エビフライ
「エビフライ、エビを粉のように細かくしたパンで包んで油で揚げた料理、パンの衣がサクッとして中のエビは弾力があって良い歯ごたえでありソースをかけて食べるとより良い、子供に人気の料理」
失われたもの図鑑にはそう書かれていた。
「子供に人気の料理か」
「うん、そうかも、サクサクしたパンの衣に歯ごたえのあるエビ、そこにソースが加わって濃い味がついて美味しくなってる、見た目も良いし子供は結構好きかもしれないね」
ミスチーがエビフライを食べて言う。
「しかし驚きましたね、エビに粉のように細かくしたパンを衣のように包んで油で揚げるだけでこんなに美味しいエビの料理ができるなんて」
フレイアが言う。
確かにエビを細かくしたパンを衣のように包むなんて発想思いつきもしないよなぁ。
「油で揚げるか、油なんてほんの少しの量で肉などをよく焼けるように使ってただけだから、まさかこんなにたくさん使って料理する方法があったなんてな、料理はまだまだ奥が深いな」
シオンの言う通り、料理をしない俺でも料理は奥が深いって思えるよ。
まさか油をたくさん使うなんて方法があるんだからな。
「まあ、ずっと眠っていたこいつにもやっと出番が来たから、こいつも喜んでるかもしれないな」
シオンが黒い鍋を見て言う。
確かに親父が物珍しさで買ったとは言え、使い方が全くわからずに今までずっと使われずにそのままにされていたしな。
それがここに来てようやく使われた事で自分の役割を果たす事ができたんだな。
「これからはその黒い鍋も使われる事が多くなるかもな」
「ああ、エビフライは旨いからな、子供達のために作る人達が多くなるかもな」
その日の晩、エビフライを出したら皆もエビフライを気に入ってくれたみたいで良かった。
それと後日カホさんに聞いたら油で揚げる調理法は東国には確かに存在しているがエビフライは見た事がないとの事だったので和食ではないためレシピを公開する事ができた。
それからあの黒い鍋についてだが、どうやらあの鍋はあれ一個だけではなかったそうで今までたくさんの店で売れ残っていたそうなんだがエビフライのレシピが公開された事により作るために必要な道具だと言う事がわかったため一気にたくさん売れたそうで黒い鍋があった店の店主達は驚いていたが同時に処分に困っていたため在庫処理ができて良かったと喜んでいたそうだ。
そして魚売り場でもエビフライのおかげで魚と同じくらいにエビもたくさん売れたそうで魚売り場の人達も大変喜んでいたそうだ。
そして最後にだが。
エビフライには千切りにしたキャベツを一緒に皿に盛ると見栄えが良さそうだった。
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