パンケーキ
「これはパンケーキと言うらしいな」
俺はパンケーキのページを見ながら言う。
ラキムの作った物がこのパンケーキと同じだったので間違いないだろう。
「朝食に出す事もできるし、おやつとして出す事もできるって書いてあるな、ハチミツやバターをたくさんつけても良いし、クリームや果物との組み合わせも抜群とも書いてあるな」
「これが朝食にも出せると言うのか? こんなに甘いのにか?」
シルフィスタの言う通り、こんな甘い物を朝から出されてもなぁ。
「朝食か、もしかしてハチミツとバターがない状態なら出せるんじゃないのか?」
そうエドウィンが言う。
そう言えばハチミツとバターをつけずにそのままの状態は食べてなかったな。
「ラキム、生地はまだあるか?」
「あるよ、早速焼こうじゃないか」
ラキムは再びパンケーキを焼いていき俺達は何もつけていないパンケーキを食べるのだった。
『あー』
俺達は朝食に出しても問題ない理由を理解した。
「柔らかいけど、何もつけてないとこんなに味しないんだな」
「これなら朝食に出されても文句はないな、むしろ白パンより柔らかいからパンの代わりになれるな」
「ハチミツとバターがちょうど良いと言ったが、本当にちょうど良かったんだな、まさか何もつけなければこんなに味がしないなんて」
「パンの代わりにもお菓子の代わりにもなれる、パンケーキ凄い」
凄いとおっしゃいますが、シェフィーネ王女。
その作り方の絵を描いたあなたも凄いと思いますよ。
「やっぱり子供のおやつに出しても良いって思ったけど、本当におやつとして出して良いものだったんだね、そろそろアニス様の勉強も休憩に入る頃だし、おやつとして持って行こうじゃないか」
「それは名案だ、勉強で疲れた頭には甘いものが一番だ」
ラキムの提案にシルフィスタも同意する。
疲れた頭には甘いものとはよく聞くしな。
俺達は妹のアニスが勉強をしている部屋へとパンケーキを持って行くのだった。
妹の部屋に行くとそこには勉強をしているアニスと勉強を教えているフレイアの姿があった。
今日の担当はフレイアか、ちょうど良いかもな。
「ケイネス様、それに皆様も揃ってどうしましたか?」
「なあに、ちょいと美味しいおやつができたんだよ、アニス様の休憩がてらにどうかと思ってね、頭を使った後は甘いものって言うだろ?」
「なるほど、勉強もちょうど区切りの良いところでしたし、良いタイミングですね、アニス様、休憩にしましょう」
「はい」
ラキムはアニスの前に作ったパンケーキを置く。
「見た事ないものなのです」
アニスはパンケーキに興味津々だ。
「パンケーキって言う失われたもの図鑑に載っていたお菓子だよ、シェフィーネ王女のおかげで作れたと言っても過言じゃないよ」
「凄いのです、シェフィーネ王女」
「ん、美味しいから食べてみて」
「いただきます」
そう言ってアニスはパンケーキを一口食べる。
「甘くて美味しいのです!!」
アニスは満面の笑みを浮かべる。
「これは、バターとハチミツをたくさんかけているのですね」
「アンタの分も作ったから食べてみな、アンタの意見も聞きたいからさ」
そう言ってラキムはフレイアの分のパンケーキを出すとフレイアはパンケーキを一口食べる。
「んー」
フレイアもパンケーキの美味しさに満面の笑みを浮かべていた。
「はっ!! い、いや、えっと」
俺達が見ている事に気づいたのか、フレイアは顔を赤らめていた。
普段真面目でクールな彼女だけど、甘いものが好きだからお菓子とか食べると満面な笑みを浮かべたりするんだよな。
彼女はそれがちょっと恥ずかしいみたいだけど。
夫のルートがいたらあまりのかわいさに顔を赤くして背けていたかもな。
「とりあえず、このパンケーキもクリームシチューと同じように販売とレシピを公開しても問題なさそうだな」
そう、クリームシチューをどうするか陛下に聞いたところ、シェフィーネ王女が良いと言うのなら家庭用のレシピとして一般の者達にも公開して良いと言われたのでシェフィーネ王女に聞いたところ良いと了承を得たのでクリームシチューは全ての飲食店だけでなく家庭でも作れるように貴族、平民関係なくレシピを公開する事になったのだ。
「ケイネス、これで決まりだな」
「ああ、そうだな」
シルフィスタの言葉に俺は頷いて答える。
今回のパンケーキでハッキリした。
シェフィーネ王女の描いた絵はそう言う事なのだと。
それから数日後、俺達は陛下のいる王城に向かう事になったのだ。
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