過去話 第二王女と婚約する事になったけど先が不安でしかない
「ケイネス君の言いたい事は当然だ、とても酒を飲みながら話す内容じゃない」
「あ、大声を出して申し訳ありません、それで婚約の話になったのに何故大会の優勝者と言う形になったのですか?」
親同士が決めたのならあの王家主催の大会をする意味がないのだが。
「それなんだが、本当にケイネス君が強いのかどうか確かめるためにあの大会を開催したんだ、陛下も娘の婚約者を決めるためだからせめて強い者をと言う事になってな、それで大会を開催して優勝した者をシルフィスタ王女の婚約者にしようと言う感じになったんだ」
「でも、騎士の家系の令嬢や魔法使いの家系の令嬢も出場してましたよね? シルフィスタ王女も出場してたし」
「ああ、さすがに婚約者を選ぶためだけの目的で大会を開催するのもどうかと思ってな、そこで腕に自信のある貴族の子達も出場させて騎士団や魔法師団にも見てもらって将来スカウトする有望な者を探すと言う感じにしたんだ」
「じゃあ出場年齢が十歳の子のみなのはシルフィスタ王女の婚約者は同い年の子にするって事で決めたのですか?」
「その通りだ、君は中々察しが良いな」
「あ、ありがとうございます、ちなみに令嬢がましてやシルフィスタ王女が優勝した時はどうするつもりだったのですか?」
「その時は、まあ普通に婚約者を誰にするか陛下が一から考えたと言ったところだな」
「なるほど、でも今回は」
「そうだ、君が優勝したから君がシルフィスタ王女の婚約者となったのだ」
「あー」
まさかシルフィスタ王女の婚約者を決める目的で大会を開くとはな。
そんなんで王女の婚約者を決めて良いのかよ。
「なるほど、そう言う事だったのですね、あなた」
ここで黙っていた王妃様、フィナーシャ・バハムス王妃が口を開く。
何だろう、凄い威圧を感じるんだけど。
「フィ、フィナーシャ?」
「有望な騎士や魔法使いを見つけるために大会を開催すると聞いたのに、まさかシルフィスタの婚約者を決めるのが主な目的だったわけですね? 通りで優勝者にシルフィスタとの婚約なんて言葉が出たと思ったら」
「いや、そのだな」
「あなた!!」
「はい!!」
王妃が大声を上げると陛下はビシッと姿勢を正す。
「何を考えているのですか!! シルフィスタの婚約をこんな形で勝手に決めて!! ましてやお酒を飲んだ勢いで決めて良い話ではないでしょ!!」
「はい、そうです」
「シャスフィアもシグフィスもちゃんと決めたのに、シルフィスタだけこんな適当に決めて良いと思ってるのですか!! 仮に決めるとしても私に一言言ってくれれば良いではないですか!!」
「はい、おっしゃる通りです」
おおう、陛下が王妃様にタジタジになってるよ。
「あなた、私も聞いていないのですけど?」
「ア、アイシャ」
「やたらケイネスに大会に出場するように申してましたが、こう言う事だったんですね?」
「いや、そのだな」
「とにかく、どう言うつもりだったのか、ちゃんとハッキリしましょう?」
「は、はい」
あれ? こっちでは親父が母さんにタジタジになってるぞ。
それに母さんの言う通り、やたら親父が俺を大会に出場させたかった理由がわかったな。
まさかシルフィスタ王女と婚約させるためだったとは。
「アイシャ、ごめんなさい、まさかこんな勝手な事をしてたなんて」
「いえ、こちらこそ、夫が申し訳ありません」
母さんと王妃様がお互いに謝罪をする。
今回の事に関しては二人は何も悪くないんだけどなぁ。
「まあ、と言うわけでお前達二人が婚約する事になったんだが」
王妃様と母さんの説教が終わったのか、陛下と親父は心なしか落ち込んでる気がする。
威厳も何もないな。
「婚約って、こんなのが私の婚約者だと言うのですか」
「こんなのとは失礼な」
本当に失礼だなこの王女様は。
「でもねシルフィスタ、あの大会には多くの人がいたし、その場で婚約と言う言葉を聞いてしまったから周りはあなた達が婚約したと思っているわ」
「だからって」
「それにあなたも言ってたじゃない、自分が婚約するのなら自分より強い男が条件だって、ケイネスの強さはあなたも身を持って知ったし、彼ならあなたを大切にしてくれると思うから良いと思うんだけど」
「強いって、あんなので負けたなんて納得できません」
そう言ってシルフィスタ王女が俺を睨む。
「私はお前が婚約者だなんて認めないからな」
「じゃあ、ここで婚約破棄すれば良いじゃないですか、あなたから破棄したいって言えばこっちはそれに従うしかないんですから」
お互い全く予想していない婚約だし。
「嫌だ」
「え?」
「それだとなんか負けた気がするから嫌だ」
「何言ってんだお前」
本当に何言ってんだ。
「お前って何だ!! お前って!!」
「あー、すいません、つい声に出てしまいました」
「お前無礼な奴だな、一応王女だぞ」
「じゃあ、無礼な発言したから俺の有責で婚約破棄で良いんじゃないですか」
「それはなんか負けた気がするから嫌だ」
「じゃあ、俺にどうしろって言うんですか!?」
本当にどうしろって言うんだよ。
なんか第二王女と婚約する事になったけど先が不安でしかないよ。
「とまあこんな感じで俺とシルの出会いは最悪だったってわけですよ」
俺はシェフィーネ王女とアニスに話して一息つくために紅茶を飲む。
「シル様とは最初ラブラブじゃなかったのですね、ところで兄上様、大会の準決勝で戦ったブライト様はそんなに大きかったのです?」
おっとアニスはブライトの事が気になったようだな。
「ああ、多分今の俺と同じくらいだったかな」
「十歳でケイ兄様と同じくらい、でもブライト先輩って今はもっと大きかった気がする、婚約者を片腕で抱っこして移動しているところを見た事がある」
「何を食べたらそんなに大きくなるのです?」
「まあ、バールス家は代々男子は高身長な子が生まれるみたいだからな、受け継がれる遺伝って奴だろうな」
「なるほど、それよりもシル姉様は最初ケイ兄様と仲が悪かったんだね」
「ああ、今思い返せば恥ずかしいがな」
そう言ってシルは恥ずかしさを紛らわすために紅茶を飲む。
「それからどうなったのです?」
「ああ、そうだな」
アニスの問いに俺は続きを話すのだった。
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