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クレープ完成

 三十分経った事で冷蔵庫に入れていた生地を出す。


「これを再び混ぜていくんだな」


 シルは生地を再び混ぜていく。


「で、混ぜ終えたこれをフライパンで生地を焼いていくんだな、フルーツも切っておいた方が良いな」


「フルーツは私が切ります」


「ああ、頼む」


 フルーツを切るのをレティに任せてシルはフライパンで生地を焼いていく。


「さてと、絵を見るとどうやら生地を物凄く薄く焼いていくみたいだな」


「物凄く薄くってどれくらいだろうな」


「とにかくこの絵の通りにしてみるか」


 シルは熱したフライパンに混ぜた生地を入れて焼き上がるが本当に物凄く薄い生地に焼き上がった。

 いやマジで薄いな。


「む、これは思ったより薄いな」


「取り出す時に気をつけないといけないわね」


 ユーリの言う通りだな。

 薄いから力の加減で生地が破けちゃいそうだからな。

 シルは慎重にフライパンから生地を取り出す。


「ふう、どうにか破けずに出せたな」


「しかし、本当に薄い生地だな、ここからどう作っていくんだ?」


「ふむ、どうやらこの生地の上にクリームやフルーツを乗せていくみたいだな」


「シルフィスタ王女、フルーツは切り終えています」


 そうレティが言うと綺麗に切られているフルーツが並んでいた。


「ああ、ありがとう、じゃあ、まずはクリームをつけていくか」


 シルは薄い生地にクリームをつけていく。

 

「全体につけないんだな」


 シルがクリームをつけたのは生地全体のほんの一部分だけである。


「ああ、絵の通りだとこんな感じなんだ、それでこのクリームの上にフルーツを乗せていくんだ」


 そう言ってシルはフルーツを乗せていく。

 絵に描いてあるのはバナナの絵だと思われるからバナナを乗せている。

 そしてシルはその上にチョコレートソースをかけていく。

 クリームにバナナにチョコレートソース、組み合わせとしては美味しそうだな。


「でだ、ここでこの生地を巻いていくみたいだ」


「巻くのか?」


「ああ、こんな感じにな」

 

 そう言ってシルは生地を巻いていく。


「でだ、巻いたクレープの上の方にさらに乗せて完成だ」


 シルは巻いた生地の上にさらにクリームとバナナとチョコレートソースを乗せていく。 

 中も十分あるのに何と贅沢な。


「おお、まさに私が夢に見たクレープそのものだな」


 出来上がったクレープを見て喜ぶシル。

 確かに失われたもの図鑑に載っていたクレープと同じだな。


「これがクレープですか」


「う~ん、見た目も美しくて美味しそうだわ~」

 

「さて、このクレープだが、レティ、食べてみてくれないか?」


「私ですか?」


「ああ、甘い物だからな、何より食べたそうな顔をしてたぞ、ほら」


「ありがとうございます、では」

 

 シルからクレープを受け取ったレティは一口食べるとそこでレティの動きは止まった。

 どうしたんだ?


「おい、レティ」


 俺が声を掛けるとレティの身体は震えていた。

 そして。


「お、美味しいー」


 レティは幸せそうな顔で言う。


「薄い生地の中に贅沢にたくさんのクリームがありチョコレートソースの味も一緒になってさらにフルーツのバナナがクリームとチョコと一緒になってより美味しくなっている、中だけでも十分なのにさらに上の部分にまで乗せるなんて、こんなの美味しい以外の答えが出て来ません」


 そう言って美味しそうに食べるレティ。

 確かに美味しそうだな。


「そうか、じゃあ私達も食べるか」


 シルは全員分のクレープを作って俺達はクレープを食べる。


「これは、確かに美味しい以外の答えが出ないな」


「はい、クリームもチョコレートソースもそしてフルーツのバナナもそれぞれの美味しさを引き出しています」


「しかも包んでいるこの薄い生地がまるで花束みたいでかわいらしいわ」


 確かにユーリの言う通り花束みたいな感じに見えなくもないな。


「ふむ、このフルーツはバナナ以外でも合うんじゃないか?」


 シルが言うので試しに他のフルーツで試してみると答えは言わずともどれも美味しかった。


「色々な組み合わせがあるから店に出したら人気が出そうだな」


「ええ、出ると思うわ、間違いなくね」


「手で持って食べられる手軽さもありますからね、人気は出ると思います」

 

 俺が言うとユーリとルートも同意見のようだ。


「パンケーキと同じようにこのクレープも女性には人気のお菓子になると思います」


 レティも同意見のようだ。

 

「ふむ、売るとするならこのクレープを紙に包んで渡す感じにした方がより食べやすくなるかもな」


 確かにシルの言う通り紙に包めばもしクリームとかがはみ出たとしても紙で守られるから手がベタベタしたり汚れずに済むかもしれない。

 こうしてクレープが出るようになって予想通りなのかクレープは瞬く間に人気のお菓子の仲間入りを果たすのだった。


「私が夢で見たお菓子は人気のようだな」


「そうだね」


 自分の見た夢のお菓子が出来上がり人気が出ているようでシルもどこか嬉しそうで何よりだ。

 だがこの時の俺達はまだ気づいていなかった。

 まさかあんな緊急事態が起きるなんて。

 俺達は全く予想していなかったんだ。

 

読んでいただきありがとうございます。


面白かったらブクマと評価をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
緊急事態…肥満問題が?全く別の事で?気になります!
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