ふっくらしてきた
と言うわけで、いつものように我が家の厨房に来ました。
「で、また何かの作り方の絵ができたって事かい?」
「ああ、その通りだよ」
現在厨房にはラキムがいたので俺達はラキムに頼む事にした。
「任せときな、それで、まずは何をすれば良いんだい?」
そうラキムが聞いて来たので俺達は絵を見る事にした。
「この丸いのは形からして卵だな、で、何か一緒に混ぜてるな」
「お菓子の作り方なら砂糖じゃないのか? 卵と砂糖を一緒に混ぜるみたいな感じで」
確かにお菓子の作り方ならシルフィスタの言う通りかもしれないな。
「了解、卵と砂糖はお菓子の定番だもんね」
そう言ってラキムは卵と砂糖を一緒に混ぜていく。
「次はこの絵だな、パンの絵みたいだな、矢印で二つの袋に分けてるな、見た感じ粉みたいな物が出てるが」
「パンで二つの粉? ああ、小麦粉とベーキングパウダーの事だね」
すぐに気づいたラキムは二つの袋を取り出す。
「両方共パンを作る時に必要な粉だね、これを入れて混ぜるのかい?」
「絵を見た感じだとそうだな、けどいくつかに分けてるって感じだな、もしかしたら少しずつ入れて混ぜるのかもな」
「なるほどね」
ラキムは小麦粉とベーキングパウダーを少しずつ入れて混ぜていく。
「混ぜたらさらにミルクを入れて混ぜるようだ、けど、何だこれ?」
混ぜると言うのはわかるのだが、この周りにある波線みたいな感じのものは何なんだろうか?
「ケイ兄様、そこの部分の記憶は残ってるよ、ミルクを入れてゆっくり混ぜてた、混ぜ過ぎないように注意もしてた」
「なるほど、助かりました」
シェフィーネ王女の記憶にこの部分が残っていて助かった。
なるほど、この周りに描いてある波線はゆっくりかき混ぜるって意味だったのか。
「ミルクを入れながらかき混ぜ過ぎないように注意しながらゆっくりかき混ぜるのね、任せときな」
ラキムは頼もし気に答えてミルクを入れながら混ぜ過ぎないように注意しながらゆっくりとかき混ぜていくと少しトロッとしたような感じに仕上がっていく。
「こんなもんで良いかしらね、で、次はどうすれば良いんだい?」
ラキムに言われて次の絵を見るとフライパンの上に入れて焼いている絵が描かれていた。
「このフライパンに乗せて焼くみたいだな、丸い形が描かれているから、もしかしたら丸い形にして焼くって事か?」
「丸い形にして焼くんだね、了解」
そう言ってラキムはお玉で掬ってフライパンの上に落として綺麗な丸を描いていき焼いていくのであった。
「若、この焼き方からすると肉みたいにひっくり返して反対も焼くって感じかしら?」
「みたいだな、だが、どのタイミングでひっくり返せば良いんだ?」
不思議な事にひっくり返すタイミングの絵はどこにも描かれていなかった。
「多分だけど、作る人によってひっくり返すタイミングは違うんじゃないのかい? ほら、肉だってあたしが焼くのと料理長やシオンが焼くのとじゃ全然違うでしょ?」
なるほど、作る人によって好きな焼き加減があるし、それだと当然タイミングも違う。
だからひっくり返すタイミングは描かれていないのか。
人それぞれ好きなタイミングに任せるって事か。
しばらくすると驚く事にフライパンに入れた物がふっくらとふくらんできたのだった。
「パンを作る材料を入れたからね、ふっくらとふくらむのは当然だね」
さらに待っていると小さな穴が出て来る。
「今だね」
ラキムがいくつか穴が出て来たタイミングでひっくり返す。
『おお』
俺達は驚く。
ひっくり返すと美しい程綺麗に焼けていたのだった。
「どうしてひっくり返すタイミングがわかるの?」
「確かに、初めてでこんな綺麗にできるなんて」
「ん? そうだねぇ、長年料理をしている料理人の勘って奴かね、どこでひっくり返せば良いのかが何となくわかるのよね、伊達に長い間リカード家の料理人やってないんだから、なめちゃダメだよ」
「「おお」」
ラキムの自信満々な言葉にシルフィスタとシェフィーネ王女は尊敬の眼差しを向けている。
「彼女は頼れる大人って感じがするな」
エドウィンが俺に言う。
「姉御って感じの人だからな、二人の母親である王妃様とはまた違った意味で頼もしい大人の女性に見えるのかもな」
「確かに、何て言うか、悩み事とかあったらしっかり向き合って聞いてくれるって感じがするな」
「食べ物の好き嫌いが多い子とか聞き分けのない悪ガキをどうにかできちゃいそうな気もするよな?」
「なるほど、確かにそんな気もする」
「そろそろ良いかもね」
俺とエドウィンが会話をしているとラキムがひっくり返していた。
すると反対側も綺麗に焼けていたのでそのまま皿にのせる。
「これで終わりかい?」
「いや、もう一枚焼いてこの上に重ねるように置くようだ」
「了解」
ラキムは同じようにもう一枚焼き二段重ねのように一枚目の上にのせるのだった。
「この四角いのはパンの絵が一緒に描かれているからおそらくバターでこっちはハチミツだな、一番上の真ん中にバターを一切れのせてその上からハチミツをかけるって感じだな、絵を見た感じハチミツははみ出して皿にかかっても良いみたいだな、小さな容器の絵があるから、これも人それぞれ好きな量をかけて食べてくれって事かもな」
「あいよ」
ラキムは俺の言う通りに一番上の方にバターを一切れのせてその上にはみ出して皿にのるくらいの量のハチミツをかけるのだった。
「これで完成のようだ」
「作り方はそんなに難しくないね、見た目も匂いも美味しそうだし、味も期待できるんじゃない?」
「食べ方はステーキと同じでナイフとフォークを使うって感じだな」
「それじゃ、早速切り分けて食べようか」
ナイフとフォークで切り分けて俺達は一斉に食べるのだった。
『美味しい』
俺達は同じ感想を口にした。
「何だこれ、滅茶苦茶美味しいな」
「ああ、しかもハチミツとバターがさらに美味しくさせてる」
「ケーキみたいにフワフワしている」
「ハチミツかけ過ぎじゃないのかと思ったが、むしろこれぐらいがちょうど良い甘さだな」
「作り方もそんなに難しくないし、こりゃ子供達のおやつにも良いわね」
「これも失われたもの図鑑に載っているものなのか?」
早速失われたもの図鑑を見てラキムが作った物と同じ物が載っていないかを見る。
「あった、これだな」
そのページにはパンケーキと書かれていた。
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