親方に頼んで
「それで、このランニングマシンを作る事はできるか?」
俺は改めて親方に聞く。
「んー、何とも言えねえな、なんせ初めて作るもんだからよぉ」
俺の問いに親方は答える。
さすがに鍛冶師でも初めて作る物は難しいか。
「だが、作り方の絵もあるんだ、どうにかして作ってやるよ」
「やってくれるのか?」
「ああ、俺は鍛冶師だ、ずっとこの道だけで生きて来たんだ、作れねえもんなんてあってたまるか、むしろ今まで作った事ねえもんを作るんだから燃えて来たぜ」
どうやら親方のやる気に火が付いたみたいだな。
これは期待できるな。
「坊ちゃん、時間をくれ、必ず形にするからこの絵も借りるぞ」
「ああ、頼むよ」
「頼んだよ、あんた」
「おう、そんじゃ早速取り掛かるぜ」
そう言って親方は自分の工房へと戻っていく。
「それじゃあ若、あたし達も戻ろうかい?」
「ああ」
ランニングマシンを親方に任せて俺達は家に帰る事にした。
「さて、後は親方を信じて待つしかないが、こっちでも何かできないか探してみるか」
家に帰って俺達は再び集まり他にできる事がないか失われたもの図鑑を開いて見る
「お、こんなのもあるんだ」
俺はあるページに目を止める。
「野菜ケーキ、ですか」
ルートがそのページに載っているお菓子を見て言う。
「野菜ケーキ? 野菜を使ったケーキか? 野菜でお菓子が作れるのかよ?」
リックの疑問は当然だな。
まさか野菜で作れるお菓子があるなんて思わなかったしな。
「野菜ケーキ、ケーキの生地に野菜を練りこんで作るお菓子、野菜を使っているから普通のお菓子よりも太りにくく健康に気を遣っている人、ダイエット中の人、野菜嫌いの子供に最適って書いてあるよ」
ミスチーが野菜ケーキの説明文を読む。
「おお、まさに今ぴったりじゃねえかよ」
リックの言う通り確かに今ぴったりのお菓子だ。
一応シェフィーネ王女の描いた絵にも野菜ケーキがないか探したら野菜ケーキの絵を見つけた。
「これはニンジンを使っているケーキみたいだな」
「では、早速この野菜ケーキを作りましょう」
「絵を見ると基本はケーキの作り方と同じみたいだな、違いがあるとすれば野菜を入れるってだけか」
「生地と混ぜるみたいだし、魔道具で野菜を細かくしてから混ぜれば問題ないね」
ジョルジュ、シオン、ラキムは野菜ケーキ作りに入る。
大体ケーキと同じ作り方だからかすぐに出来上がるのだった。
「これがニンジンを使ってできた野菜ケーキです」
「見た感じ普通のケーキと同じだな、違いがあるとすれば生地の色がニンジンの色くらいか」
「ええ、ですがフルーツの代わりに野菜を使っています、さすがにショートケーキのようにニンジンをそのまま乗せるのは控えました、当然生地と生地の間に挟むのもです」
「なるほど、よし、皆食べるぞ」
俺が言うと全員がニンジンのケーキを口にする。
「・・・・・・これ本当にニンジンを入れたんだよな?」
「ええ、確かに入れました」
俺の問いにジョルジュが答える。
「しかし、食べてみると普通のケーキと同じですね」
「むしろこれにニンジンが入ってるなんて全然わからないぞ」
「そうね、言われなければ普通のケーキって思うわ」
ルート、リック、ユーリが感想を言う。
確かに言われなければ全然わからないな。
「エドウィンはどうだ?」
「ああ、普通のケーキと同じだ、実際に作っているところを見たのにニンジンが入っているなんてまだ信じられないくらいだ」
エドウィンも皆と同じようにニンジンが入っているとは思えない味のようだな。
そうだ。
「アニスにも食べさせてみるか」
「それは良いかもしれませんね、説明文にも子供の野菜嫌いにも最適と書いてありましたし」
俺が言うとルートも同意する。
早速アニスを厨房へと呼ぶのだった。
「兄上様、どうしたのです?」
「ああ、ちょっとこのケーキを食べてもらって良いか?」
そう言って俺はアニスにニンジンの野菜ケーキを出す。
「このケーキを食べるんですの?」
「ああ、食べてみてくれ」
「いただきます」
アニスはニンジンの野菜ケーキを一口食べる。
「美味しいのです」
アニスはニンジンの野菜ケーキを美味しそうに食べている。
「そうか、アニス、実はそのケーキなんだけどニンジンが入っているんだ」
「え?」
俺が言った事が信じられないとでも言いたそうな顔でアニスは再びニンジンの野菜ケーキを食べる。
「兄上様、本当にニンジンが入ってるのですか? 普通のケーキと同じくらい美味しいのです」
「ああ、ニンジンを生地に混ぜて作ったんだ、そうだろジョルジュ?」
「はい、ニンジンを細かくして生地に混ぜて作りました」
「全然ニンジンの味がしないのです、でも言われてみれば確かにニンジンの色なのです」
そう、生地に混ぜたから生地の色がニンジンの色になってるんだよな。
けど子供のアニスが味は美味しいって言ってくれたから子供に出すお菓子としては合格だろう。
「兄上様、野菜を使ったケーキと言う事は他のお菓子も同じように作れるのですか?」
そうアニスは俺に聞くのだった。
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