揚げてお菓子が出来上がり
「さて、そろそろ一時間経った頃ね」
ラキムは冷蔵庫からボウルに入れた生地を出す。
「この生地を伸ばしていけば良いのね、パンの作り方と同じだね」
ボウルから生地を出してラキムは棒で生地を伸ばしていく。
「さて、次なんだけど、これは生地を丸い形にするって事かしらね」
「丸い形にするならクッキーの時に型抜きがありますけど、完成した絵を見ると手に持っているのはそれなりに大きいですから、大きめの型抜きを使えば良いと思いますけど」
そう言うレティだがどこか疑問に思っているようだ。
「この絵を見るとただの丸い形じゃないな」
ネロナの言う通りただの丸い形じゃない。
なんせ丸い形なのにその真ん中にさらに丸い穴が開いている絵が描かれているからだ。
「真ん中に丸い穴を開けるって事だよな?」
「おそらくね、丸い形にしてその真ん中にさらに穴を開けるなんて、面白いわね」
「真ん中にもう一つ穴を開けるなら一口サイズにするクッキーの型抜きを使えばよろしいかと」
「それは良い考えだね、伸ばした生地が大きいから若達も型抜きを手伝っておくれ」
それくらいなら俺にもできそうだったので丸い形の大きい型抜きで生地の型を抜いてから一口サイズのクッキーを作る時に使う小さな丸い形の型抜きを使ってさらに真ん中に小さな穴を開けていくと輪っかのような形の生地が出来上がった。
「イカリングみたいに輪っかの形になったな、後はこれを油で揚げれば良いって事か?」
「そう言う事だね、それじゃ早速準備をしないとね」
ラキムは黒い鍋に油を大量に入れて熱する。
そして輪っかの形の生地を黒い鍋に入れると生地は揚げ物料理の時と同じように音を立てる。
「おお、大きな音だな」
「けど、良い音ですね、何だか美味しいものができるって感じがして」
「そうだね、さてそろそろかね」
そう言ってラキムは生地をひっくり返して反対側も揚げていく。
「こっちもそろそろ良い頃だね」
ラキムが生地を取ると生地はふっくらとした感じに出来上がった。
そして残った生地も同じように油で揚げていく。
「はいよ、残りの生地も揚げたし後は余った生地だけど、これはこのまま揚げても良いわね」
余った生地はそのまま油で揚げてそれらもふっくらした状態で出来上がる。
「さて、後はこれに砂糖をつけて、はい、出来上がり」
ラキムは油で揚げた生地全体に砂糖をつけてお菓子が完成する。
「これが油で揚げたお菓子か」
「見た目は輪っかの形をしていて面白いな」
「砂糖を全体的につけてるから美味しそうにも見えますね」
ネロナ、レティの言う通り見た目は面白くて美味しそうに見えるな。
油で揚げたばかりだから触るとまだ熱くて火傷しそうだし、しばらく待って冷ましてから食べた方が良いな。
「うん、ちょうど触れる熱さになったな」
手に持って俺は一口食べる。
「「美味しいー」」
ネロナとレティが幸せそうな顔で言う。
確かに美味しいな。
「油で揚げるからどうなるかと思ったけど、結構いけるわね、油でお菓子も作れるなんて驚いたわね」
ラキムの言う通り油で揚げるお菓子なんて本当に美味しいのかと食べるまで半信半疑だったがこんなに美味しくできるとは驚きだ。
余った生地で作ったのも同じように美味しかった。
油で揚げたこのお菓子が何なのか早速失われたもの図鑑を開く。
「あった、ドーナツと言うらしいな」
輪っかと言う特徴的な形をしているのでそれはすぐに見つけられたのだった。
読んでいただきありがとうございます。
本日二話目の投稿です。
面白かったらブクマと評価をよろしくお願いします。




