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宰相の息子で見てしまった事

「私も人の事が言えない? 何を言っているのかわかりませんね」


 ファルスは眼鏡をクイッと上げながら言うけど俺は見てしまったんだよな。


「いや、あなたもカルロス様と同じように女性を見下してますよね?」


「随分失礼な事を言いますね、デタラメな事を言わないでいただきたい」


「そう言われましても、見ちゃいましたからね」


 そう俺は見た、ファルスが女性を見下している現場を。


「最初に見たのは一か月くらい前ですかね、一人の令嬢がファルス様にわからないところを教えてもらっていた時ですね、あなたは丁寧にその令嬢に教えていましたね」


「なら、良いではないですか、何も問題はありません」


「いや、問題はここからなんですよ、その令嬢がお礼を言ってその場から去った時に俺はその近くを通ったんですけど、その時、耳を疑う事をファルス様がぼそっと言ったんですよ」


 そう、俺はその時近くを通ったから聞こえたんだが、その時の言葉は耳を疑ったものだな。


「その時聞こえたんですよ、頭の悪い女が、って」


 俺がそう言うと周りがざわざわし始める。


「な、何をバカな事を言ってるのですか、あなたの聞き間違いでしょう?」


「俺もそうだと思ったんですけど、一度だけじゃなかったんですよ、他にも、底辺女がとか、うるさい女だとか、これくらいわかれよバカがとか、自分でできないのか無能がとか聞こえたんですよね、何ならどこで言ってたか、その時話してた令嬢も言いますよ」


 俺はできる限りファルスがそんな事を言っていた場所とその時ファルスと話していた令嬢を言う。


「で、デタラメだ!! そんな証拠どこにもない!!」


 ファルスは否定するが動揺が隠しきれてないぞ。

 確かに独り言のようにぼそっと言うならまだ良かったかもしれないが、そうじゃないんだよな。


「確かに証拠もないし、ぼそっと言うだけなら何とかなったかもしれませんが、さすがに婚約者に対してハッキリと言うのはどうかと思いますよ?」


「な、何の事ですか?」


「ファルス様、自分の婚約者にはハッキリと酷い事言ってますよ、この前なんか話し掛けただけなのにあなた、婚約者に対して舌打ちしてましたよね? 酷いと思いましたよ、婚約者の令嬢はあなたの言いつけ通りにしたと言うのに」


「な、何を言ってるんだ!?」


 俺が言うとファルスは冷や汗をかいて慌て出す。

 あの時の事を聞かれていたのかとでも言うような顔だった。

 宰相の息子なのにそんな相手に見透かされる顔をして良いのかよ。


「どう言う事なのか、詳しくお聞きしても?」


 俺に声を掛けて来たのはファルスの母上だった。

 何だか凄く怒ってそうな気がする。

 下手な事を言うわけにもいかないから正直に言おう。


「はい、実は先程舌打ちした話ですが、その後こんな事を言っていたんですよ」


「やめろー!!」


 ファルスが大声を上げて止めに入るが、正直ファルスの母上の方が怖いので、俺はお構いなく話す。


『一々私に話し掛けるな』


 俺はその時のファルスの言葉をそのまま言うとファルスの顔が青褪めていった。


「酷いなと思いましたよ、婚約者の令嬢はファルス様の言いつけ通りに行動したのに」


「どう言う事ですか?」


 ファルスの母上がさらに詳しく聞いてきたので俺は続きを話す。


「以前の事なんですけど、ファルス様と婚約者が廊下ですれ違いになった時に令嬢はファルス様に何も言わずにただ通りすぎようとしていたらファルス様がこんな事を言ったんですよ」


『おい、婚約者の私が近くにいるのに無視するのか、私を見かけたら無視するな、ちゃんと挨拶をしろ』

 

「ファルス様自身がこう言ったから言われた通りにしたと言うのに、話し掛けたら話し掛けるなって理不尽すぎませんかって思いましたよ、しかも毎回最後にこう言ってるんですよ」


『私の婚約者ならそれくらい察しろ無能が』


「って言ってました」


「で、デタラメだ!! 私はそんな事を言っていない!! その男が嘘をついているんだ!!」


「嘘ではないと思います」


 ファルスが叫んでいるとウィスト嬢が言う。


「前々からファルス様の婚約者の御令嬢がファルス様との婚約を解消したいとおっしゃっていました、彼女は会うたびに涙を流してファルス様との婚約を解消したいとおっしゃっていてファルス様と会うのが怖いと毎日毎日ファルス様と出会わないようにと神に祈っているくらいでした」


「ほう」


 ウィスト嬢の言葉を聞いたファルスの母上はそのままファルスの元に歩み寄って行く。


「は、母上?」


「お前は、何をしているんだー!!」


 ファルスの母上はファルスを思い切り殴り飛ばした。

 そう言えばこの人って男性の騎士と殴り合えるほど強い人なんだよな。


「前々からどこか女を見下している感じがすると思っていたが、まさか婚約者にそんな事をしていたとはな、私やフィニアの事もお前は見下していたと言う事だよな!!」


「ち、違います!! 母上と妹は見下していません!!」


「母上と妹は? と言う事は他の女は見下していると言う事だろうが!!」


「ぐぼはぁっ!!」


 しばらくの間ファルスはファルスの母上に殴られまくっていた。

 さっきのカルロスの母上の方がまだ優しいと思えるくらいだった。


「申し訳ない、育て方を間違えた、もうじき夫も来るのでその時に婚約について改めて話をさせてもらいたい、無論このバカとの婚約は解消してもらっても良いし、当然こちらの有責で慰謝料も払わせてもらう」


 ファルスの母上はファルスの婚約者の令嬢の母上と思われる人と今後についての話をしていた。

 その時ファルスの母上の片手にはボコボコにされて顔面が膨れ上がって気を失っているファルスがいたよ。

 おいおい、大丈夫か。


「う・・・うぅ・・・・・・」


 あ、動いてるから生きてるみたいだ、とりあえず死んでないようで良かったよ。

 それにしても他の令嬢を見下しているのに何でアリンス嬢の事は見下したりしてなかったんだろう。

 殿下と親しかったからだろうか。

 それならむやみに見下したり罵倒したりすると殿下の耳に入って自分の身が危険になるから納得がいくが、実際はどうなんだろうな。

 本人に聞いてみたいところだが。


「うぅ・・・・・・」


 うん、あんなピクピクして虫の息みたいな状態だから聞いても無理そうだし、そう言う事にしておこう。

 きっとファルスの婚約も解消されるだろうな。

 そして残ったのは殿下とアリンス嬢の二人だった。


 



読んでいただきありがとうございます。


本日二話目の投稿です。


面白かったらブクマと評価をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 身分制のある社会を舞台にしてるのに下級貴族がダラダラと上位を糾弾する言葉を吐き続けられてる意味不明展開で読むの無理になった。ここまでで限界
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