バハムス王国第三王女
第三王女からの許可をもらった俺とエドウィンはシルフィスタに言われて中に入るのだった。
中は一人部屋のようになっていてエドウィンがいた離宮の部屋よりは広いものであった。
「入ったな、こっちだ」
シルフィスタに手招きされて俺達はそのまま進んで行く。
「とりあえず自己紹介だな、シェフィーネ、来るんだ」
シルフィスタに呼ばれて机に座っていた少女がこちらに来てシルフィスタの隣に立つ。
久しぶりに会ったが、相変わらずな感じで妙な安心感を俺は感じていた。
「これが私の妹、シェフィーネだ」
「シェフィーネ・バハムス、です」
シルフィスタに紹介されたシェフィーネ王女が挨拶をする。
彼女がバハムス王国第三王女、シェフィーネ・バハムス。
シルフィスタの妹だが、シルフィスタとは全く違うと言っていいだろう。
シルフィスタと違って髪は短く眼鏡を掛けていて、あまり感情を表に出さず常にぽけーっとしたような顔をしている。
これが何となく彼女から受ける第一印象だろう。
「で、シェフィーネ、こいつがお前に勉強を教えてくれる男だ」
「あ、エドウィンです」
「・・・・・・」
エドウィンが自己紹介するとシェフィーネ王女がエドウィンをじっと見つめている。
正直全く読めない。
眼鏡越しのその瞳で何を見ているのか、無表情ではあるが、あのぽけーっとした感じが何を考えているのか余計に読めないんだよな。
「あ、あの、何か?」
エドウィンもじっと見つめているシェフィーネ王女に困惑しているよ。
するとシェフィーネ王女が口を開く。
「エド様って、呼んで良い?」
「はい?」
シェフィーネ王女が首を傾げて言うとエドウィンは何を言われたのかよくわかっていないような反応をする。
あー、そう来ましたか。
「エドウィン、シェフィーネ王女はお前の事を呼ぶ時そう呼んで良いのかって聞いてるんだよ」
「え? 私の呼び名か?」
「ああ、シェフィーネ王女は他人を名前で呼ぶ時、そんな感じに呼ぶんだよ、そうですよね?」
「うん、エドウィンって名前だから、だからエド様、ダメ?」
シェフィーネ王女が首を傾げながらエドウィンに問う。
「いや、好きに呼んでもらって良いです」
「わかった、じゃあ、エド様も敬語は使わなくて良いよ、シル姉様から聞いた、私の方が年下だし、年下の私が敬語で話してないんだから、だからエド様も敬語じゃなくて良いよ」
「そ、そうか、ならそうさせてもらう」
「エドウィン、見てわかる通り、シェフィーネは感情をあまり表に出す事がなく無表情なのが多いが、これは素だ、元からこうなんだ」
「そ、そうか」
「だから、ウィスト嬢と同じだと考えるなよ? 全く違うからな? 良いな? シェフィーネは良い子だ、わかったな?」
「わ、わかった、わかりました」
シルフィスタが凄みを利かせながら言うからエドウィンは冷や汗をかいて答えてるよ。
彼女は妹であるシェフィーネ王女をかわいがっているからな、エドウィンと婚約していた時のウィスト嬢と同じだと思われるのは嫌なんだろうな。
「よし、挨拶も済んだ事だし、私とケイネスはここで失礼させてもらうぞ」
「そうだな、後はエドウィンに任せるか」
「え? 二人は出て行くのか?」
「そりゃ私とケイネスは関係ないからな、シェフィーネに勉強を教えるのはお前の役目だからな、後は任せたぞ」
「いや、ちょっと待て」
「シェフィーネ、しっかりと教えてもらえ」
「うん、シル姉様、ケイ兄様、またね」
「ええ、また来ますよ、シェフィーネ王女」
俺はシェフィーネ王女に挨拶をしてシルフィスタと一緒に部屋から出るのだった。
扉が閉まる前にエドウィンが何か言っていたが、まあ気にする事でもないだろう。
エドウィン、後は任せたぞ。
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