美味しくなる魔法
「やあ、シル」
「お前がここにいると言う事は、また何か作ったのか?」
「ああ、トマトを使った調味料一つとそれを使った料理二つだ」
「一気に三つも作ったのか」
「ああ、これがその料理さ」
俺はシルにオムライスを見せる。
「おお、見た目は綺麗だな、この赤いのは何だ?」
「トマトケチャップと言って、トマトで作った調味料だよ」
「ほお、トマトで作れる調味料があったのか、この黄色いのは卵か? 中には何か赤いものがあるがよく見たらこれは米か?」
「ああ、炊いた米にベーコンとタマネギとトマトケチャップを混ぜて作ったケチャップライスと言う料理でそれを卵で包んだのがこのオムライスって料理さ」
「トマトだけで三つも新しい料理ができるとはな、それよりも米は和食以外にも使えるんだな」
「ああ、米はもしかしたら無限の可能性を秘めてる食材かもな」
「なるほど、ところでルティとレティは何故あんなゴミを見るような蔑んだ目で失われたもの図鑑を見ているんだ?」
「ああ、それはだな」
俺はシルにルティとレティが何をしているのかを説明する。
「ほお、美味しくなる魔法か、そんなものがあったんだな」
「と言っても魔法って言うよりかは、おまじないの方が近い気がするな、まあ、本当に美味しくなるとは思えないけど」
「面白そうだな、よし、なら私が実際にやってみよう」
「え?」
「だから私がメイド服を着てその美味しくなる魔法をやるって言ってるんだ」
聞き間違いだろうか、シルがメイド服を着ると言ってるんだが。
「そう言うわけでジョルジュ、このオムライス、新しいのを作ってくれないか?」
「かしこまりました」
「ルティ、レティ、私にメイド服を貸してくれ」
「「かしこまりました」」
こうしてジョルジュが新しいオムライスを作っている間にシルはルティとレティと一緒にどこかに行くのだった。
俺はその間シルがメイド服を着ると言う事で頭がいっぱいだった。
「シルフィスタ王女のご要望通り、オムライスができました」
そう言ってジョルジュは俺の前にオムライスを置き、シルも準備ができたのか入って来るのだった。
「待たせたな、ケイネス」
シルの姿を見て俺は一瞬言葉を失った。
そこにはメイド服を着ていたシルの姿があったからだ。
「初めて着てみたが、私のメイド姿はどうだ? 変じゃないだろうか?」
シルが照れながらも俺に聞いて来る。
当然俺の答えは決まっていた。
「マジで良いな、シルのメイド服姿、時々見たいかも」
「そ、そうか、じゃあ、二人きりの時に時々見せてやるよ」
シルは照れながらも頬が緩んでにやけている。
俺の婚約者は何を着ても似合うのが証明されたな、異論は認めん。
「それで、美味しくなる魔法ってのはどうやるんだ?」
「ああ」
シルが聞いて来たので俺は失われたもの図鑑を見て説明をする。
「なるほど、やり方はわかったぞ」
言ってシルは両手でハートの形を作って美味しくなる魔法の言葉を言う。
「美味しくなーれ、萌え萌えキュン」
そう言ってシルがハートの形を作った両手を俺の前に出す。
「面白そうだと思ってやってみたが、実際にやってみると少し恥ずかしいな」
「・・・・・・」
「ケイネス? どうした?」
(めっちゃかわいいぃぃー!!!!!)
俺は心の中で叫ぶのだった。
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