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エドウィンを我が家にご招待

 陛下への挨拶を済ませた俺はシルと一緒に学園へと戻りシェフィーネ王女がいる特別クラスへと向かっていた。

 特別クラスに入ると時間なのかシェフィーネ王女の勉強は終わっていて片づけをしていた。


「シェフィーネ、勉強ははかどったか?」


「シル姉様、うん、エド様教えるの上手、一人で勉強するよりはかどった」


「そうか、それは何よりだ、感謝するぞエドウィン、明日も頼んだぞ」


「あ、ああ」


 シルフィスタに感謝されたエドウィンはどこか照れくさそうにしている。


「それじゃシェフィーネ、私達は帰るから、明日もエドウィンに教えてもらうが良い」


「うん、わかった、エド様」


「ん? 何だ?」


「また明日」


「あ、ああ、また明日」


 俺達はシェフィーネ王女に挨拶をして学園の校門の前にいた。


「ところで今さらだが、私はどこで寝泊まりすれば良いんだ?」


「それなら心配するな、お前がこの国にいる間に寝泊まりする場所は決めてある」


「どこなんだ?」


「俺の家さ」


「何!?」


 俺が言うとエドウィンは驚く。

 

「何を驚いているんだ? お前を連れて来たのは俺なんだから俺の家に泊まってもらうさ」


「いやいやいきなりだな、と言うよりお前の家族は良いって言ってるのか?」


「それなら心配ないさ、カリーナ」


「はい、こうなると思いましたので旦那様と奥様に話したところ、歓迎するとの事です」


「さすが、仕事が早いな、ほら許可は出たんだから問題ないだろ?」


「本当にお前のメイドは何者なんだと言いたくなるぞ」


「話はついたようだな、それじゃ行くとするか!! リカード家へ!!」


「ちょっと待て!! シルフィスタ殿も行くのか!?」


 シルフィスタもついて行く事にエドウィンは驚く。

 友達の家に行く感覚で婚約者の家に行くんだもんな。

 驚くのも無理ないか。


「もちろんだ、頻繁に行ってるからな」


「そうか、そうなんだな」

 

 エドウィンはもうそれ以上は何も言わなかった。

 もう色々察してしまったんだな。


「さあ、行くぞ!! カリーナ、馬車を出せ!!」


「承知しました」


 シルフィスタの指示でカリーナは馬車を走らせるのだった。

 リカード家は辺境の方にあるので馬車で学園から大体一時間ぐらいの距離である。

 そして一時間して我が家に到着するのだった。

 久しぶりの我が家だ、皆元気にしてるかな。

 俺は我が家の扉を開けるのだった。


「ただいま」


「おお!! 帰って来たかケイネス!!」


 大声を上げて出迎えてくれたのは、リカード家の当主であり俺の親父、ライザス・リカードである。


「ああ、帰ったぞ親父、くたばってなくて安心したよ」


「がっはっは!! 久しぶりに会った父親に何を言うんだ我が息子よ!!」


「男爵殿は相変わらずだな」


「おお、シルフィスタ王女も来られてましたか、お久しぶりですな」


「ああ、ケイネスと帰って来たので一緒に泊まらせてもらうぞ」


「どうぞ遠慮なく泊まっていってくださいな、がっはっは」


「まあ、あなたったら、いつも以上に元気ね」


 親父の隣では俺の母さん、アイシャ・リカードがニコニコと笑っていた。


「お帰りなさい、ケイネス」


「ただいま、母さん」


「ふふ、元気そうで良かったわ」


「兄上様!!」


 俺に抱き着いて来たのは俺の妹、アニス・リカードである。

 まだ八歳だが結構しっかりしている妹だ。


「ただいま、アニス、元気そうで何よりだ」


「兄上様がいない間も頑張ってたのです」


「そうか、偉いぞ」


 俺はアニスの頭を撫でるとアニスは嬉しそうにしている。

 あ、そうだった。


「アニス、今日はお客さんを連れて来ているからご挨拶しなさい」


「あ、はいなのです」


 アニスはエドウィンの前に立って挨拶をする。

 

「初めまして、リカード家長女、アニス・リカードと申します」


「これはご丁寧に、エドウィンと申します」


 アニスが挨拶をしたのでエドウィンも挨拶する。

 ちゃんと貴族令嬢としての挨拶もできて偉いぞ。

 するとシルフィスタがアニスに声を掛ける。


「アニス、私も来たぞ」


「シル様!!」


 アニスはシルフィスタに抱き着く。

 

