合言葉
「米を炊かなければならぬのじゃが、はて、何やら合言葉のようなものがあったはずなんじゃが、もう随分昔の事じゃからのう、忘れてしまったのじゃ」
合言葉?
料理を作るのに必要なものなのか?
カホさんが思い出せなければ俺達じゃ何もできないな。
「若」
「ん? どうしたシオン?」
「今から作るものがわかってるなら、失われたもの図鑑でそれを見れば何かわかるんじゃないのか?」
ナイスだシオン。
俺は失われたもの図鑑に米が載っていないかページをめくっていくと米も確かに載っていたのだった。
「シオンの言った通り確かに載ってるな、ん? 米、日本人の主食と言ったら米、米があればこの娯楽が少ない世界でも少しはマシになるだろう、まさに故郷の味、今ならわかる、いつも食っていた米がどれだけありがたかったのか・・・・・・何だこれ?」
本当に何だこれと思った。
この説明文は何だ?
「日本人? この世界? 何なんだこれ?」
「日本人、聞いた事がない言葉ですね、どこかの国の名前でしょうか?」
「それにこの世界って、この本を書いた人に何があったって言うのよ? 全然わからないわね」
ルートもユーリも米に書かれている説明文を読むが俺と同じように何だこれと思っているようだ。
俺だけがわかってないんじゃなくて良かったよ。
「カホさん、この日本人って言葉に心当たりは?」
「日本人と言うのが何なのかはわからぬが、東国では儂が生まれる遥か昔から和食は日本人の食文化と言う言葉が伝わっておってのう、意味はよくわからぬがとにかく日本人と言う言葉は伝わっていったのじゃ、もしかしたら、この本を書いた者や和食を生み出した者達だけが知る何かの言葉なのかもしれんのう」
さすがにそこまではわからないか。
考えても仕方ない事だし俺は説明文の続きを読む。
「米を作るには何より火加減が重要、合言葉は、はじめチョロチョロなかパッパ」
「おお、そうじゃそうじゃ、それじゃ、はじめチョロチョロなかパッパじゃ、米作りに重要な合言葉じゃよ、確か火加減を表わすものじゃったな」
なるほど、火加減を表わす合言葉だったのか。
火加減が重要って書いてあるしな。
「ケイネス、作るのが米ならこの写真と同じのをシェフィーネの描いた絵から見つければ作り方もわかるんじゃないのか?」
ナイスだシル。
そうと決まれば早速探そう。
それから俺達はシェフィーネ王女の描いた絵から写真と似たような絵を探すのだった。
「あった、シェフィーネ王女、これですか?」
「うん、その絵、記憶にある、確かにその写真と同じだった」
シェフィーネ王女が言うのならこの絵で間違いないだろう。
「どれどれ、おお、確かにこれは米の絵じゃな、上手に描けとるのう、シェフィーネ姫」
「どう見てもただのラクガキだよ?」
「何を言う、一生懸命描いたのなら上手に描けとると儂は思うのじゃ」
「・・・・・・ありがとう、カホさん」
カホさんの言葉でシェフィーネ王女は目を逸らしながらお礼を言う。
これは表情が変わってなくても照れてるって事がわかるな。
「ケイネス様、さらに探してみたらおにぎりと思われる絵も見つけました」
ルートが手に取った絵を見ると確かに写真のおにぎりと同じ絵だった。
「米とおにぎりの絵が揃ったな、後はこの絵を解読すればできるな」
「何じゃったら儂が教えようか?」
「カホさん、わかるの?」
「昔、まだ東国にいた時にのう、料理を教えられた時に最初にやらされたのが米の炊き方じゃ、できるまでやらされたからのう、今でも覚えておるのじゃ、合言葉はちと忘れていたがのう」
「じゃあ、カホさんにお願いした方が良いな」
「任せるのじゃ」
こうしてカホさんによる米作りが始まるのだった。
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