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エビを使った料理

「確かにエビっぽい絵だな、まずはエビの下処理をしないとな」


 そう言ってシオンはエビの下処理をする。

 エビの皮をむき手足を取り包丁で背中の部分に切れ目を入れて取り出す。

 確か背わただったかな、エビの下処理にはこの背わたを取らないといけないらしい。

 

「それから片栗粉と塩で軽く揉む」


 シオンは切ったエビを片栗粉と塩で軽く揉む。


「何で揉むの?」


 見ていたミスチーが問う。


「こうして水で洗い流す事でエビの臭みや汚れを取るんだよ」


「へえー、凄いね」

 

「別に大した事じゃないさ、料理作ってるなら教わる事だし」


「十分凄いよ、ねえ、フレイアちゃん」


「ええ、料理は繊細な腕と技術が必要だと言われてますからね、カリーナと話をしている時もあなたの料理の事を自慢していましたよ」


「そう」


 シオンは不愛想な感じに答えるがあれはきっと照れ隠しだな。

 カリーナに褒められて嬉しいんだな。


「何だよ、若」


「ん? 別に何でもないぞ、続きをしたらどうだ?」


「そうだな」


 シオンは料理の続きをする。

 エビを切っていき塩、胡椒をして下味をつけて置く。


「ここからだけど、卵と小麦粉はわかるが、これはどう言う事だ?」


 シオンがシェフィーネ王女の描いた絵を見てよくわからない部分があるようだ。


「何かわからない部分があるのか?」


「ああ、この部分だ」


 そう言ってシオンはその部分の絵を見せる。


「これって、パンだよな?」


「そう、そしてその隣の絵なんだけど、これってパンを細かくしている絵にしか見えないんだよ」


 確かにシオンの言う通りパンを細かくしている絵に見えるな。

 それも砂糖や塩みたいにかなり細かくしている絵に見える。


「ちぎって細かくするって感じじゃないよな、この絵だと」


「結構細かくすると思う、砂糖や塩みたいな感じに細かく」

 

 やっぱりそうか。

 砂糖や塩みたいに細かくしてる感じの絵だもんな。


「砂糖や塩みたいな感じに細かくするならあの魔道具の出番ですね」


「はーい、これー」


 フレイアが言うとミスチーがその魔道具を用意する。

 この魔道具はフルーツを入れて中でフルーツを細かくしてジュースにする魔道具だが色々な料理を生み出した事でフルーツ以外にも使い道がある事が証明された魔道具だ。


「パンを細かくするなんて一体何ができるんだろうな」


 そう言ってシオンはパンを魔道具に入れて作動させるとパンは粉のように細かくなって出て来た。


「見事に粉のように細かくなったな」


 こんなものでエビとどう関係して料理ができるんだろうか。


「卵をかき混ぜて、これはエビに小麦粉をつけてるって感じだな」


 エビに小麦粉ってまた新しい調理方だな。


「それでエビに小麦粉をつけてこれをかき混ぜた卵につけるのか」


 シオンはエビをかき混ぜた卵につける。


「それでこのエビにさっき細かくしたパンをエビ全体につけるって感じだな、エビにパンって合うのか?」


 そんな事を言いながらも細かくしたパンにつけると面白い事にエビ全体に細かくしたパンがくっつくのだった。


「パンがくっついておもしろーい」


「どうしてこうなるのかはわかりませんが興味深いですね」


 ミスチーとフレイアがエビにくっついたパンを見て言う。

 確かに面白いな。


「・・・・・・」


「どうした?」


 シオンが絵を見て何か考え事をしている。


「なあ、この絵どう思う?」

 

 そう言ってシオンは俺達に絵を見せる。


「黒い鍋に油か?」


「多分そうだと思う」


「あれ? なんか油をたくさん入れているって感じの絵に見えるよ?」


 ミスチーが言うように確かに黒い鍋にたくさんの油を入れている絵に見えるな。


「まさかとは思いますが、鍋に油をたくさん入れてその中に入れるって感じではないでしょうか、スープで素材を煮込むみたいな感じに」


「え? 油で煮込むの?」


「そうなりますね」


 俺の問いにフレイアは答えるがフレイアも自分で言っておいて自分でも何を言っているのかわかっていないと言う感じだった。


「油で煮込む・・・・・・あ」


 シオンが何かを思い出したのか調理器具を探していると奥の方から何かを取り出す。

 シオンが取り出したのは絵に描いてあった黒い鍋のような物だった。


「あ、絵に描いてあった黒い鍋だ」


「こんなのうちにあったのか、ていうかこの鍋は何だ?」


「ああ、料理長から聞いたんだけど何でも昔旦那様が市場に行った時に見つけた物らしくて、黒い鍋なんて珍しいから買ったみたいなんだ」


「親父」


 親父、アンタ料理しないのに珍しいからって買ったのかよ。


「当時付き添っていた料理長が店の人に聞いた話だと普通の鍋より硬い鉄製でできていて油を大量に入れて煮込む事ができるとかって言ってたらしくてさ、油で煮込むなんてどう言う意味なのかわからなかったからとりあえず洗ったりして手入れはしていたけど一度も使ってないってわけさ」


「普通の鍋より硬い鉄製の鍋か」


 確かに軽く叩いてみると普通の鍋よりは硬そうな音が出てるな。


「ケイネス様、図鑑にこの黒い鍋がありました」


「え? あるの?」


「もしかしたらと思って図鑑を見ていたらここに」

 

 フレイアが見せたページには確かに黒い鍋があった。


「黒い鍋、普通の鍋より硬い鉄製の鍋、揚げ物を作るのに最適、揚げ物とはこの鍋にたくさんの油を入れて揚げ物の素材を入れるとそれが浮いて来てしばらくすると揚げ物料理が完成する、この世界では焼くと煮込むと言う調理法が存在するが油で揚げると言う調理法は存在しないみたいだ、噂で聞いた話だが東の海を越えた国には油で揚げる調理方があるとかないとか」


 図解説明にはそう書かれていた。


「油で揚げるってどう言う事?」


「煮込むとはまた違うのでしょうか?」


 ミスチーとフレイアが言う。

 確かに油でも入れるなら煮込むと同じ気がするんだが。


「東の海を越えた国って東国の事だよな? だとしたら東国には油で揚げると言う調理法があるって事か?」

 

 確かにシオンの言う通り東の海を越えた国は東国の事だろう。

 カホさんなら知ってるかもしれないな、油で揚げると言う調理法。


「とにかくその黒い鍋を使うって事だな」


 とは言ったものの、油で揚げるってどんな感じになるんだ?

 そんな事を思いながらも調理は進んでいくのだった。


読んでいただきありがとうございます。


面白かったらブクマと評価をよろしくお願いします。

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