化粧水は売れる商品らしい
シェフィーネ王女の描いた絵を解読して作った化粧水らしき物を作ってから二、三日が経った。
今俺は実家で親父と母さんとユーリと俺の四人で話していた。
ちなみにエドウィンはシェフィーネ王女の勉強でシルフィスタは妹のアニスの勉強を見ている。
アニスはまだ学園に行く年齢じゃないので家で勉強をしていて、教師は基本ルートとフレイヤがしてくれるがシルフィスタもたまにアニスの勉強を見たりしてくれているのだ。
「ケイネス、シェフィーネ王女の描いた絵を解読してこの化粧水を作ったそうね?」
「ああ、シェフィーネ王女の描いた絵を解読してその通りにしたらできたんだ」
俺は母さんの問いに答える。
「ユーリにも聞いて使ってみたけど、おそらく図鑑に載ってた化粧水で間違いないと思うわ、現に私も使ってみたけど顔も手もこんなに潤ってるのよ」
母さんはニコニコした顔で両手を前に出して俺に見せてくる。
確かに言われて見ればいつもよりも肌が綺麗に見えなくもないが、母さんって王妃様と同じで歳の割に見た目が若く見えるんだよなぁ。
「ん? ケイネス、今何か失礼な事思ってなかった?」
「いや、そんな事ないよ」
母さんも王妃様と同じで鋭い人なんだよなぁ、大人の女性って怖いな。
「そう、なら話を戻すけど、あなた達の作ったこの化粧水、単刀直入に言うと売れるわよ、間違いなくね」
母さんもユーリと同じように化粧水が売れると言う。
「あら、思ったより反応が薄いわね」
「そうなのよ、どうやら若ったら凄いのは伝わってるんだけど、自分が化粧をしないから売れるものなのかって感じなのよ」
「まあそうなの? こんなに凄いのに」
「そう、本当に凄いのに」
「「ねえー」」
母さんとユーリはお互いに顔を合わせて言う。
この二人って仲良しなんだよな。
「そんなに売れる物なの?」
俺は母さんに問う。
「ええ、売れるわよ、貴族の御夫人達なら間違いなく欲しいと言う人は多くいるわ、正直これを欲しがらない人はいないと思うわよ」
「そうなの?」
「ええ、女性は自分が美しくなれるのならいくらでもお金を払う事を厭わないわよ、それに貴族の御夫人達は公の場とかに出席する時着飾ったり化粧をして美しく見られるようにするものよ、他の者達から見た目で舐められないようにするためにね、御令嬢達も婚約者がまだ決まっていなかったら自分を美しく見せて婚約者を見つけたりするわ、だから美しさを磨く事に努力を惜しまない、この化粧水は塗れば肌が潤って美しく見せられる、女性達にとってこの商品は強力な武器の一つになるわ」
「なるほど」
女性の母さんが言うと説得力を感じるな。
「それに、この化粧水の凄いところはただ肌を潤わせて美しく見せるだけじゃないわ、乾燥肌などの肌荒れにも効くそうじゃない、なら貴族の御夫人や御令嬢だけでなく平民の女性達にも売れるわ、平民のお母さん方は家事などをして手が荒れたり乾燥肌になって悩んだりする人も多いと思うの」
「確かに、平民のお母さん達は貴族と違って使用人がいないから家事とか全部一人でやらなければならないしな」
だとしたら食器などを洗ったりする時などに水で洗うから肌が荒れたりするだろうな。
「そう、肌が荒れたりするわ、でもこの化粧水ならその肌荒れも少しはマシになるだろうし、何より液体だからただ適量を出して肌につけるだけ、化粧と違ってそんなに時間が掛からないのも良いわね、もし売るとしたら貴族用と平民用の化粧水を出した方が良いわね、まあそこは化粧品を専門に扱っている人達に任せれば良いわ、作り方はわかってるのでしょ?」
「ああ、作り方はわかってる、必要な材料と魔道具があれば家でも簡単に作れるよ」
「それなら問題ないわ、後は専門の人達に任せれば平民用と貴族用に分けた化粧水を作ってくれるわ、作り方があるならいくらでもどうにかなると思うし」
確かに母さんの言う通りだな。
いくら専門の人達でも作り方がわからないならどうにもできないが、その作り方がわかれば試行錯誤してより良い化粧水にしてくれるかもしれない。
「ふむ、女性は美しく見られたいと言うのはわからないでもないが、アイシャは元から美しいから化粧水を使わなくても良い気がするんだが」
親父がそんな事を言う。
確かに母さんは元から美しいから化粧水が必要なのかと言う気持ちはわからなくもないな。
そう思っていたらユーリが親父に言う。
「あら、旦那様ったらわかってないわね、化粧水を使えば美しい奥様がもっと美しくなるって事よ?」
「なるほど!! それは確かに良いな!! がっはっは!!」
「若もわかってなさそうだから言うけど、もしシルフィスタ王女がこれを使えばシルフィスタ王女の肌も潤って美しい肌を持つのよ?」
「なるほど、それは良いな」
確かにユーリの言う通りシルの肌が美しくなるのは良いな。
愛しの婚約者が美しくなるのは悪くない。
そうか、それならこの化粧水が絶対に売れると言うのも説得力を感じるな。
「後はこれが本当に化粧水かどうかだけど、使った感じは図鑑にあった化粧水と同じ効果だったから間違いないと思うんだけど、一応確実にするためにも調べてもらう必要があるわね」
「調べるって、どうやって調べるんだ?」
「シグフィス殿下の婚約者に頼むのよ、彼女ならこれが化粧水かどうか確かめる事ができるでしょ?」
「あ、そうか、鑑定の力か」
シグフィス殿下の婚約者は生まれた時から特別な力を授かっている。
本人は鑑定と言っていて、見ているものを強く念じればそれが何であるかがわかるのである。
さらに強く念じればそれの詳しい情報もわかるようになるが、この力の凄いところは物だけでなく人の情報も見る事ができるのである。
例えばその人の名前や性別や年齢だけでなく強く念じればその人の詳しい情報などもわかるのである。
ただし、この鑑定と言う力は使うと疲労感が出てしまい、詳しく見ればさらにその分疲労するので普段は使わないようにしているそうだ。
確かに鑑定の力ならこれが本当に化粧水かどうか確実にわかるだろう。
「どのみち、シェフィーネ王女の描いた絵から作られたんだから、陛下達の耳にも入ると思うわ、だから私達はこの後王城に行ってこの化粧水を見せに行くわ、おそらく商品化すると思うし権利とかそういう話もすると思うわ、まあその辺は陛下達が上手く決めてくれると思うし、とりあえず帰ったら報告するわ」
「ああ、わかったよ」
こうして親父と母さんは化粧水を持って陛下達のいる王城に向かうのだった。
話からして化粧品は売れる商品だと言うのは間違いなさそうだ。
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