新鮮な
「若ちゃーん!! 新鮮なエビが手に入ったよー!!」
そうミスチーが言うと手に持っているカゴの中には確かに新鮮なエビがたくさん入っていた。
「たくさんあるな」
「うん、カイエンちゃんが今日の漁でたくさん取れたから若ちゃんにって」
「なるほど」
ミスチーが言っているカイエンとはミスチーの旦那さんで漁師をしている。
ミスチーは顔つきが幼く見えて身長もそんなに高くないから勘違いされがちだが彼女はこう見えても年齢は三十代で結婚もしているんだ。
見た目は全然三十代には見えないけどな。
「ん? 若ちゃん、今私の事で何か変な事考えてなかった?」
「いや別に、それよりもたくさんあるな、今晩はエビを使った料理になるな」
「うん、エビいっぱーい、でもエビを使った料理ってそのまま焼いて食べるかスープの具材くらいしか思いつかないね」
「まあ、それ以外知らないからな」
「だからそんな時にこそシェフィーネ王女の描いた絵の出番だね」
「唐突にシェフィーネ王女の描いた絵の話に入ったな」
何なんだこの流れは。
もうこんな感じでやっていくって感じな流れだな。
俺達はシェフィーネ王女の描いた絵をまとめたファイルを取りに行くと道中でフレイアと出会う。
「あ、フレイアちゃーん」
「ケイネス様にミスチー、どうしましたか?」
「見て見てー、たくさん新鮮なエビが取れたよ」
「確かに新鮮な良いエビですね」
「だからシェフィーネ王女の描いた絵を見てこのエビを使った料理を作るんだよ」
「唐突にシェフィーネ王女の描いた絵が出て来ましたね、ですが今までのエビの調理はそのまま焼いて食べるかスープの具材に使うかしかなかったので新しいエビを使った料理が増えるのは良いですね、ケイネス様、私もご一緒してよろしいでしょうか?」
「別に良いけど、気になるのか?」
「それもありますが、単純にやる事がなくて暇でしたので」
「あー、なるほどね、じゃあ一緒に行くか」
俺達はそのまま厨房へと向かうと厨房にはシオンがいた。
「若、それにフレイアにミスチー、なんか珍しい組み合わせだな、ん? ミスチー何を持ってるんだ?」
「シオンちゃん、大量のエビが手に入ったんだよ」
シオンに聞かれたミスチーはカゴに入っている大量のエビを見せる。
「随分新鮮なエビだな、今日の夕食はエビを使った料理か」
「うん、それでシェフィーネ王女の描いた絵でエビの料理を調べるんだよ」
「唐突にシェフィーネ王女の描いた絵の話に入ったな、それで若とフレイアも一緒にいるってわけか」
「それもありますが、何もする事がなく暇だったと言うのもありますね」
「ん? フレイアって暇な時ってあったんだ」
「私だって暇な時ぐらいありますよ」
「いやだって、財産管理とか書類仕事とかアニス様の授業とか仕事ばかりしてるところしか見た事ないからてっきりずっと仕事してるのかと思ってさ」
「あなたは私を何だと思っているのですか、私だって暇な時間くらいないと過労で倒れますよ」
困った顔をしながら眼鏡を上げて言うフレイア。
まあ、見た目が仕事できる女性って感じに見えるからそう思われても仕方ないのかもしれないがさすがにフレイアにだって休憩時間や暇な時間だってあるさ。
むしろなければマズいだろ。
だってそうじゃなければリカード家は使用人を酷使してるのかって思われるし。
うちはちゃんと使用人達が自由にできる時間帯を用意している健全な所だよ。
「まあ、そんなわけでシェフィーネ王女の描いた絵を見て何かこのエビを使った料理がないか調べたいんだ、もしあったらシオン作ってくれないか?」
「別に良いけど、料理が増えるのは良い事だし」
こうしてシェフィーネ王女の描いた絵からエビの料理がないかと探し出す。
「若ちゃんあったよ、これ、エビさんの絵だよ」
ミスチーが見つけた絵を見ると確かにエビっぽい絵が描かれていた。
「シオン頼む」
「ああ、任せろ」
そして新鮮なエビを使った料理が作られるのだった。
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