過去話 どう言う事だよ
「親父、どう言う事なのか説明してくれ」
「何についてだ? お前が大会で優勝したトロフィーをどこに飾ろうか考えているんだが」
「何についてって、シルフィスタ王女との婚約についてだよ」
「ああ、それについてか」
「それについてかじゃねえよ、王家主催の大会で何で男性の優勝者がシルフィスタ王女と婚約する事になるんだよ」
あれから家に帰って一日経ったけど未だに何が起こってるんだと理解できてないぞ。
「それについてだが、実は陛下から王城に来るようにと言われてな、お前と俺とアイシャの三人が呼ばれてるんだ」
「母さんも?」
「ああ、シルフィスタ王女との婚約についての話だな」
なるほど、両家族での話し合いって事か。
こうして俺は親父と母さんと一緒に王城へと向かうのだった。
あ、アニスは使用人達に任せてるから大丈夫だ。
そして王城について陛下達のいる部屋へと案内される。
部屋には陛下達が既におられて俺達も座るのだった。
そしてシルフィスタ王女は俺を凄く睨んでいる。
自分の婚約がいきなり決まったから無理もないか。
「よく来てくれた、そこにいるのがお前の息子だな」
「はい、名はケイネスと言います」
「そうか、ケイネス、俺がこの国の王、シルバ・バハムスだ、会うのは初めてだがライザスから話は聞いている」
「お初にお目に掛かります、ケイネス・リカードと申します」
「うむ、昨日の大会は俺も見ていた、見事な戦いだったぞ」
「ありがとうございます」
陛下に褒められた。
こうして会うのは初めてだが凄い存在感を感じる。
大会を見ていたって言うし、シルフィスタ王女に勝ったのはマズかったかな。
「さて、今日呼んだのはケイネスとシルフィスタの婚約についてだが、まあ、何て言うか、その、だな」
説明しようとするが何か言い淀んでいる陛下。
一体どうしたと言うんだ?
「うーむ。何と言えば良いのか、なあ、ライザス」
「そうですな、何と言えば良いのか」
親父も同じように言い淀んでいる。
一体何だって言うんだ。
「はあ、お二人が言わないのなら私の方から説明しますが?」
ここで痺れを切らしたのか立っていた男性がため息を吐き言う。
確か彼はこの国の宰相であるレグル・フェリクス公爵だったな。
「うむ、すまんがレグル頼む」
「かしこまりました」
こうしてフェリクス公爵が話し出す。
「ケイネス君とシルフィスタ王女が婚約する事になったのは、簡単に言うとその場の勢いでやってしまったと言ったところだ」
「はい?」
俺は思わず声に出してしまった。
「ケイネス君の反応は当然だ、そう、あれは大会前日の事だった、私と陛下と男爵で集まって酒を飲んでいた時の事」
『いやー、こうして三人で集まるのもいつ以来だ?』
『もう随分久しぶり過ぎて忘れましたな、がっはっは!!』
『おいライザス、今は職務も何もしてないんだから学生時代のようにしろ』
『そうですか、なら遠慮なく、こうして久しぶりに集まって酒が飲めるのは良いものだ』
『そうだな、王になってから執務ばかりで遊ぶ暇もないからな』
『陛下、そんな事軽々しく言うものではありませんよ』
『何だリゲル、お前も昔みたいにしろ、俺達だけなんだから』
『はあ、全く二人は相変わらずだな』
『変に変わるより安心だろ?』
『まあ、そうだが』
『がっはっは、しかし俺達もこうして大人になって子供も生まれて父親になったんだよなぁ』
『ああ、しかも俺の息子はリゲルの娘と婚約する事になったしな』
『立場的にそうなる可能性は高かったからな』
『お前とは友人から親族関係になるってわけだ、これからも頼むぞ』
『善処はするが最終的にはお前の頑張り次第だぞ、シルバ』
『わかってるさ』
『婚約と言えば、シルフィスタ王女の婚約者は決まったのか?』
『うむ、そうなんだが、誰にすべきか未だに決まっていないんだ』
『なるほど、実は俺の息子も未だに決まっていなくてな』
『お前の息子もか?』
『ああ』
『確かケイネス君だったか? そう言えばシルフィスタ王女と同じ十歳だったな』
『ふむ、シルフィスタと同い年か、ライザス、お前の息子って強いのか?』
『ああ、かなり強いぞ』
『そうか、実はシルフィスタもかなり強くてな、前に騎士団長に見てもらったらお世辞なしに才能があると言っていた』
『ほお、シルバに似たと言う事か』
『ああ、だがシルフィスタ自身は才能があると言われても疑問に思っててな、賢い子だからな、新人の騎士に勝ったとしても自分が王女と言う立場だから手を抜いていると思っているそうなんだ』
『けど実際は違うんだろ?』
『ああ、騎士団長の見立てでは新人の騎士になら勝てる強さを持っているそうなんだ』
『なるほど、ケイネスも才能があると思うんだが、何せ同い年の子と手合わせした事がないからか自分が強いと言う自覚がないと言った感じだ』
『なるほど、ライザス、強いのならいっそシルフィスタとお前の息子を婚約させるか?』
『おお、なるほどそれは良いな、ケイネスの婚約者を誰にするか手間が省けそうだ』
『これでお前とも親族関係になるな』
『がっはっは!! 悪くないな』
『ちょっと待て、さっきから黙って聞いていたが、そんな適当に決めて良いと思ってるのか、本人達が知らない所で勝手に決めてるんだぞ?』
『そうだが、婚約なんてほとんど親同士で話して勝手に決まるものだろ?』
『それはそうだが』
『なら問題ないだろ?』
『いやー、無事に決まって何よりだ』
「とまあこんな感じで話が進んで行ってしまったと言う感じです」
「いや、酒飲みながらする話じゃないですよね!?」
公爵の話を聞いて俺は思わず叫んでしまうのだった。
だって酒飲みながらする話じゃないだろ。
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