チーズケーキ
チーズケーキを作ったその日の晩。
皆で夕食を食べ終えた頃にシオンが立ち上がる。
「デザートがあるんだけど、食べる?」
シオンが聞くと皆、特に女性人達が食べたいと言っていたのでシオンはチーズケーキを持って来て置く。
チーズケーキの見た目は表面は濃く焼けあがっているが周りはケーキみたいに綺麗な色をしていた。
「これは何だ?」
「チーズケーキと言って、チーズで作ったケーキ」
親父の問いにシオンが答える。
「チーズで作ったケーキ? そんなのがあるのか? 酒のつまみ程度にしか食べなかったあのチーズでか?」
「うん、そのチーズで作った、と言っても使ったのは柔らかい方のチーズだけど、それで作ってできたのがこのチーズケーキ、味見はしてないからどんな味なのかは知らないけど」
「がっはっは!! シオン、お前俺に毒味でもさせる気か?」
「毒味って、まあ、知らない料理食べさせるんだから、間違ってないか」
親父の言葉にシオンは納得する。
「いや待て、何故か最初に旦那様が食べると言う流れになってるが、毒味なら我々使用人の中の誰かが食べるべきだろ?」
ルートが冷静に言う。
「じゃあ誰が食べるの? 言い出しっぺのルートが食べる?」
「え? まあ、言い出したのは私だし、別に良いが」
「じゃあ、決まり」
シオンはチーズケーキを切ってルートに差し出す。
「うーん、見た目は中々美しくて悪くないな」
ルートはチーズケーキにフォークを入れていく。
「ショートケーキより少し固いが柔らかさは問題ない、後は味だな」
そう言ってルークはチーズケーキを口に入れる。
「これは、何て濃厚な味なんだ、しっとりとした食感、本当にこれが酒のつまみで出すあのチーズから作られたのかと思いたくなるほど甘いお菓子だ」
「そんなに旨いのか?」
「はい、とても美味しいお菓子です、ショートケーキとは違った美味しさですね」
「そうか、なら俺も食べてみようか」
そう言って親父もチーズケーキを食べる。
「おお、中々旨い、ショートケーキよりは甘さが控えめだな、しかもチーズを使ってるから意外と酒とも合いそうだな」
そう言って親父はチーズケーキを食べる。
「本当ね、しかも新しいケーキだから女性達は間違いなく喜ぶわね」
「とっても甘いのです」
母さんとアニスも美味しそうに食べて幸せそうな顔をしている。
他の使用人達も食べると皆美味しそうに特に女性人は幸せそうな顔をしていた、ついでにユーリも女性人と同じような幸せそうな顔をしていた。
「それじゃ俺も」
俺もチーズケーキを食べる。
うん、しっとりしていてショートケーキより甘さは控えめだけど旨い。
ルートの言う通りチーズから作られたなんて驚くよな。
まさか酒のつまみのチーズからこんな甘いお菓子ができるなんてな。
「シオン、あなたは食べないの?」
ふと見るとカリーナがかシオンに聞く。
見ればシオンだけがチーズケーキを食べていなかった。
「ああ、俺はいいよ、甘いの苦手だから」
「甘さは控えめだけど、一口食べてみない?」
「わかった、一口だけ」
カリーナはチーズケーキをフォークでできるだけ小さく切るとシオンに持っていく。
「はい、あーん」
カリーナが差し出したチーズケーキをシオンは恥ずかしいのか照れてるのか顔を赤くしながらも口にする。
「どう?」
「うん、甘い、けど俺はもういいな」
「そう、ごめんなさい」
「気にするな、これは俺の問題だから、そんな悲しそうな顔をしないでくれ、俺はカリーナが笑っている顔が一番好きだから」
「シオン」
二人だけの何とも甘い空間を俺達はチーズケーキを食べながら見ていると二人が俺達に気づく。
「あ、俺達の事なんか気にしないで続けてくれ」
俺が言うと二人は顔を赤くしてお互いに背を向けるのだった。
「なんかごめん、邪魔して」
「だから、変な気遣いしないでくれないか、若」
いや、マジでごめんって。
そんな事もあってチーズケーキは旨くて好評でした。
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本日二話目の投稿です。
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