油で揚げまくる
「ありました、これですね」
シェフィーネ王女の描いた絵から探しているとジョルジュが黒い鍋と油を使った絵を見つける。
「若、こっちも見つけたぞ」
「私も見つけました」
リック、カリーナも続けて見つける。
「親父の予想通り、エビフライ以外にも油で揚げる料理があるみたいだな」
「私が見つけたのは魚を油で揚げる料理ですね」
「俺のは、貝か？」
「私のは、イカだと思いますね」
ジョルジュ、リック、カリーナは自分の見つけた絵を見て言う。
「どれも海の生き物だな」
油で揚げる料理は海の生き物と相性が良いのだろうか。
「ふむ、魚なら冷凍庫の中にあるが、貝とイカは買いに行かなければないな」
「じゃあ、俺が今から買いに行って来るぜ、貝とイカで良いんだろ？」
「頼めるか？」
「おう、ほんじゃちょっくら行って来るわ」
そう言ってリックは貝とイカを買いに行く。
「待たせたな」
しばらくしてリックが帰って来てたくさんの貝とイカを置く。
「これで足りるか？」
「十分だ、カリーナ、下準備を手伝ってくれ」
「はい」
それからジョルジュとカリーナは下準備を始める。
俺とリックは何もできないからただ見てる事しかできないがな。
下準備が終わったのか次の工程に取り掛かる。
「確か、粉のようにパンを細かくするんだったな」
ジョルジュは魔道具を使ってパンを粉のように細かくしてから卵をかき混ぜて小麦粉を用意する。
「そして重要なのがこれだな」
ジョルジュは黒い鍋に大量の油を入れる。
「まずは、魚から揚げてみるか」
下準備した魚は真ん中から両側に広がるように開かれた状態になっている。
「まるで扇子みたいな形だな」
「普段は頭と尻尾を切ってそのまま焼いて味付けをしていますからね、こんな切り方をしたのは初めてですよ」
そう言ってジョルジュは開いた魚をエビフライの時と同じように小麦粉につけてからかき混ぜた卵に入れてそして粉のように細かくしたパンで包むとエビフライの時と同じようにパンの衣を包んだ魚の姿があった。
「おお、本当にパンがくっついてるな」
「こんな感じになるんですね」
リックとカリーナは驚いている。
そのままジョルジュは大量に入った油の中に魚を入れるとエビフライの時と同じように大きな音を立てる。
「うおっ、びっくりした」
「シオンからは大きな音を立てると聞いていたが」
「こんなに大きな音が出るのですね」
うん、俺も最初はこんなに大きな音が出るのかって思ったな。
「けど、この音結構悪くねえな、なんか旨そうな料理ができそうって感じの音って感じがしてさ」
「あ、それは何となくわかります、こうして聞いてると心地良い音って感じがします」
確かにリックとカリーナの言う通り、油で揚げる音ってなんか良い音って感じがするんだよな。
そして油で揚げた魚が出来上がるのだった。
「おお、エビフライと同じ色だな」
「ええ、続いて貝で作りましょう」
「貝って、焼いてそのまま塩で味付けして食うだけだよな、中身は弾力があって悪くないとは思うけど、そんなに食べたくないって感じだな」
「私も一つ食べたらそれで充分かなと思いますね」
リック、カリーナの言う通り、俺も貝はそんなに食べないしな。
ジョルジュは貝も同じように油で揚げていく。
「最後はイカだな」
「イカも貝と同じで焼いてそのまま食べるだけですよね、弾力があって噛み応えがありましたけど、頻繁に食べたいとは思えませんね」
苦笑しながらカリーナが言う。
確かに焼いたイカも噛み応えはあったけどそんなに食べたいとは思えないな。
それから切ったイカを油で揚げていく。
「なんか面白い形になったな」
「絵の通りに作ったらこうなりました」
イカを油で揚げたらリングのような丸い輪っかの形になっていた。
「これが魚と貝とイカを油で揚げて出来上がった料理ですね」
「おお、エビフライみたいにこっちも旨そうだな、これも失われたもの図鑑に載っている料理なのか？」
「じゃあ、見てみるか」
失われたもの図鑑を開いて見るとそれらの料理が載っていた。
「あった、魚を油で揚げた料理はアジフライ、貝はカキフライ、イカはイカリングと言う料理らしいな、説明文にはどれもエビフライと似たような事が書かれてるな、じゃあ早速食べてみようか」
「あの、ケイネス様、よろしいでしょうか？」
「ん？ どうした？」
食べようとしたらカリーナが止める。
「揚げ物料理の絵を探していたら気になる絵が見つかったんです」
そう言ってカリーナはその絵を見せるのだった。
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