ラクガキの解読
俺とシルフィスタはエドウィンとシェフィーネ王女の様子を見に行ったところ、どうやらシェフィーネ王女のラクガキを描くという状態が起きたようだ。
そこでエドウィンが何かに気づいたので俺達は話を聞く事にするのだった。
「まず、この絵を見てどう思う?」
「ふむ、シェフィーネには悪いがどう見てもラクガキにしか見えないな」
エドウィンの問いにシルフィスタは答える。
確かにシェフィーネ王女には悪いが俺にもラクガキにしか見えないんだよな。
「そう、一見するとただのラクガキのように見えるが、私が気になったのはここなんだ」
エドウィンが指差すとその部分はラクガキの絵ではなかった。
「それは、矢印か?」
俺が言うとエドウィンは頷いて続きを話す。
「そう、この矢印がどうも気になるんだ、二人もこれについては気にならなかったのか?」
「いや、すまないがそのラクガキを見た時はただのラクガキとしか思わずによく見ていなかったんだ、と言うよりそれ矢印なのか? 小さくて言われるまで気づかなかったぞ」
確かにシルフィスタの言う通り矢印にしては小さいからよくわからなかった、正直矢印と言われればそう見えなくもないと言うくらいの小ささで正直ラクガキの方に目が行って気づかないのも仕方ないと言うくらい小さな矢印だったんだ。
ラクガキの方に集中してるのか紙の中をほぼラクガキで埋め尽くしてるから矢印が小さく見えて気づかないと言う感じだ。
「そう、これが矢印だとしたらこのラクガキの所々にこれと似た矢印がいくつもある、そうなると私にはこのラクガキがただのラクガキに見えなくなってくるんだ」
「エドウィンには何か見えているみたいだな、エドウィンの考えを聞かせてくれ」
俺が言うとエドウィンは自分の考えを言う。
「ああ、この所々にある矢印が何となくだが何かの順番を現してるんじゃないのかと思うんだ」
「順番?」
エドウィンに言われてそのラクガキをよく見てみると、確かに所々にある小さな矢印は何かの順番を現すかのように書かれていた。
「そう考えると例えばこの絵だが、私には手の形に見えて何かをしているように見えるんだ」
「確かに言われて見れば五本の指があって手に見えなくもないな、そうなると何かを持って色々している絵に見えてくるな」
シルフィスタの言う通り確かにそう言われればそういう絵に見えてくる気がする。
「そう、これが手だとして物を持って色々している、そしてこの矢印、もしかしてだがこの順番通りにすれば何かができるって事じゃないのかと私は考えてるんだが、そもそもシェフィーネ王女はどうしてこの絵を描かれたんだ?」
「描いた理由? 頭に流れて来たから」
エドウィンに問われたシェフィーネ王女は話し出す。
「そのラクガキを描く前に私の頭の中に私のじゃない記憶が突然流れてくるの、ほっといてもずっとその記憶が繰り返し流れて頭が変になっちゃいそうだった、でも紙にその記憶を全部絵にして描いたらその記憶が頭からなくなった、エド様の説明を聞いたらあの記憶って何かを作っている記憶だった気がする」
「そうなのか? シェフィーネ、何故それを今まで言わなかったんだ?」
「ラクガキを描き終わったら断片的にしか覚えてないし、それに描いてあるラクガキが何なのかって聞かれた事はあるけど、どうしてこのラクガキを描いたのかとは誰も聞かなかったから」
そうシェフィーネ王女は言う。
あー、思い出した、確かに最初シェフィーネ王女にこのラクガキは何なのかって聞いたけど、よくわからないって答えたからそこでラクガキについてそれ以上は何も言わなかったんだ。
確かに何でこのラクガキを描いたのかとは一言も聞かなかったな。
「シェフィーネ、そう言う事は聞かれなくても一応言っておくべきだぞ、とはいえ肝心な事を聞かなかった私も悪いな、すまないシェフィーネ、お前の辛さに何も気づく事ができなかった愚かな姉を赦してくれ」
そう言ってシルフィスタはシェフィーネ王女を抱きしめて頭を優しく撫でて謝罪していた。
姉として妹の辛さに気づけなかったのが赦せないんだろうな。
「うん、私気にしてないよ」
「シェフィーネ、お前本当に良い子だな」
シルフィスタはさらにシェフィーネ王女の頭を撫でている。
「ケイネス、話を戻して良いか?」
「ああ、俺が聞くから大丈夫だ」
エドウィンも姉妹王女の邪魔をするわけにはいかないと判断したのか俺に話を振る事にしたようだ。
「先程シェフィーネ王女が言った何かを作っている記憶が流れてくると言ったが、この絵の順番通りの事をすれば何かができる可能性が高くなったと思うんだ」
「確かにその可能性が高そうだな、ならそれを実際にやってみるか?」
「そうだな、私も実際にやった方が早い気がするんだ」
「じゃあ、さっそく場所を変えるか、ここだと少し狭いしな」
「それは良いが、どこに行くんだ?」
「そんなの決まってるだろ」
俺達は特別クラスを出てある場所へと向かう。
「と言うわけで、我が家に着きました」
そう、俺の実家リカード家です。
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