若返りの薬
「いや、何がどうなっとんじゃ!!」
カホさんの説明を聞いたエドウィンは大声を上げて言う。
そりゃそうだ。
「いやな、儂も何がどうなっとんのじゃと思ったよ、ジョルジュも目を見開いておったしのう」
「さすがに朝起きたら妻が子供になってたなんて自身の目を疑ったさ、孫だって目を見開いて驚いていたし」
「そう言えばそうじゃったのう、原因があるとすれば間違いなく前の日に飲んだ薬しかないと思ってのう、聞いたら孫も儂を治したいという一心で無我夢中じゃったから何の材料を使ってどのように調合したのかわからないまま、若返りの薬ができてしまったようなんじゃ」
「若返りの薬!?」
エドウィンは驚く。
うん、そうなるわな。
「そうじゃ、若返りの薬以外に儂がこんなに若返るわけがないのじゃ、しかも若返ったから、儂かなり長生きするみたいなんじゃ」
「長生きって、どれくらい?」
「具体的な数はわからんが、八十年くらいは生きられるらしいのじゃ」
「八十年!?」
エドウィンは驚く。
「本当なんだよ」
俺はエドウィンに説明する。
「カホさんが若返った時、すぐにジョルジュが来て親父に話したんだよ、その時に俺達もカホさんの若返った姿を見たんだけど、正直あの時は俺の目はおかしくなっちまったのかと思ったよ」
「あの時のケイ坊達の顔は、すまぬが笑いそうになってしまったのじゃ、なんせ皆して目を見開いて口を開けていたんじゃからのう」
カホさんは笑っている。
いや、あれはさすがに驚くわ。
「それからジョルジュから詳しい話を聞いた親父はすぐに陛下に伝えようと親父と母さんと俺とジョルジュとカホさんの五人で陛下のいる王城に行ったんだよ、そこでカホさんの若返った姿を見た陛下達は、まあ俺達と同じような反応だったよ」
「いや、さすがに私もあれは驚くわ、ケイネスと同じで私も自分の目がおかしくなったんじゃないのかと疑ったものだ」
あの時の陛下達の顔は凄かったな、皆して俺達と同じように目を見開いて口を開けていたんだからな。
唯一、シェフィーネ王女だけは普段と変わらなかったな。
多分内心では驚いていたと思うけど。
「そこで調べてもらったんだが、どうやらカホさんの身体は本当に若返ってるみたいで、八十年は生きられる健康な身体になっていたそうなんだ」
これは本当にそうなんだ。
何故ならシグフィス殿下の婚約者であるリンシア様に鑑定してもらったんだからな。
その鑑定結果で八十年生きられる健康な身体と出たそうだ。
だからカホさんはあと八十年は生きられるらしい。
ちなみにリンシア様も若返ったカホさんを見た時は陛下達と同じ反応だったよ。
「そんなわけでな、儂はあと八十年は生きていける健康的な身体になってしまったんじゃよ」
「そうだったんですか、しかし、偶然とは言え、若返りの薬ができてしまうなんて凄いお孫さんなんですね」
「そうじゃろう、儂とジョルジュの孫は凄いんじゃよ、のう、ジョルジュ?」
「その通り、私達の孫はかわいいだけではなく凄い才能を持っている」
カホさんとジョルジュは孫をベタ褒めする。
「そのお孫さんは?」
「ああ、今は王都の中央の方で薬屋さんを開いておって、そこの店長をしておるのじゃ」
ジョルジュとカホさんの孫なんだが、偶然とは言え若返りの薬を作った事で気になったのか後日リンシア様に鑑定させてもらったところ、薬剤師と言うスキルを持っている事がわかった。
薬剤師は薬を調合して作る事に長けているスキルである。
実力主義のバハムス王国としてはこの才能を埋もれさせたくはないので陛下が直々に孫と話したそうだ。
孫自身も薬の事を学びたいと思っていたのでそれから薬についての学問を教わる場所を陛下が用意してそこで薬についての勉強をする事になった。
どうやら才能があったらしく、わずか一年で薬に関する学問をほとんど習得して実技も難なくクリアして現在は王都の中央で薬屋の店長をしながら薬を作って売ったりしている。
「どうやら孫は儂を若返らせた薬をジョルジュにも作ってあげたいそうなんじゃが、どうやって作ったのかわからなかったから薬についての勉強をして今もあの時できた若返りの薬を作っているそうなんじゃ」
「おじいちゃんもおばあちゃんと同じように若返らせて私のひ孫を見てもらうんだとおっしゃいましてな、私はもうその気持ちだけで十分です」
その時の事を思い出したのかジョルジュは目頭を押さえて涙をこらえている。
「なるほど、だが難しいかもな、偶然でできた奇跡のようなものだし」
「いや、できてるんだよ」
「え?」
「だから、若返りの薬自体はできてるんだよ」
「はあっ!!?」
エドウィンは大声を上げて驚くのだった。
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