再び解読の時間だ
続きができました。
待ってた皆様すみません。
学園の授業が終わる時間なのでエドウィンを迎えに行った。
「エドウィン迎えに来たぞ」
「ああ、ケイネス、すまないが少し待ってくれないか」
「ん? どうした?」
俺が聞くとエドウィンは指差す方を見るとそこにはシェフィーネ王女が紙とペンを持っていた。
あ、これって。
「もしかして起きたのか?」
「ああ、勉強が終わったタイミングでな」
どうやらシェフィーネ王女がまた何かの絵を描いているようだ。
やがてシェフィーネ王女の動く手が止まる。
どうやら描き終えたようだ。
「あ、ケイ兄様、今日はシル姉様と一緒じゃないの?」
「ええ、用事があるようで今日は俺だけですね、それよりシェフィーネ王女、また何かを作っている記憶が流れて来たのですか?」
「うん、前の化粧水と違って何かの料理を作ってた」
「絵を見ても?」
「うん」
俺はシェフィーネ王女から紙を受け取ると紙に描かれている絵を見る。
化粧水の時と同じように見る人によってはラクガキにしか見えないがまた矢印とかが書かれているので間違いなくこの順番通りにやっていくと何かができるのだろう。
シェフィーネ王女は料理を作っていると言っていたので何かの料理だと思われる。
「シェフィーネ王女、この描かれた絵を持ち帰ってもよろしいですか?」
「? うん、良いよ」
「ありがとうございます」
俺は絵の描かれた紙を受け取り帰るのだった。
「ケイネス、シェフィーネ王女の描いた絵を貰ってどうするんだ?」
帰りの馬車の中でシェフィーネ王女の描いた絵を見ているとエドウィンが話し掛けてくる。
「この絵を解読する、母さんに言われたからな」
「お前の母上にか?」
「ああ、この前化粧水についての話をしていた時に母さんに頼まれたんだ」
俺はその時の事をエドウィンに話すのだった。
『シェフィーネ王女がまた絵を描いたら解読してほしい?』
化粧水の話が一段落終わった後で母さんが言った事を俺は聞き返した。
『ええ、シェフィーネ王女の描いた絵で化粧水ができたでしょ? シェフィーネ王女の絵を描くという状態は聞いているから知っているわ、学園に入る少し前からそうなっていたそうね』
それは俺もシルから聞いた。
シェフィーネ王女が絵を描く状態になったのは学園に入る少し前かららしいが頻繁的になったのは学園に入ってからである。
『今回の事でシェフィーネ王女の描いた絵が化粧水を生み出したのなら今まで描かれた絵も同じように何かの作り方じゃないのかと思っているの』
確かに母さんの言う事も一理あるが、化粧水だけだと確信が持てないな。
『けど、まだ化粧水しか出てないし、描かれたのがたまたま化粧水の作り方だったかもしれないから、今まで描かれた絵がそうとも限らないんじゃ』
『ええそうよ、今回の絵がたまたまだったって可能性も十分あるわ、だからこそ、またシェフィーネ王女が絵を描く状態になったら、その絵をまた解読してほしいのよ』
ああ、なるほど、そう言う事か。
『次にシェフィーネ王女の描いた絵がまた何かの作り方だったら、シェフィーネ王女が今まで描いた絵も何かの作り方の可能性があるって事か』
『ええ、その通りよ、お願いできるかしら?』
『わかったよ、次にシェフィーネ王女が絵を描いたら解読してみるよ』
「って事でシェフィーネ王女が再び描いた絵を解読するって事になったのさ」
「なるほど、それはそうと私は前から気になっていた事があるんだが」
「何だ?」
「ケイネス、お前学園はどうしたんだ?」
「学園? ああ学園か」
「そうだ、お前バハムス王国に帰ってからずっとここにいるが、ガルドムの学園はどうした? そろそろ戻らないとマズイんじゃないのか?」
「あー、それなんだけどさ、俺もうガルドムの学園の卒業単位は取ってあるんだよ」
「は?」
俺が言うとエドウィンは口をポカンと開けている。
「だからガルドムの学園の卒業に必要な単位はもう取ってあるんだよ」
「ちょっと待て、お前いつ取ったんだ?」
あ、そういや言ってなかったな。
俺はエドウィンに説明をするのだった。
「いやさ、お前の婚約破棄騒動の時にさ、流れとは言え王国にとって邪魔な貴族達を一掃しただろ?」
「ああ、そうだな」
「それからお前と話し合いの場を設けたりして何やかんや解決しただろ?」
「ああ、そうだったな」
「それでさ、どうやら世話になった俺に褒美を与えてくれる事になってさ、正直いらなかったんだけど他国の王家からの褒美だからな、断るわけにもいかないだろ?」
「確かにそうだな」
「それで考えた結果、ガルドムの学園を卒業するまでの単位を貰う事にしたんだよ、そしたら本当にくれたからさ、俺は卒業までに必要な単位を全て貰ったから卒業式まで学園に通わなくても良いようになったんだよ」
そう、俺はエドウィンが婚約破棄した件でエドウィンが公の場で王城での仕事を真面目にしていなかった貴族達を告発した事で王城にいた真面目に働いていなかった貴族達を全て排除する事ができたのだが、そのきっかけが俺だった事、さらにその件でエドウィンが幽閉されて誰にも会おうとしなかったのに俺とは会ってくれてしかも陛下達と話をさせてくれた件で大変世話になったと言われて何かの褒美を与えたいと言ってきたので俺はさっき言ったようにガルドム王国の学園を卒業できる単位を望んだので俺はシルフィスタと同じように向こうから受けなければならない授業以外は卒業式までは受けずに学園に通わなくても良い事になったのだ。
「そうだったのか、だからお前ずっとこの国にいたのか」
「ああ、それに他国の学園だからテストで点数を調整するのも疲れるんだよな」
「点数の調整? どう言う事だ?」
「いやさ、ガルドムの学園ってバハムスよりも遅れてるからさ、テストで上位に入らないようにわざと間違えて点数を調整して中間くらいの順位に入るようにしていたんだよ」
「ちょっと待て!! お前、まさかその気になればテストで成績上位に入れたのか!?」
「ああ、その気になればできたけど? テストも簡単だったし」
「じゃあ、何で本気を出さなかったんだ!?」
エドウィンの疑問は当然だ。
でも本気を出して成績上位に入るわけにはいかなかったんだよな。
「エドウィン、よく考えてみろよ、留学生である俺がガルドムの学園でもし成績一位になったとしたらガルドム王国の学生が他国の学生に劣っているって証明になってしまうだろ? ましてや他国の男爵家の令息なら余計屈辱にしかならないじゃないか、当時のお前だったら俺に対して敵意むき出しで俺に対して生意気だとか調子に乗るなとか言って俺に何かしらの嫌がらせやちょっかいを出して来ただろ?」
「む、否定できないな、あの時の私なら」
「だろ?」
あの時のエドウィンなら絶対に俺を敵視するって自信持って言えるな。
「そう言う事だから、俺は卒業式の日までどうしても受けなければならない授業以外で学園の授業を受けなくても良いって事になったんだ、学園にもバハムスにいる事を伝えているし、何かあったら俺の実家に手紙が来ると思うから、それまで俺はこっちでのんびり過ごさせてもらうさ」
そして話しているうちに我が家に到着。
シェフィーネ王女が描いた絵。
再び解読の時間だ。
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