学園到着
目的の場所に到着した俺達は馬車から降りるのだった。
「では、私は馬車を止めてきます」
「ああ、頼んだ」
カリーナは馬車を止められる場所に向かうためここで一旦別れて俺達は目的の場所の入口に立っていた。
「ここがバハムス王国の学園か、私が通っていたガルドムの学園より広くて大きいな」
エドウィンは学園の大きさと広さに驚いている。
「王族貴族はもちろん、多くの平民が通っているからな、広くて大きいのは当然さ」
シルフィスタが得意気に言う。
「さあ、中に入るぞ」
「ああ、行くぞエドウィン」
「あ、ああ」
学園の大きさに驚きながらもエドウィンを連れて俺達は学園に入って行くのだった。
生徒達が俺達に気づくと手を振ったりする者や礼をしたりする者もいた。
ちなみにシルフィスタが手を振り返すと女生徒達がきゃーって言って騒いでたよ。
女生徒達に人気なんだよなあ。
「これはシルフィスタ王女」
移動していると学園の教師が来てシルフィスタに挨拶をする。
「ガルドム王国にしばらくいると聞きましたが、帰っていらしたのですね」
「ええ、少し用事ができたので、婚約者の彼と一緒に帰って来ました」
「ケイネス君も一緒だったのですね、ガルドム王国の学園はいかがですか?」
「そうですね、授業の進み具合で言えばこちらの方が進んでますね、向こうに留学に行った初日で受けた授業はもう既に習ったところでしたので、復習みたいな感じでしたね」
「なるほど」
俺が答えると教師はうんうんと頷くと再びシルフィスタに顔を向けて話すのだった。
「ところで、今日はここに何をしに? あなたはもう卒業までに必要な単位と成績を取っているので好きな時に来ていただいても構いませんが」
「なに、妹に勉強を教られる者を連れて来たのですよ、彼がその人物です」
「ほお」
教師はエドウィンを見ると彼に近づく。
「彼女に勉強を教えるのは大変かもしれませんが、私から言える事は一つ、気をしっかり持ってください、そして無理だと思ったら遠慮なく無理だと言って構いませんからね、誰もあなたを責めたりしませんので、では、私はこれで失礼します」
エドウィンの肩に手を置いてアドバイスを言い終えると教師は俺達に礼をして去って行くのだった。
「おい、ケイネス」
再び移動を始めるとエドウィンが俺に小声で話し掛けてくる。
「どうした?」
「彼女、敬語が話せたんだな」
「何を言ってるんだ、お前は? 話せるに決まってるだろ」
本当に何を言ってるんだ、失礼な奴だな君は。
「いやだって、あの日や面会の時とかずっと敬語で話してなかったじゃないか」
「あの日はお前が無礼な発言をしたから自国が舐められていると思ってしただけだし、面会の時は公の場ではなく離宮で、しかも陛下と王妃と言う立場での話し合いではなかったから敬語を使わなかっただけで、公の場ではちゃんと王女らしく礼儀を持って振舞っているぞ、実際お前に会う時に陛下や王妃に挨拶をする時はちゃんと他国の王と王妃に対して礼儀を持って接してるし、ちゃんと敬語で話してるぞ」
「そうなのか? 初耳だぞ、全く想像ができないんだが」
エドウィンは頭の中で想像しているのか腕を組んで首を傾げている。
確かに素の彼女はあんな感じで話すから誤解されがちだが、ちゃんとした場所では敬語で話すし、王女としての礼儀を持った接し方もするぞ。
まあ、エドウィンはそんなシルフィスタの姿を一度も見た事ないから信じられないのも無理はないか。
「二人共、何をコソコソ話してるんだ?」
「いや、何もでないぞ、なあ、エドウィン?」
「あ、ああ、広い学園だなって話をしてただけさ」
「そうか、そろそろ着くぞ」
シルフィスタが言うと確かに特別クラスのある道に入っていた。
そしてシルフィスタが扉の前で足を止める。
どうやら目的の場所に着いたようだ。
「先に私が中に入って妹と話してくるから、二人はここで待っててくれ」
そう言ってシルフィスタは扉をノックする。
「シェフィーネ、私だ、中に入るぞ」
シルフィスタは扉を開けて中に入るとしばらくしてから扉から出て来る。
「妹から許可は出た、入って良いぞ」
シルフィスタにそう言われ、俺とエドウィンは中に入るのだった。
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