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東国の料理について

「ふむ、こんなものかのう、他にもまだまだ東国の料理はあるが、今ある品だと作れる料理はこれくらいじゃのう」


「一気に東国の料理が増えたがどれも旨かったな」


「それは良かったのじゃ、これらの料理は全て朝食でよく食べられるのじゃ」


「これが全て東国の朝食なのか、どれも旨くて良いな」


 シルの言う通り、本当に旨かった。


「まあ、後は作れるものと言ったらこれくらじゃのう」


 そう言ってカホさんは何かを手に取る。


「小さい袋に紅茶の茶葉のような物が入ってるな」


 シルの言うように確かに紅茶に使われる茶葉に似ているな


「そうじゃ、これはお茶じゃよ、紅茶と同じようにするとできる東国のお茶じゃ」


 東国のお茶か。

 それはぜひ飲んでみたいな。

 紅茶と同じ作り方なので紅茶のポットに茶葉を入れてしばらく蒸してからカップに注ぐと緑色をしたお茶だった。

 俺達はそれを口にする。


「あ、なんか凄く落ち着く味かも」


「ああ、味噌汁とはまた違った落ち着きを感じさせてくれるな」


 俺とシルが言うと他の皆も頷いてお茶を飲む。

 東国のお茶は少し苦みがあるがその苦みが良くてどこか落ち着きを感じさせてくれる。

 

「やっぱりこの味は落ち着くのう、これにお団子やお饅頭にお煎餅があうのじゃ、今言ったのは東国のお菓子でのう、和菓子と呼ばれているのじゃ」


「なるほど、わがし」


 東国のお菓子か。

 いつか手に入れば良いな。


「バハムス王国の者達にも東国の料理を食べてもらいたいものじゃが、今東国の料理をバハムスの飲食店で出すわけにはいかないのが残念じゃのう」


 お茶を飲みながらカホさんが言う。


「カホさん、すまない、これは父上が決めた事だから今はどうする事もできないんだ」


 シルが申し訳なさそうに言う。

 そう、以前東国の料理である玉子焼きを生み出したが現在バハムスではその作り方を国民達に公開する事は陛下から止められている。

 

「そういや何で公開されてないんだ?」

 

 リックが言う。


「それは東国の料理だからだ」

 

 リックの問いにルートが答える。


「現在バハムス王国の国王は東国と関係を持とうと考えておられる、その証拠にこの国でも東国の品が少しずつ入って来ている」


「おう、うちの店にも現にこうして東国の品が入って来たしな」


「そう、それでシェフィーネ王女の描いた絵で玉子焼きを生み出したが、それは既に東国の国で作られている料理で現在も東国で当たり前のように作られている、それを他国で生み出されて勝手にレシピを公開したり飲食店で出されると面倒な事になってしまうんだ」


「面倒な事って?」


 ミスチーが首を傾げる。


「他国の料理をその国の許可なく勝手に飲食店で出すのはマズいと言う事ですよ、自国の料理、ましてやその国が誇る伝統的な料理があってそれを他国が勝手に作って勝手に飲食店で出して販売する、それをもし知ったとしたら?」


「あ、そうか、自分達の国の料理だから、そんな事許可なく勝手にされたら怒るに決まってる」


 フレイアの言葉でミスチーは納得する。


「まあ、自分達に許可を取らずに勝手にされたら、された側はたまったもんじゃないな」


「ええ、それに先生の話だと東国は少し前までは他国と一切の関係を取ろうとしない鎖国国家、どの国とも関係を持たないから当然自分達の国の料理の情報など他国に漏れているはずがない」


「それなのに関係を持とうとしている国が自分達の国の料理を知っていて飲食店で勝手に販売している」


「東国からしたら何かの原因で情報を盗まれた、この国と関係を持つのは危険だとか言う者が出てもおかしくない」


 シオン、カリーナ、ルティ、レティの言う通りそうなる可能性もあるんだよな。

 そうなるとせっかく東国と関係を持とうと考えているからこそこう言った小さな事でも関係がありそうな事なら慎重にならければならない。


「そんな事でって思うかもしれないが、今まで鎖国国家だった国、だったら中には他国と関係を持つ事に反対している者だって多くいるはず」


「そう言う連中からしたらこういう小さな事でも信頼ができないとか、やはり他国と関係を持つのは危険だとか大げさに言ったりするわね、反対派の奴等ってどうでもいい小さな事でもすぐに色々言うから面倒なのよね」


 ネロナ、ユーリの言う通りなんだよなぁ。

 ああいう連中って何故かどうでもいい小さな事でもいちいち反応するんだよなぁ。


「反対派の者達は何かと理由をつけるからな、それ故に面倒で手間が掛かるから厄介な存在だ」


「しかもそう言う連中って国のためを思ってとか言うけど、自分達がしてる事が逆に国を破滅させようとしている事に気づかないのかねぇ、あたし達が見てきた反対派の連中ってその辺ちゃんとわかっているのか疑問だったし」


 ジョルジュ、ラキムが言う。

 そうなんだよな、反対派ってなんか国を思ってとか国の将来のためだとか言うけど。

 本当に国の将来を思っているのなら少なくとも陛下は国や民の事を考えてくれる王なんだから邪魔するような事をするなって話だよ。

 俺達からしたら反対派って言ってる事とやってる事がなんか矛盾してる気がするんだよな。

 おっと話がそれてしまったな。

 

「まあ、飲食店ではまだ出せないけど少なくとも作り方を知ってる人が家で作るくらいには問題ないんじゃないかな」


「うむ、ケイネスの言う通り例えばジョルジュが和食の作り方を知っていてそれを作ってカホさんと一緒に家で食べる分には問題ないはずだ、あくまで飲食店での販売やバハムスのほとんどの国民達が知っていれば問題なだけだしな」


 シルの言う通りだ。

 一部の家庭でしか作られていないのなら問題ないはずだ。

 ましてやバハムス王国の辺境の方だぞ。

 これでもしも東国の者達や東国が他国との関係を持つ事に反対している反対派の者達が色々言ってきたら、正直この国大丈夫かと逆にこっちが関係を持つ事を考えた方が良いんじゃないのかと思う。


「ケイネス様、シルフィスタ王女の言う通り家で作る分には問題ないはず、ならば我が家の朝食で和食を出す事もできるはずだ」


「おお、ジョルジュ本当か?」


「ああ、カホが教えてくれたから和食の作り方は覚えたし材料もある、明日の朝食は和食にしよう」


「ありがとうジョルジュ、家で和食が食べられるのは嬉しいのう」


 カホさんが心から喜んでいるのがわかる。

 東国の料理はまだ飲食店とかで販売する事もレシピを国民達に伝える事もできないが、少なくともカホさんが故国の料理をこれからの食事で食べられる事ができたのは良かったと思う。

 ちなみに今日の夕飯は今日作った和食達だが親父に母さんにアニスにエドウィンも気に入ってくれたみたいで我が家での朝食もたまには和食にしようと決めたのだった。

 家で作って食べる分には問題ないからな。

 それと照り焼きソースはステーキにかけても旨かったよ。



読んでいただきありがとうございます。


面白かったらブクマと評価をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
色々面倒(汗)でも、カホさんは和食が食べれるから、良かったです! 早く交流が本格的になれば、アチコチで和食が食べられますね!
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