早速解読
「と言うわけで、これからシェフィーネ王女の描いた絵をうちで解読する事になった」
王城から帰った次の日、俺はリカード家にいる使用人達にこれからの事を伝えた。
「なるほど、シェフィーネ王女の描いた絵をですか、陛下からならもはや王命のようなものですね」
「ああ、その通りだ」
ルートの言葉に俺は頷く。
陛下から直々に頼まれた、王命のようなものだろう。
「別にそれは良いんだけどよ、若、俺達はいつも通りで良いのか?」
リックが手を挙げて問う。
「ああ、基本はいつも通りの事をしてシェフィーネ王女の描いた絵を解読する時に近くにいたら手伝ってもらうって感じだ」
「そうか、それなら俺からは文句はないぜ」
「私も特に文句はないぞ」
リックに続いてネロナも同意する。
「私も特に文句はないわ」
「私もいいよー、若ちゃん」
ユーリとミスチーも同意する。
「我々は料理人ですし、特に何もありません」
「実際俺達はもうやってるしな」
「あたしも特に文句はないよ」
ジョルジュ達料理人も同意する。
「私も問題ないです、若様」
「姉様に同じくです、若様」
双子メイドのルティとレティも同意する。
「私も異論はありません」
「私も大丈夫です」
フレイアとカリーナも同意した事で全員からの同意を得るのだった。
「じゃあ、全員からの同意も得たので早速シェフィーネ王女の描いた絵を解読したいと思う」
「ケイネス様、こちらがシェフィーネ王女の絵をまとめた書類です」
「ありがとう、フレイア」
王城から持って帰った大量のシェフィーネ王女の絵を持ち帰りフレイアに頼んでまとめてもらった書類を手にする。
これだけでもかなりの量だし、他にも数冊あるんだよな。
「まあ、とにかく早速何かを解読しようか」
そう言って俺は適当なページを開くと全員でその描かれている絵を見る。
「うーん、全くわからないな」
俺が言うと全員が頷く。
「聞いてはいたが、想像以上だな」
「言われなきゃ確かにラクガキにしか見えないわね」
初めてシェフィーネ王女の絵を見たリックとネロナが言う。
「若ちゃん、これ何?」
ミスチーはもう考える事をやめたような顔をしているよ。
「まあ、わかる事と言えばこの形はどう見ても卵だな」
「と言う事は卵を使った卵料理と言う事になりますね」
ルートの言う通り卵を使う料理だと思われるが、卵を使った料理か。
「卵って割ってそのまま焼く目玉焼き以外にあるのか?」
シオンが疑問を口にする。
うん、俺もそれ以外の卵料理なんて見た事ないよ。
卵なんて割ってそのまま焼く目玉焼き以外にもあるんだな。
「じゃあ、まずはこれを作ってみるか」
こうして俺達はこの卵を使った料理と思われるものを解読するために厨房に行く事にした。
厨房についた俺達は早速この卵料理と思われるものの絵を見る。
ちなみに厨房にいるのは俺とジョルジュの二人だけで後の皆は味見役として待ってもらっている。
「これは難しくなさそうな絵だな」
「卵を割ってかき混ぜるように見えますね、数は二個ほどですね」
ジョルジュが絵を見て言う。
「早速作りましょう」
ジョルジュが卵を割ってかき混ぜる。
「えーと、次はそのかき混ぜた卵に、ん?」
「どうしました?」
「いや、これを見るとさ、二通りに分かれてるんだよ」
俺はジョルジュに絵を見せる。
「確かに、いくつかに分かれていますね」
「この二つは顔が描かれているな、表情からして甘い物を食べてる表情に見えるな」
「逆にこっちは甘くないって顔をしていますね」
「甘いって事は、これは砂糖だな」
「と言う事は、こちらは違う調味料を表しているって事でしょうか」
「これよく見るとしょっぱそうな顔をしてるな」
「と言う事は塩ですね、なるほど砂糖と塩は見た目が似ていますから顔で表現したと言う事ですね」
そう考えると確かにこれは砂糖と塩だなと思うが問題があった。
「砂糖と塩はわかったが、これは何だ?」
その絵には砂糖と塩のほかに何やら黒い液体と思われる絵が描かれていた。
「この黒いのも何かの調味料でしょうか、しかし黒い液体の調味料ですか、そんなのはありませんし聞いた事もありませんね」
ジョルジュの言う通り俺も黒い液体の調味料など聞いた事がないがこの絵に描かれているって事は少なくとも実在する調味料だと思われる。
「この黒いのはよくわからないな、仕方ないからこのまま作るしかないな、砂糖と塩の二通りがあるから両方作るか、卵に入れて混ぜるみたいだ」
「わかりました」
ジョルジュは砂糖と塩の二つを混ぜた卵を用意する。
「これはフライパンの絵だな、フライパンでかき混ぜた卵を入れて焼くみたいだ」
「これは紙でしょうか、紙に油をつけてフライパン全体に塗るように見えますね」
「ただ入れるだけじゃダメって事か」
「紙と言えばこの調理用に使える紙がありましたね、これにつけてフライパンに塗りましょう」
そう言ってジョルジュは調理用に使える紙に油をつけてフライパンに全体に均等になるように塗る。
この紙って便利だよな。
洗った調理器具の水を拭き取ったり油を取ったり他にも色々な使い道があるんだよな、紙だから使い捨てだけどたくさん入ってるし、意外と主婦とかにも人気なんだよな。
これ作った人、よく思いついたなと思うよ。
「一度に卵を入れるんじゃなくて、二回くらいに分けてるな」
「フライパンに入れた後も何かをしていますね」
「なんか卵を四角い形に焼いて、これは折りたたんでいるのか?」
「形を整えながら焼くと言う事ですか、これはそれなりの技術がいりますね」
そう言ってジョルジュは卵を半分ほど入れて四角い形に整えていき見事と言える手さばきで折りたたむのだった。
「パンケーキを作った時のラキムもだが、初めてなのに何でこんなに上手くできるんだ? やっぱ長年料理人をしていた勘って奴か?」
「そうですね、何となくわかるものですね、それにリカード家の料理長たるもの、初めてだろうと料理作りでの失敗は許されませんからね」
「おお」
さすが我が家の料理長。
料理作りに対する覚悟が違うな。
「一回目にたたんだその卵をフライパンの奥の方にやって、もう一回油を塗って残った卵も同じように四角く折りたたむみたいだな、しかも前の卵と一緒に重ねるみたいだ」
「なるほど、面白い調理方法ですね」
そう言ってジョルジュはフライパンに油を塗って同じようにもう半分の卵を入れて一個目にたたんだ卵と重ねて折りたたむ。
そして皿にのせて完成したのだった。
読んでいただきありがとうございます。
ここから三章に入ります。
三章はシェフィーネが今まで描いた絵をひたすら解読して作るって感じになります。
料理系が多くなると思いますが、引き続きお楽しみください。
そしてこの投稿が2024年最後の投稿になります。
2025年も頑張って投稿できるようにしますので引き続きよろしくお願いします。
良いお年を。
面白かったらブクマと評価をよろしくお願いします。




