今後の方針
シグフィス殿下の部屋に向かったメイド達が紙の束を持って来る。
「これが今までシェフィーネが描いた絵だ」
「こんなにたくさんあったんだな」
陛下の言うように机の上にはかなりの量の紙の束が置かれていた。
確か学園に入学する少し前から起きたと言っていたが、まさかこれほどの量だったとは。
「シェフィーネが絵を描く度に持って行っていたが、毎回数枚程度の紙だからあまり気にしなかったが、まさかこんなにたくさんの量を描いていたなんてな」
シルもその量に驚きを隠せなかったようだ。
そりゃそうだよな。
そんなにお金使ってないだろと思っていて後で全額知ったら相当な額のお金を使い込んでいたと言うあの感覚だろうな。
ちなみに俺はそんな事してないからな。
「こんなに描いてたんだ」
シェフィーネ王女本人ですら驚いているよ。
「さすがにこんなにあるとは思わなかったな」
そう言って陛下は紙を数枚手に取る。
「うーむ、確かによく見ると絵の所々に矢印があるし手の形と思われるものもあるな」
「何かの作り方と言われれば、確かにそう見えなくもないわね」
王妃様も数枚の紙を見て言う。
俺達も何枚か見ると、確かに今までの絵と同じ感じに描かれていた。
おそらくこれらも何かの作り方と見て良いかもしれない。
「リンシア、試しに鑑定をしてもらって良いか?」
「はい」
シグフィス殿下に言われてリンシア様は紙を一枚手に取りじっと見つめる。
おそらく鑑定を使っているのだろう。
「あれ?」
「どうした?」
シグフィス殿下がリンシア様に問う。
「それが、前に鑑定した時と出ている説明文が違うのです」
「違う?」
「はい、前は何の絵かわからないが捨てない方が良いと出ていたのに、今回は何かの作り方が描かれている絵、解読して作ると良い、と出ています」
シグフィス殿下の問いにリンシア様はそう答える。
俺には全くわからないが鑑定結果が前回と違うらしい。
「鑑定結果が変わっているのか? 何故そんな事が?」
「おそらくケイネス様達がシェフィーネ王女の絵を何回か解読した事によってこの絵が何かの作り方だと言う新しい情報が私の鑑定に加わったのではないかと思われます」
シグフィス殿下の問いにリンシア様はそう答える。
まさかリンシア様の鑑定スキルが進化しているのか?
スキルも魔法と同じで神から選ばれし者に与えられる加護とも言われれば、常識を超えた恐ろしい力とも言われてるからな。
まだまだわからない事が多い未知なるものとして研究が続けられているんだよな。
そんな事を考えていると陛下が口を開く。
「ふむ、とにかくリンシア嬢の鑑定でシェフィーネの描いた絵が何かの作り方だと言う事は確かだろう、なら今後の方針も決まったな」
「方針ですか?」
俺が言うと陛下は頷いて言う。
「ああ、シェフィーネの描いた絵が何かの作り方だと言うのなら、それを解読して作ってもらいたい、そこでだケイネス、お前のところで解読して作られたんだ、引き続きこれらの解読をお前のところに任せたい」
「俺のところでですか? それは構いませんが良いのですか? これだけの量ですからもっとちゃんとしたところで解読してもらった方が良いのではないかと」
「お前、わかりきった事を聞くなよ、ちゃんとしたところってシェフィーネの描いた絵を解読する事に時間を費やせる暇人がこの城の中にいると思うか?」
「・・・・・・いませんね」
いるわけがない。
そんな暇人が王城にいたら城から追い出されてるよ。
「対してお前のところはやる事をしながらもシェフィーネの描いた絵を解読する事もできるだろ?」
「・・・・・・できますね」
現にもう三回もできてますしね。
「おまけにお前はガルドムの学園に卒業まで通わなくても良いようになったんだろ?」
「ええ、どうしても出なければいけない授業以外は卒業まで何も問題を起こさなければ問題ないと言う事になりましたよ」
「なら、引き続きお前のところでやっても問題ないだろ?」
「・・・・・・はい」
問題ないですね、問題ないですよ。
「それなら父上、私も卒業まで何も問題を起こさなければ授業に出なくても良いと言う事になってますので、私も引き続きケイネスと共にシェフィーネの描いた絵を解読したいと思います」
「ああ、構わん、どうせダメだと言っても無駄だしな、と言うわけでケイネス、引き続き任せたぞ」
「・・・・・・承りました」
こうして引き続き俺のところでシェフィーネ王女の描いた絵を解読する事になるのだった。
何だか上手い具合に押し付けられた気がするな。
やれやれだ。
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