自分のしてしまった事
「アリンス嬢、あなたはこれからさらに大変な思いをしなければならないんですよ」
「え? どうして?」
アリンス嬢はわけがわからないという顔をしているが、俺はその事について今から説明するのだった。
「アリンス嬢、あなたは殿下と共にこちらのウィスト嬢に対して本当かどうかわからない罪に問い断罪しようとしていますよね、しかも殿下はウィスト嬢との婚約を破棄してあなたと新たに婚約をしようとした、それって王家や公爵家への敵対と見られても仕方ない事ですよ?」
「え?」
「よく考えてくださいよ、男爵の娘という身分の低い身でありながら婚約者がいる王族の殿下に近づき、さらには婚約者であり圧倒的身分が上の公爵の娘であるウィスト嬢にいじめられたとか言って彼女を貶めようとした、しかも彼女を断罪して自分が王妃になろうとしている、これって普通に考えて大罪になりますよ、だって男爵令嬢の身でありながら圧倒的身分が上でしかも婚約者がいると知っているのに引き裂こうとしていたのですから」
「え? 大罪? 私そんなつもりは」
「あなたにそんなつもりはなかったとしても何も知らない人達からしたら、知っていながら身分の低い者が身分の高い者達を引き裂いて自分がその座を奪おうとする悪女って思われますよ」
「だから、そんなつもりは!!」
「あなたの意思なんて関係ないんですよ、少なくとも今のあなたは悪女と思われても仕方ない事をしているのですから、こんな大罪を犯してしまったのですからあなたはもちろんの事、あなたの両親も責任を取らされますね」
「何で? お父様とお母様は関係ないでしょ!?」
確かにやった本人はアリンス嬢だけだが、そうはいかないんだよな。
「自分の娘が身分の高い二人、しかも婚約している者同士を引き裂くような事をした、これはアリンス男爵の王家への謀反として捉えられますよ、アリンス男爵にその気が全くなかったとしてもです」
「そ、そんな!!」
「あなたがやった事が事だけにこれは注意だけでは済まされない内容です、良くて貴族籍を剥奪されて平民となる、悪くて一家揃って死刑ですね」
「し、死刑!?」
アリンス嬢の顔が青褪める。
この反応はここまでの事態になるとは思っていなかったって感じだな。
「ええ、あなたは軽はずみな理由でこのような事をしたのかもしれませんが、あなたがした事はこのような刑を受けても仕方ないほどの大罪なんですよ」
「そ、そんな、嫌!! 死にたくない!! こんな事になるって知ってたらしなかったわよ!!」
だろうな、彼女からしたらウィスト嬢が注意されて婚約破棄されて自分が王妃になって自由に暮らせる。
そんな軽い考えしかなったんだろうな。
自分や親が揃って死ぬかもしれないなんて微塵も思わなかったんだろうな。
「せめてこんなパーティーをしている公の場でなく、個人で集まって話し合いをすればまだ死刑になるなんて事はなかったかもしれないのに」
「どう言う事?」
「このパーティー会場を見てください、学園に通っている生徒だけでなくその親も一緒に参加していますし、しかも他国から留学している人達もいます、こんなに大勢がいる前でこのような事をしてしまった、それなりのけじめをつけなければ他国からこの国はどのように見られるか容易に想像できますよ、その点当事者同士、今回の場合はあなたと殿下とウィスト嬢の三人で話し合えば同じ結果だったとしても当事者の三人しか知らず他の人達は知らないのでまだ穏便に解決できたのですが、もう他国の人達がいる場でしてしまいましたからね」
「そんな」
アリンス嬢はその場に崩れ落ちてしまった。
もう起きてしまった事なのでどうしようもないんだよな。
「う、うう」
アリンス嬢が泣き出してしまった。
男爵と言えども貴族令嬢が人前で泣くのは品がないと言われるけど、死ぬかもしれないって言われたらさすがに我慢できないか。
「まあ、最悪死刑を免れる方法がないわけでもないですけど」
「え?」
俺が言うとアリンス嬢は顔を上げて俺を見る。
「いや、そんな藁にも縋るような顔をされても、あくまで可能性の話で実際どうなるかはわかりませんよ?」
「それでも良いから教えて!!」
「じゃあ、言いますけど、今ここで自分の罪を認めて自首すれば良いと思いますよ」
俺はアリンス嬢にその可能性を言うのだった。
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