコレートフォンデュと言うお菓子です」
「チョコレートフォンデュ?」
「ええ、失われたもの図鑑にも載っています、これです」
そう言って俺はチョコレートフォンデュのページを見せる。
昨日チョコレートソースを使ったお菓子が他にないか何気なくページをめくって出て来たのがこのチョコレートフォンデュである。
「チョコレートフォンデュ、チョコレートソースに一口サイズのパンやフルーツをつけて食べるお菓子、パーティなどにぴったり」
シェフィーネ王女がチョコレートフォンデュの説明文を読む。
確かにこれはパーティー会場などで出されたら目を引くだろうな。
「ケイ兄様、これはどうやって食べるの?」
「食べ方は簡単です、一口サイズに切ってあるパンケーキやフルーツをフォークでさしてこのチョコレートソースにつけて食べれば良いだけです」
「見たまんまってわけか?」
「ああ、クリームシチューにパンをつけて食べるようなものだ」
俺はエドウィンにそう言う。
本当にクリームシチューにパンをつけて食うのと同じようなものだからな。
「いただきます」
そう言ってシェフィーネ王女はフォークでイチゴをさして鍋にあるチョコレートソースにつけて口にする。
「美味しい」
表情はあまり変わってないがシェフィーネ王女が美味しそうに食べている事が何となくわかった。
シェフィーネ王女も甘い物が好きだからな、気のせいか目がキラキラしている気がする。
「甘酸っぱいイチゴにチョコの甘さが加わって美味しい」
「そうだろ、シェフィーネ、パンケーキや他のフルーツもつけて食べてみろ」
「ん、わかった」
そう言って二人は好きなものをチョコレートソースにつけて食べる。
「ほら、エドウィンも食えよ、たくさんあるぞ」
「あ、ああ」
エドウィンも好きなものをフォークでさしてチョコレートソースにつけて食べる。
「旨いな」
「ああ、お茶会とかで出たら喜ばれそうだろ?」
「確かに色々なフルーツがあるし、何より楽しい会話とかできそうだな、私にとってお茶会など、ただ苦痛に感じる時間だった」
「ウィスト嬢とのお茶会はつまらなかったのか?」
「そうだな、彼女とのお茶会などつまらない以外の何者でもなかったかもな、話す内容など未来の王としてどうとか、そんな話ばかりだった、出されているクッキーや紅茶なんかも口にせずに終わった時もあったな」
「そうか」
ウィスト嬢は真面目過ぎたからな。
しかもエドウィンとの間に愛とかそう言うのすらなかったんだから、つまらないと言ってもおかしくはないか。
「そうだよな、お菓子って本当はこんなに旨かったんだよな、お茶会ってこうやって楽しむものだったな」
「そうか」
確かに、お茶会って色々な話をするけど、お菓子や紅茶を楽しむのも目的の一つでもあるもんな。
こうして、俺達はチョコレートフォンデュでお茶会を楽しんだのだった。
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本日二話目の投稿です。
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