決心する
「ケイネス、私は決めたぞ」
あの日以来頻繁に会いに行ってエドウィンと話をし一ヶ月くらいが経った頃、エドウィンが何かを決めたみたいなので、俺は聞く事にした。
「決めたって、何を決めたんだ?」
「陛下達と面会をしたいと思う」
俺は読んでいた本を置いてエドウィンと向き合う。
「本当に良いのか? まだ一ヶ月しか経ってないんだ、別に無理にしなくても良いんじゃないか?」
「いや、一ヶ月お前と話したからこそ、私も私自身のために前を向く必要があると思ったんだ、そのためにこのまま逃げたままでいるわけにはいかない」
「それで陛下達と面会したいと、向き合う覚悟を決めたって事か」
「ああ、そこでケイネス、頼みがあるんだ」
「頼み? 何だ?」
「陛下達と面会する時に一緒にいてくれないだろうか、その、だな、一人では上手く話せるかどうかわからないんだ」
「なるほど、良いぞ」
俺はエドウィンの頼みを聞くとエドウィンは驚いた顔をしていた。
「どうしたんだよ? そんな驚いた顔をして」
「いや、まさか引き受けてくれるとは思わなかったから」
「別に知らない仲じゃないし、それに俺が間に入った方が何かと都合が良いだろ?」
かなり深い溝ができてるからな、第三者の俺が間に入った方が話しやすくなるだろうし、もしもの時は止める事もできるしな。
「一ヶ月もここに通っていろんな話をした仲だ、お前の覚悟に付き合ってやるよ」
「すまない、感謝する」
「それじゃ、陛下達に伝えないとならないな、カリーナ」
「ここに」
俺が言うとどこからともなく一瞬で現れる。
「話は聞いていたな?」
「はい」
「なら、陛下達に伝えて来てくれるか?」
「かしこまりました」
そう言ってカリーナはその場から消えるのだった。
「ケイネス、前から気になっていたんだが、お前のメイドは何者なんだ?」
「あー、そうだな、まあ、超一流のメイドって事にしておかないか?」
「絶対違うと言う事はわかるぞ」
ですよね。
カリーナが何者なのかはまた今度話せば良いかと思い俺は何とかごまかすのだった。
「ケイネス様」
するとカリーナが扉をノックしてから入り俺を呼ぶ。
今度は普通にノックしてから入るんかい。
「伝えたか?」
「はい、すぐにでも向かうと言っていましたが、ここで無理に行けばまた拒絶される可能性があるので、あくまでエドウィン様の希望を聞いてからだと伝えたら大人しくなりました、誰といつ面会したいかはエドウィン様の希望に合わせるそうです」
「そうか」
相変わらず良い仕事をしているなと思いながら俺はエドウィンに尋ねる。
「それでエドウィン、お前の希望を聞くそうだが、まずは誰と面会する気なんだ?」
「ああ、まず最初に面会をしたい相手はもう決まっている」
それから二日後、離宮のこの部屋でエドウィンが最初に希望した相手と面会をする事になるのだった。
エドウィンの希望で俺も付き添いでこの面会に参加する事にした。
最初に面会を希望した相手は。
「お久しぶりです」
「ああ、そうだな」
エドウィンの元婚約者であり公爵家の令嬢、アンリエッタ・ウィスト嬢であった。
読んでいただきありがとうございます。
まず、二度も完結と言っておきながら続きが書けてしまい、再び投稿して完結詐欺みたいな事を二度もしてしまい、申し訳ありませんでした。
あれから続きの展開が思いついてしまい、再び連載という形で投稿します。
良ければ読んでくださると嬉しいですので、どうかよろしくお願いします。
面白かったらブクマと評価をよろしくお願いします。