玉子焼き
「待たせたな、味見役達、できたぞ」
俺はそう言って味見役として待っていてくれたルート達の前にジョルジュが作った卵料理を置く。
その卵料理は全体は四角いが横は少し丸い形をしていた。
「これが卵料理?」
「面白い形だね、どんな方法で作ったんだい?」
料理人のシオンとラキムは形から既に興味津々のようだ。
他の皆も見た事ない形の卵料理を見ている。
「見た目に興味津々なのはわかるが、食べてみようか、確か一切れサイズに切ってたな」
俺が言うとジョルジュが作った卵料理を一切れサイズに切っていく。
「この料理、砂糖と塩の二通りがあったから両方作ってもらったんだ、こっちが砂糖でこっちが塩を使って作ったものだ」
「なるほど、それで二つもあったんですね」
俺がそう説明するとルートが納得する。
「それじゃ早速食べようか」
俺が言うと全員でフォークをさして取る。
おお、中を見たが中々綺麗な黄色だな。
見た目が良いと食べたくなるもんな、さてと肝心の味の方はどうだろうか。
俺は一口食べる。
「甘い」
俺が食べたのは砂糖の方だけど、甘かった。
とても甘くて旨かった。
クッキーとかで卵と砂糖を使ってるからこの二つが合わない事はないと思っていたが、そのまま焼いて食べるのは初めてだったので少し不安もあったが、そんな心配は無用なものだったな。
「甘くて美味しい~」
「嫌だわ、何これ、とても甘くて美味しいじゃないの」
ミスチーとユーリが砂糖で作った方を絶賛している。
「砂糖は甘いから卵と混ぜたら当然甘くなるとは思いましたが」
「これはクッキーなどのお菓子とはまた違った甘さ、お菓子と言うよりもおかずとして出されても問題ない」
フレイアとルートは卵料理を口にして色々考えているようだ。
次に俺達は塩の方を食べる。
うん、やはり塩だからしょっぱいけど良い感じのしょっぱさだな。
「おお、甘いのも悪くないが、俺はこっちの方が良いかもな」
「身体を動かした後にこのしょっぱさはちょうど良いかもしれないな」
リックとネロナはしょっぱい塩の方が良いみたいだ。
「どちらも美味しいけど、私はどちらかと言うと塩の方が良いわね」
「私はどちらからと言うと砂糖の方が良いかも」
ルティは塩、レティは砂糖と双子でそれぞれ好みが分かれていた。
「ケイネス様、図鑑を見ましたが、これではないかと思うのですが」
ジョルジュは図鑑のページを俺に見せる。
「玉子焼き」
失われたもの図鑑に載っていた玉子焼きという料理がジョルジュの作った卵料理と似ていたのでおそらくこの玉子焼きだと思われる。
「卵料理の一つで砂糖や塩で好みの味ができる、和食の一つ、和食?」
俺は初めて聞く言葉に首を傾げる。
和食って何だ?
「確か海を越えた東の方にある国、東国の料理の事をそう呼んでいた気がしますね」
フレイアが和食の説明をする。
和食って東国の料理だったのか。
「ケイネス様、一つ頼みたい事があります」
「どうした? そんな真剣な顔をして」
「この玉子焼きと言う和食を私の妻に食べさせたいのです、どうかお願いできませぬか?」
ジョルジュがそう俺に願い出る。
ああ、そうか。
「そう言えばジョルジュの奥さんって東国の生まれだったな」
「はい、その妻にぜひともこの玉子焼きを食べさせたいのです」
「そんな真剣に頼まなくても大丈夫だって、どうせこれも同じように公表するつもりだし、それに東国出身のお前の奥さんならこの玉子焼きが良いかどうかより詳しい意見を言ってくれると思うしな、お前の家に行こうか」
「ありがとうございます」
こうして俺はジョルジュと共にジョルジュの家に行く事にしたのだった。
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