過去話 さすがに我慢の限界だ
「リック、どうした?」
シルフィスタ王女が帰ってから数十分後にリックが買い出しに行っていたんだが、そのリックが大声を上げたので俺達はすぐに向かうとそこにはケガをした人が三人いた。
「うう」
どうやらまだ息があるようだ。
それにこの人達よく見たらシルフィスタ王女を馬車で送り迎えしている御者と騎士だ。
「大丈夫ですか?」
「う、シ、シルフィスタ、王女を」
そう言って意識があった騎士の人は気を失う。
「ミスチー」
「うん!! 任せて!!」
ミスチーが手をかざすとケガをした三人は光に包まれてケガが治っていく。
ミスチーが使った回復魔法だ。
それから三人をベッドに運んで行く。
「リック、何があった?」
「おう、買い出しに行く途中でよ、壊された馬車を発見したんだ、そしたら御者の人と騎士二人が倒れてたんだよ、まだ息があったから俺が三人を担いでここまで運んだのさ」
「あの人達、何かに切られたようなケガだったよ、事故とかじゃないと思う」
リックが説明をしてミスチーが三人のケガの状態を言う。
「その場所に案内してくれ」
「おう」
「それと何人か一緒について来てくれ」
「それなら私が行きましょう」
「私も行くわよ」
「俺も行く」
ルート、ユーリ、シオンが言う。
この三人にリックとミスチーを加えて俺達は六人で壊された馬車があった場所に向かう。
「ここだぜ」
リックが案内するとそこには確かに壊された馬車があった。
「シルフィスタ王女が乗っていた馬車だ」
間違いない。
シルフィスタ王女がいつも乗っている馬車だ。
俺はすぐ馬車の中を見ると中にはシルフィスタ王女の姿はなかった。
「なあ、これってシルフィスタ王女の命を狙おうとして襲ったって事か?」
「いや、おそらくシルフィスタ王女は生きていると思われる、その証拠にもし相手がシルフィスタ王女の命を狙ったのなら馬車の中で殺せばいいだけ、だが馬車の中には血が一滴も飛び散っていない、なら連れ去られた可能性が高い」
リックの言葉にルートが冷静に答える。
多分シルフィスタ王女はまだ生きていると思われる。
俺は大きく深呼吸をする。
「こう言う時こそ落ち着いて冷静にならないといけないんだよな?」
「ええ、少なくとも頭の中は冷静によ」
俺の問いにユーリが答える。
「若、これは盗賊の仕業だと思う」
「どうしてそう思うんだ?」
「こっちに来てくれ」
シオンの方に行くと地面にたくさんの足跡があり森の中へと続いていった。
「シルフィスタ王女を本当に狙った者が手練れならこんなわかりやすい証拠など一切残さないはず」
「そうね、盗賊ならこんな乱暴に馬車を壊すのも納得だわ、おそらく不意を突かれたのでしょうね、多勢に無勢って感じね」
「この辺りで盗賊が出たなんて情報はないから護衛は少なくて良いと思ったがそれが裏目に出ちまったってわけか」
そうシオン、ユーリ、リックが言う。
盗賊と言う事は。
「どこかにアジトがあるって事か、この足跡を辿って行こう」
足跡を辿って行くと森の中の奥の方に建物を発見した。
俺達は茂みに隠れて見ると入口に何人か見張りをしている。
「こんな森の中に建物があったとは、ここが盗賊のアジトでしょうか」
ルートが確認しながら言う。
「おい見ろよ、あそこに馬がいるぜ」
リックが指差した方を見ると馬がいた。
あの馬は。
「馬車と護衛の騎士が乗っていた馬だ」
「道理で馬車の近くにいないと思ったら、盗賊達が奪っていたみたいね」
「良かったー、お馬さん達殺されていなかったんだね」
「ああ、ミスチー、人数を確認できるか?」
「任せて」
ミスチーが地面に手を当てる。
「うん、中にいる盗賊はざっと十五人ほどだね、外には見張りが五人、盗賊は全部で二十人だね、それと建物の奥の部屋に一人いるよ、多分シルフィスタ王女だと思う」
そうミスチーが言う。
彼女が地面に手を当てたのは魔法を発動していたからだ。
自分の周辺にいる者の人数を把握できる魔法らしい。
「そうか、わかった」
「人数がわかったのならまず見張りを倒せばいい、俺が行こう」
「待ってくれ」
シオンが見張りを倒そうと動こうとするが俺はそれを止める。
「俺が行く」
「ケイネス様が行かなくとも我々だけで」
「俺が行く、いいな?」
「!! かしこまりました」
ルートは一瞬驚くがすぐに了承する。
俺はそのまま茂みから堂々と見張りをしている盗賊達の前に出る。
「おい」
「あん?」
「少し前に馬車を襲っただろ? その中に女の子がいたはずだ、ここにいるよな?」
「はあ? 何言ってんだこのガキ、がはっ!!?」
俺は盗賊の一人を殴って気絶させる。
俺の質問にすぐに答えなかったからな。
「な、何だこのガキ!?」
「殺せ!!」
「ザコが、どけ」
そう言って俺は残りの四人の盗賊を殴り飛ばす。
「ぐぼっ!!」
「ぶげっ!!」
「おごっ!!」
「へぶっ!!」
「もういい、どうせ中にいるのはわかってるんだ、さっさと行くか」
そう言って俺は建物の扉を勢いよく殴って粉砕するのだった。
さすがにもう我慢の限界だ。
お前らに地獄を見せてやるよ。
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