様子がおかしい
(様子がおかしい)
シェフィーネ王女の勉強を見たエドウィンを迎えに来た俺達は帰りの馬車で帰っているのだが、俺はどうしても気になった。
それは、エドウィンの様子がどうにもおかしいのだ。
エドウィンは何やら窓の向こうを見ているが、何て言うかその目は窓の向こうの景色を見ているって感じではない気がした。
「なあ、ケイネス」
「どうした?」
「私の気のせいだろうか、エドウィンの様子がおかしい気がするんだが」
どうやら俺だけではなかったようで、シルフィスタもエドウィンの様子がおかしい事に気づいていたようだ。
俺達はエドウィンに聞こえないように小声で話す事にした。
「やっぱり気づいたか?」
「ああ、最初は気のせいかと思っていたが、どうにも何か変だと感じたんだ」
「だよな、窓の向こうを見ているが、どう見てもあの顔は窓の向こうの景色を見ている顔じゃないんだよな」
「何があったと言うんだ、いつも通りシェフィーネの勉強を見てもらっていたんだよな?」
「ああ、それからいつものように授業の終わりに俺達が迎えに行って、その時から様子がおかしいんだよな」
「何かあったのか? シェフィーネはいつも通りだったと思うんだが」
「だとしたら、やはりエドウィンに何かあったとしか思えないが、何があったんだ?」
「ふむ、全くわからん、だが様子がおかしいのは確かだ」
俺達はエドウィンの様子がおかしいのはわかるのだが、どうしておかしいのかは考えても全くわからなかった。
「ケイネス、エドウィンは大丈夫なのか? 明日もシェフィーネの勉強を見てもらうんだぞ?」
「うーん、本人に聞いた方が良いのかもしれないが、果たして本人が話してくれるかどうかだな」
何か悩みがあるのなら聞いてあげたいが本人が話さない事にはこっちから無理やり聞くわけにもいかないしな。
むしろ知り合いだから話したくない悩みかもしれないからな。
「エドウィンが自分から話してくれるまで俺達が無理に聞くのもどうかと思うしな」
「確かにその通りだな」
「話したかったら話してくれると思うし」
「様子見と言ったところだな」
そんな事を話しているうちに馬車は家に到着して俺達は馬車から降りる。
「なあ、ちょっと良いか?」
馬車から降りるとエドウィンが俺達に話し掛けて来たので俺達はエドウィンの方を向く。
「どうした?」
「いや、そのだな」
俺が問うとエドウィンは言葉に詰まったのかしばらく間を置いてから意を決したかのように話し出す。
「その、シェフィーネ王女は、どんなお茶が好きなんだろうか?」
「「え?」」
エドウィンの問いに俺達は一瞬何を聞かれているのかわからなかった。
「いや、別に深い意味があるってわけじゃないんだ、ほら勉強ばかりしていると疲れるだろ? だから息抜きにお茶を飲んだりとかした方が良いと思うだろ? だから好きなお茶とか一緒によく食べてるお菓子とかがあったら明日持って行って休憩の時にどうかと思ってさ」
「「・・・・・・」」
おい、こいつまさかっ!!?
俺はシルフィスタの方に顔を向けるとシルフィスタも目を見開いて俺の方に顔を向けた。
どうやら彼女も同じ答えに辿り着いたのかもしれない。
「おい、ケイネス、そう言う事なのか? そう言う事なのか!?」
シルフィスタは小声で話すがどうも落ち着きがない。
「シル、落ち着くんだ、まだそうと決まったわけじゃない、見た感じ本人は自覚してないみたいだし」
「確かに見た感じそうだが、しかしだな」
「まあ、二人きりにしてたし、こうなる事も可能性としてはあったけど」
「私達はどうしたら良いんだ?」
「とりあえず様子見するしかないだろうな」
「今のところそれしかないか」
俺達はどうしたもんかと思いながらエドウィンを見るのだった。
おいおい、マジかよ。
読んでいただきありがとうございます。
話の続きは現在執筆中なので次回更新はしばらくお待ちください。
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