シェフィーネの絵
「話と言うのは、シェフィーネの描いた絵についてだ」
「私の絵?」
陛下の言葉にシェフィーネ王女は首を傾げる。
「そうだ、これまでお前の描いた絵を解読してその通りにしたら三つの品が出来上がり、三つともかつては存在したのに今では作り方すら知らない失われたものだと言う事がわかった」
陛下の言葉に俺達は頷く。
「一回だけなら偶然だと言われればそれまでだが、それが三回も続いてその全てが失われたものの作り方だった、とても偶然で片づけられる話ではない」
確かにそうだ。
三回も続けば偶然で片づけるには無理がある。
「これらの事から考えて、もしかしたらこれまでシェフィーネが描いたものは何かの作り方だったのではないかと思っている」
俺達も陛下と同じ考えだった。
シェフィーネ王女の描いた絵が失われたもの図鑑に載っていたものの作り方なら、今まで描いた絵も失われたもの図鑑に載っていたものの作り方の可能性は高い。
「もし何かの作り方だったとしたら、シェフィーネはかなりの数の絵を描いている、だが当時の俺達はそれが何なのかわからずただのラクガキとしてそのままにしてしまったから、もう捨ててしまっているだろう」
「いえ、父上、シェフィーネが今まで描いた絵は取って置いてあります」
「何!?」
シグフィス殿下の言葉に陛下は驚く。
「シグフィス、お前、シェフィーネが今まで描いた絵を取ってあるのか?」
「ええ、捨てずに取ってありますよ」
「何故取ってあるんだ?」
陛下はシグフィス殿下に問うが当然の疑問だと思う。
当時シェフィーネ王女の描いた絵がただのラクガキとしか思えなかったんだ。
普通ならそのまま捨てられているはずだと思ったのだろう。
現に俺もあれがただのラクガキにしか見えなかったし、普通に捨ててもおかしくないだろう。
「最初にシェフィーネの描いた絵を私の婚約者に見せて鑑定してもらった事がありますよね?」
「ああ、だが彼女の鑑定でも何もわからなかったと聞いたぞ?」
「ええ、ですがその後彼女からシェフィーネの描いた絵は捨てない方が良いと言われたんですよ、そうだったな、リンシア?」
「はい」
シグフィス殿下の隣に座っている令嬢は頷く。
彼女の名はリンシア・フェリクス。
公爵家の令嬢でシグフィス殿下の婚約者である。
将来は彼女が王妃となって王となったシグフィス殿下を支えていくだろう。
「殿下のおっしゃる通り、私は一度シェフィーネ王女の描いた絵を鑑定した事がありますが、その時の鑑定結果はその絵に描かれた内容はわかりませんでした」
「シェフィーネには悪いが、この絵はあまりにも独特過ぎる、例えるなら遺跡やダンジョンで見つかる古代文字のようなものだ、彼女でも古代文字を鑑定するのは難しいさ」
確かにシェフィーネ王女の絵は古代文字を解読するようなものだったな。
隣ではシルもうんうんと頷いているよ。
「シグ兄様、そんなにハッキリ言わなくても私には絵心がない事くらいわかってる」
あ、シェフィーネ王女がまたムッとしてる。
「はは、悪かったからそう怒らないでくれ、それで話を戻すが、リンシアはシェフィーネの絵が何を描いているのかわからなかったが、ある事が見えたそうなんだ、リンシア、ここからの説明は頼む」
「はい」
シグフィス殿下に言われてリンシア様が続きを話すのだった。
あ、彼女の事は様付けで呼んでるんだ。
だって公爵家の令嬢と男爵家の息子の俺だぜ?
必然とそうなるだろ?
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