「シル様もお泊りするのです?」


「ああ、私も今日はここに泊まらせてもらうぞ」


「嬉しいなのです」


「よーし、晩御飯まで時間があるし、アニスの部屋で絵本でも読んでやろう」


「やったー、なのです」


「まあまあ、シルフィスタ王女、いつもすみません」


「気になさるなアイシャ夫人、私がしたくて勝手にしているだけだ」


「アニスをお願いします」


「承った」


 そう言ってシルフィスタはアニスを抱っこしてアニスの部屋へと向かうのだった。


「さてと、そこの客人」


「は、はい」


「初めまして、俺はこのリカード家の当主をしている、ライザス・リカードだ」


「妻のアイシャ・リカードです」


「あ、初めまして、エドウィンです」


「エドウィン、そうか貴殿があのエドウィンか、そうかそうか」


 先程までの雰囲気とは違い、親父はエドウィンに厳しい目を向けている。

 それを見たエドウィンは何かを感じたのか冷や汗をかいている。


「シルフィスタ王女から話は聞いている、我が息子を、このリカード家を自国の田舎の貴族だと言ったそうだな?」


 そう言って親父は威圧を放つのだった。

 

「はあ」


 その光景を見て俺は何となく溜息を吐く。


「貴殿の事は知っている、元とは言え、ガルドム王国の王位継承者だった者がこのリカード家を貴殿の国の田舎の貴族だと言ったそうだな? 挙句の果てには我が息子を捕らえようとしたそうだな?」


「あ、いや、その」


 親父の威圧にエドウィンは冷や汗をかいて言葉に詰まっている。

 エドウィンが倒れるか倒れないかのギリギリの威圧を放っているな。


「まあ、うちが田舎の貴族だと言うのは間違ってないがな、がっはっは!!」


「え?」


 突然威圧を解いて笑い出す親父を見てエドウィンは拍子抜けする。

 全く。


「親父、エドウィンをいじめるなよな、初対面の奴が親父の威圧なんてくらったらただじゃすまないんだからさ」


「何を言う、ちゃんと抑えたさ」


「抑えたとかそういう問題じゃないんだよ」


「あ、あの!!」


 俺達が話しているとエドウィンが声を上げて頭を下げる。


「あなたの言う通り、俺はあなたの息子やこの家を侮辱しました、到底赦される事ではありませんが、申し訳ありませんでした!!」


 そう言ってエドウィンは頭を下げたまま謝罪をする。


「おい、どうすんだよ親父、こいつこう見えて真面目なんだよ」


「あー、そうだったか、すまんエドウィン殿、そんなに気にする事ないぞ」


「そうだぞエドウィン、気にする必要ないぞ、そもそも親父はお前が言った侮辱など正直何とも思ってないし気にしてすらいないぞ」


「し、しかし、私がお前の家を侮辱したのは事実で」


「エドウィン君だったかしら? そんなに気にしなくて良いのよ」


 責任を感じているエドウィンに母さんが優しく話し掛ける。


「確かにあなたはリカード家を侮辱するような事を言ったわ、でも、当の本人が気にしていないって言ってるんだから、今度から気をつければ良いだけ、それに、子供の言った失言を赦せるのが余裕のある大人ってものよ」


 さすが母さん。

 これでエドウィンも少しは心が晴れただろう。


「あ、でも今回はたまたまその人が赦せる失言だったから良かったけど、中には問答無用で赦さないって言って怒る人もいるから、やっぱり発言には気をつけた方が良いかもね」


「は、はい」


 さすが母さん。

 しっかりと例外もある事を伝えてるよ。

 そりゃ誰だって言われたら問答無用で怒る発言もあるからな。

 うん、ちゃんと発言には気をつけるべきだな。


「さあ、この話はもうおしまい、晩御飯まで時間があるし、エドウィン君をいつまでもここに立たせているわけにもいかないでしょ?」


「そうだな、エドウィン殿、この国にいる間は我が家でゆっくりしていくと良いぞ、さてと行こうかアイシャ」


「ええ、ケイネス、後はお願いね」


「わかってるよ、さっさと二人きりの世界にいってらっしゃい」

 

 俺が手を振ると親父達も部屋へと戻って行くのだった。

 

「お前の家族、何か凄いな」


 うん、お前の言いたい事はわかるよ


「ああ、そうだな、だが凄いのはこれからだぞ」


 そう、凄いのは俺の家族だけではないのだ。


 

 


 

 

  

 




 



 

 


 



読んでいただきありがとうございます。


面白かったらブクマと評価をよろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しい家族w そしてまだまだ凄い?家族だけでなく凄い!?家の中が!? お父さんが失言を気にしないでくれて助かったエドウィンさん!
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